閑話 身儘
ブクマが増えない・・・
頑張ります
——グラガ洞窟前——
「あれ?、ここは・・・?」
私が目を開けるとそこには青空が広がっていました。
周りは木で囲まれていて、シホちゃんやミクちゃん、他のクラスメイト達が倒れています。
ん?
ハルト君?
「あ!起きたんだね、ナナ!」
「ハルト君?——ッ!」
「だ、大丈夫ッ!?」
体の節々が痛いです。
打ち身かなって思ったけどそんな記憶は無いです。
そもそもどうして今私達は此処にいるのでしょう?
確か全員龍と対峙していたはずです。
でも何処にも龍はいない。
一体何が起きているのでしょうか?
「んっ・・・」
「あれ?ここって・・・、ってシホ?ナナちゃんもいるし、コトミさんもシズクさんもいるね。」
「あーし何でこんなとこ居るの?」
「おい、起きろノリヒロ!起きろって!」
「プロテインおかわり・・・。」
「だめだな、寝ぼけてやがる。」
「それな。」
どうやら皆起きたようです。
良かった、これで誰も起きないってなったら少し憂慮してしまいます。
「ミク、身体痛くない?」
「痛いよー。本当にどうなってるの?」
他の皆も身体中が痛いようです。
そしてこの場所にいるのを不思議に思っているようでした。
「良かった良かった、皆起きたんだね。」
「ハルト君?私達一体?」
「うんうん、分からないことばかりだよね。」
「ちゃんと説明してくれる?」
「おいおいシズクさん、そんな怖い顔しないでよ。」
確かにシズクさんは不機嫌そうです。
他の皆さんは不機嫌と言うよりは不安を抱いているようでした。
斯く言う私も憂いを隠せません。
「じゃあ説明するよ。ってその前に紹介したい人がいるんだ。姿を現して頂けませんか?」
「「了解。」」
「「「「「ッ!?」」」」」
驚きました。
いきなり木陰から紫色の髪をした人が2人現れたのです。
小顔の上の輪っかや、羽が生えていてふわふわな衣装を着ている姿は正しく天使そのものでした。
二人とも顔が似ているのは双子だからでしょうか?
恐らく女性だと思います。
「天使・・・?」
「「天使族です。」」
「「「「「・・・・・・。」」」」」
どうやら天使族と呼ばれる方達だそうです。
「こちらはサフィア、私の妹です。よろしくお願い致します。」
「こちらはソフィア、私の姉です。よろしくお願い致します。」
何故か自分の紹介では無く、互いの紹介をしました。
変わった方々なのでしょう。
「一体何処にいたんですか?」
「「はい」」
「私達は」
「魔法を使って」
「気配を」
「消して」
「「おりました。」」
「「「「「・・・・・・。」」」」」
本当に個性の強い姉妹ですね・・・。
でもこんなふうに話すってことはきっと仲が良いのでしょうね。
「それで気配を消していた理由は?」
「「ドッキリです。」」
「「「「「・・・・・・。」」」」」
思ったより俗っぽいことをしていただけでした。
茶目っ気に溢れていますね。
「コホン、いいかな?」
「「「「「あっ。」」」」」
すっかり忘れてました。
ハルト君の話を聞くんでした。
「えっと龍はこの二人が倒してくれました。」
「「「「「ッ!?」」」」」
倒した!?
あの龍を!?
急にそんなことを言われてもまだ理解出来ません!
「そもそも二人に見覚えはない?」
「・・・あっ!、そう言えばこの二人、あの場所で倒れていた人達じゃないか!?」
「「ご明察でございます。」」
「そう正解。それでね詳しく言うと——」
ハルト君は詳細を語りました。
龍は私達を拘束し眠らせたようです。
そしてハルト君は『隠密』によって気配を遮断していたから眠らされることは無かったそうです。
でも皆が眠らされたことに怒ったハルト君は、果敢に龍に挑んだらしいです。
ですが結果一人では倒せなかった。
何でも【殺生珠】を使ったミスリルの剣でも刃が通らなかったようです。
万事休す、そう思った時でした。
「九死に一生とはこの事だと思ったよ。死にそうな俺を助けてくれたのがソフィアさんとサフィアさんだ。」
ハルト君が危険な状況の時、それを救ったのがソフィアさんとサフィアさんでした。
二人はリーダーが倒された後、じっと息を潜めていたようです。
すると私達が参戦し、じっと機会を構えていたようです。
リーダーの仇でもある龍はとても強く、死にものぐるいで戦って何とか倒せたようでした。
「ソフィアさん、サフィアさん、倒した証拠を。」
「これが」
「龍を」
「倒した」
「証拠」
「です。」
「「「「「ッ!?」」」」」
今まで何処にあったのでしょうか?
