第五十三話 蠢動
GWですね、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
現在作者はこの小説を読み直して改稿しています。
内容に変更は無いのですが誤字修正をしたり、読みやすいよう調整しています。
例えば「・・・・、・・・・・。」の読点や、末期の句点を消したりしています。
理由は読みづらいからです。
余裕のある今しか出来ないので頑張ります。
長々と失礼しました!
それでは本編どうぞ!
——?——
「ねぇヴィヴィ、今なんて言ったの?」
「だから作戦が失敗したんだ」
「何でよッ!? どうして!? あの作戦は誰も止められないものだったハズよ!?」
「フィローラ、落ち着くでござる」
「これが落ち着いていられると思う!? アレを実行したのは紛れもない私なのよ!?」
「既知でござる。それでも先ずは何が生起したのか聞くべきである」
「・・・分かったわよ、ヴィヴィ教えてちょうだい」
「あ、あぁ、今回の作戦、〝セック滅亡計画〟が頓挫したのはついこの前だ。フィローラの放ったワールドウッドは何者かに倒された」
「「「「「!?」」」」」
彼らの話している内容は、セックの農業を脅かしたワールドウッドについてであった。
だが倒されたと聞き全員驚愕する。
ワールドウッドは強豪である。
それが倒されたといえば、彼らにとって由々しき事態であった。
「そいつは凄いYO! アイツは俺でも腕が折れるYO!」
「俺なら余裕だけどな!」
「バーンは相性がいいからでしょ・・・」
「あはは、暑苦しいし汗臭いだけだと思うよー」
「おいおい、これは日々の努力の賜物だぞ!」
「あはは、どうでもいいよー」
「ハイハイ静かに! それでね、犯人が特定出来たんだ」
「「「「「!?」」」」」
そう、今回ワールドウッドを倒した者は既に知られていた。
セック内で隠されていた事案を何故知っているのか、それは今の所謎である。
「それは誰よ!」
「落ち着いてフィローラ、犯人は破者だ」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「僕の部下が調べてね、それで確信したらしい。因みにその場にはフィローラの姉がいたそうだよ」
「ッ! ・・・そう、フィーア姉様がいたのね」
「フィーアってあの第4大魔人のフィーア=グルラージでござるか?」
「その名前を呼ばないでちょうだい!」
「ヒィッ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
大声を上げたので怖がらせてしまった。
ネガティブ思考から来る被害妄想のためか涙目で謝罪をするだけである。
「リン・・・、大声出してごめんなさい。でも今の私はただのフィローラだから・・・」
「・・・・・・。」
「ごめんごめん気が回らなくて。僕もあの家系が大嫌いなんだ」
「あはは、気に入らないけど分かるー」
「俺も嫌いだな!」
「俺も嫌いだYO!」
「某も嫌悪している。そもそも魔王信仰派である時点で許容できないのである」
「そう、僕達は実力主義を掲げる魔王反対派。実力ある者が下にいる世界など考えられない。だからこそ僕達はこの組織を立ち上げたんじゃないか。建前上は〝魔法歴史研究〟という名で活動し、実際は魔王信仰派を討ち滅ぼすため日夜奔放する〝八魔衆〟としてね」
そう言うと全員の表情が引き締まる。
それぞれの想いはひとつであり、目的のためなら何を犠牲にしても厭わないといったものであった。
「先ずは破者をここへ導こうではないか。我々の意見を聞いてもらうためにね。それで構わないかい?」
「うん、フィーア姉様は私に任せて」
「俺も賛成だ! 破者というのにも興味がある!」
「俺も熱いソウルを持つものは歓迎だYO!」
「あはは、作戦を台無しにした奴は許さなーい」
「某も異論は無いのである」
「私には拒否権など無いです・・・」
「ホエッペンの有無はいいとして決まりだね」
そして彼らは言う。
「「「「「理想世界のために!!!」」」」」
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——セック門前——
燦々と輝く太陽が暖かい昼下がり、シュン達はセックを後にしようとしていた。
「久しぶりだな、サンソン」
「えぇ、お久しぶりですシュン様」
彼は数週間前にセックまで同乗していた御者のサンソンである。
今回ロステルラッテに向かうに当たって、偶然見つけたサンソンに依頼したのだ。
「シュンが名前で呼ぶというのは仲がいい証拠なの」
「この子は新しい仲間ですか?、麦わら帽子を被っている人は珍しいですね」
「あぁレンって言うんだ。こいつは元々陽の光が得意じゃないからな、気にしないでくれ」
「よろしくなの」
「はい、申し遅れました。私御者を営んでおります、サンソンと申します。名前で呼ばれるようになったのはあるきっかけがあったからですよ」
「きっかけ?」
「おい、もういいだろ、行くぞ」
サンソンを実名で呼ぶようになった理由、それはシュンがヘマをしたからである。
元々は名前では呼んでいなかった。
酒場で最初に出会った時は〝路傍の石〟と呼んでいた。
それはサンソンが薄幸そうな容姿をしているので、そう名付けられたのだ。
「シュンはね、サンソンさんの荷馬車を壊しちゃったんだよ。それで気まづくなって名前で呼ぶようになったんだ」
「・・・・・・」
「ははは、その事はもういいのですよ。弁償金まで頂いたのですから」
シュンはサンソンに出会った後日、露天の店主に追いかけられていた。
それはシュンが振る舞った串焼きが絶品過ぎたため、客が露天の串焼きを買わなくなったのだ。
それに対して怒る者もいれば、焼き方を教えて欲しいと願い出る者もいて埒が明かなかった。
そこでシュンは『風陣』を使い空を飛んで逃げ出したのである。
しかしその時はまだ『風陣』を覚えて幾許もない。
今でこそ考えられないが盛大に落下したのだ。
その時にサンソンの引いていた荷馬車の幌に急降下したのである。
幸い幌の中に乗客は居なかったが、荷馬車は崩壊してしまった。
サンソンはシュンを責めることはせずに、傷が無いか心配をした。
元々酒場で面識があり目立たない顔から路傍の石と蔑んでいたが、その時は自分を惨めに感じたためせめて名前くらいは呼ぼうと思ったのである。
更にそれだけでは申し訳ないので色をつけた弁償金をサンソンに渡しその場を後にした。
「シュン、ダサいの・・・」
「うるせぇ、サンソン荷馬車を出せ」
レンに蔑まれ顔を赤くするが、本当にその時は惨めに感じていたので何も言い返せなかった。
せめてこの空気を変えたいと思ったのでサンソンに出発するよう指示を出す。
だがその時であった。
「待ってくださいまし〜」
「「「「?」」」」
後ろから金色の長髪にウェーブをかけた女性が騎士を一人連れて走ってきた。
額には小さめの角が生えている。
ドレスを着ている所から貴族か王族であると予想できた。
「誰だお前?」
「おい、貴様!無礼であるぞ!」
「良いのですジャック。彼はこの国を救ってくださった方です。そんな御仁にその態度、不遜ですよ」
「・・・はッ! し、失礼しました! 不肖な我が身が出過ぎた真似を!どうかお許しください!」
「っと、言っておられますけど如何なさいますか?破者様?」
「「「「ッ!?」」」」
今回ワールドウッドがセック国の農業を脅かしたことは、一般に宣布されていない。
だが彼女はシュンがその件を解決したと言った。
何故彼女がそのことを知っているのか、疑問に感じた。
さらにそれだけではない。
シュンはロステルラッテを出発し、破者と伝えたのはセック王であるロン二ーとその家臣のヨワン、そしてマルシャとレンにしかいなかった。
それは人間界と戦争するにおいて重要な位置にいる破者がシュンだと知られたら、確実に面倒なことになると思っていたからである。
だからこそ眼前の女がシュンを破者と言ったのは不思議でならなかった。
「え!? シュン様は破者様だったのですか!?」
当然サンソンはシュンが破者だと知らなかったので、動揺せざるを得ない。
「おいそこの金髪、誰だか知らないが場所を変えるぞ」
「金っ、髪・・・。え、えぇ、ここは人通りが多いですからね。いいでしょう。着いてきてください」
彼女は呼称に若干取り乱すも、すぐさま平静を取り戻しシュン達を案内した。
(チッ・・・、面倒なことになりやがった・・・)
シュンは内心悪態をつくが今後どうするべきかは決めていた。
「シュンどうする?」
「仕方ねぇ、行くぞ。サンソン、お前はここにいろ。後で説明する」
「わ、分かりました。こちらでお待ちしております」
サンソンにそう伝えると、シュン達は彼女達を追いかけた。
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——セック国 酒場アルコ——
ここはシュン達がよく通っている酒場、アルコ。
今の時刻は昼なので通常空いているはずが無いのだが、何故か今回は開いていた。
「マスター、どうしてこんな昼間から営業してるんだ?」
「ん?シュンか、いや何、ハーバー様の御息女を邪険に出来る訳が無いからな」
「ハーバー様・・・、誰だそれ?」
「シュン、ハーバーってヨワン様の家柄名だよ・・・。」
「・・・なんだってッ!?」
「今、父の顔を思い出すのに時間がかかりましたね・・・、まぁ良いでしょう。私の名はセルナ。セルナ=ハーバーと申します。以後お見知り置きを」
彼女の名はセルナ=ハーバー。
伯爵であるヨワンの一人娘であった。
正直シュンからすればヨワンは影が薄いと感じていた。
どちらかと言うと拝謁するために城へ赴くため、存在感はロン二ーのほうが強かった。
そのため一瞬ヨワンと言われても思い出せなかった。
「・・・マスターとりあえずエールを」
「シュン昼から飲むの? 私とレンはミルクで。 」
「私達は水でお願いしますわ」
「エール・・・」
「ジャック、一応勤仕中でしょ?」
「はい・・・」
「・・・エールとミルクと水だな」
既にこの世界では大人であるシュンはエールを頼んだ。
以外にもシュンは酒好きであり、中でも日本ではメジャーでは無いエールをお気に召したようだ。
それでも昼から飲酒するのは如何なものかとフィーアは注意するが何を言っても聞かないと悟り、自分とレンの注文をする。
セルナは普通に水を飲む気でいたが、ジャックもシュンと同じで酒が好きだったので飲めないのはショックであった。
その後人数分の飲み物が運ばれ、シュンは盛大に酒を煽った。
「ん・・・ん・・・、ぷはぁー、それで話ってなんだ?」
「え、えぇ、私がシュン様方を既知でいたのはロン二ー陛下と父上から話を聞いていたからですわ。それで今回の件の報酬をと思いまして・・・」
「報酬・・・? なんの事だ?」
「シュン、解決したら報酬も頂くって言ってたんだよ。もしかしてもう酔ってる?」
「よよ、酔ってねーよ! そうか報酬か・・・」
シュンは酒が好きと言っても強くはない。
既に顔を赤らめて頭も働いていなかった。
「金は別に困ってねぇからな・・・」
「なら身分はどうでしょうか?」
「身分? いらねぇよそんなの。俺は身分が必要なほどがめつく無い」
「なら、お好きな装備を差し上げましょう」
「ほう、そいつはいいな」
シュンは冒険者業をしていたお陰で、かなりの金を持っていた。
その額5000万ロッテ。
それだけの財力をもつようになると伯爵と何ら変わらない生活が送れる。
だが優雅な生活をシュンは望んでいない。
あくまでも目標は打倒神であって、豊かな生活を羨望していないのであった。
だからこそ爵位もいらなかった。
だが装備は別である。
装備ならいつの日か役に立つ日も来るかもしれない。
そう考えると既に所望するものは決まっていた。
「なら城に来てくださいまし。自国の軍力は乏しいですが、装備の質は国宝級ですわよ」
「分かった! さっそく行きましょ!」
「「ッ!?」」
セルナが城にある武器を紹介した時であった。
何故かシュンの口調が変わっていた。
おや、シュンの様子が・・・?