ソフィアさんとサフィアは立派な板を二人がかりで持っていました。
そしてこれは一体?
「聞きたいことがあるわ。」
「なんだい、シズクさん?」
「ひとつはそれについて教えてちょうだい。」
「これはあの憎き龍の鱗だよ。倒したあと一枚剥いだんだ。死んだ龍からじゃないと部位は剥ぎとれないからね。」
「ふーん・・・。」
なるほど、それはあの龍の鱗なんですか。
確かに色とか同じですね。
二人で持ってるのはとても重いんでしょうか?
「なぁ、それって重いのか?」
「いえ」
「重く」
「「ありません。」」
そう言うとソフィアさん、サフィアさんという順に鱗を交換しました。
確かに軽そうです。
これも私達に対してのイタズラなのでしょうね。
ノリヒロ君は何故か悲しそうですが。
「それで他の質問は?」
「それが鱗ってことは認めてあげる。でも一体何処から取り出したの?」
「「取り出したのではありません。」」
「どういうことよ?」
「『隠蔽』」
「「「「「ッ!?」」」」」
凄いです!
ソフィアさんが持っていた鱗が消えました!
恐らくサフィアさんの唱えた魔法が原因でしょう。
予想すると物を見えなくする魔法では無いでしょうか?
「それで隠してたってマジぱねーわ。あーしそれ使えたらマジシャンにでもなるわー。」
「それ賛成。マジでパない。いやー俺も魔法めっちゃ使えたらなー。」
「それなー。」
「いやいや、魔法使えるだけでも凄いから・・・。」
「そんな魔法を・・・、いえ、何でもないわ。」
皆色んな意見を上げます。
質問したシズクさんは唖然としています。
それもそうでしょうね。
私達は元々この世界の住人では無いんです。
こんな摩訶不思議な光景を見て驚かないなんて、それこそ有り得ません。
「痛たた・・・。」
「忘れてた・・・、私達何故か知らないけど身体が痛いんだよね・・・。」
「本当に何なんだ・・・、怪我した記憶なんかねぇぞ。」
「ハルトは痛くねぇのか?」
「俺は全然痛くないよ。それについても話さないとね。」
再度ハルト君は説明を始めました。
ハルト君は龍討伐の後、私達を起こそうとしたそうですが中々起きなかったようです。
そのためソフィアさんとサフィアの魔法、『隆起石』を使いここまで運ぶ出したそうです。
「その時に結構激しく揺れたからね。身体を打ってても不思議じゃない。その怪我は『回復』で治ると思うよ。ナナ、頼めるかな?」
「うん、いいよ。『回復』・・・」
一人一人に回復魔法を施していきます。
皆苦痛の表情をしていましたが少し落ち着いたようです。
最後には自分自身にもかけました。
よし、これで大丈夫です!
「でも皆には悪い事をした。ソフィアさんとサフィアさんが言うには、死んだ龍の空間にいつまでもいるとその死体から瘴気が溢れ出して身体に影響を及ぼすんだ。最悪それで死んでしまう。それだけは避けたかったんだ。本当にごめん!」
ハルト君は声を張り上げて謝罪しました。
もしあの空間でずっと倒れていたと思うと身体の震えが止まりません。
それなら身体が痛いのも仕方ありません。
命には変えられませんからね。
「こっちこそありがとうなハルト。」
「ああ、俺達逃げ腰で何も出来なかったのに、ハルトは龍に挑んだ。ましてや命まで救われたんだ。感謝してもしきれねぇよ。」
「マジでサンキューなハルト。」
「それな。」
「みんな・・・、いや、俺も龍には敵わなかった。礼を言うならソフィアさんとサフィアさんに言ってくれ。」
スバルくん達は素直にハルト君へ感謝しています。
ハルト君は申し訳ないといった表情をしていますが、満更でもなさそうです。
「ハルト君、私達からも感謝するよ。もちろんソフィアさん、サフィアもね。」
「本当にねー。ハルト君達がいなかったら今頃この世界には居なかったよ!」
「三人ともありがとう。私何も出来なかったから。」
「ハルトマジパネェ!やっぱハルト最高だし!」
「みんなありがとう!」
全員感謝の言葉をハルト君へ送ります。
ですが何故か剣呑な雰囲気が漂い始めました。
「・・・・・・。」
「ねぇあんたさ、ハルトに感謝しろし。」
「・・・・・・。」
「聞いてんの!?」
そう、シズクさんだけハルト君へお礼を言わなかったのです。
それに見かねたコトミさんが怒りの声を露にしました。
そしてその時でした。
「あ!待ちなさい!」
「えっ、シズクちゃん!?何処に行くの!?」
「そうよ!?団体行動なんだから勝手な行動しないでっ!!」
「そ、そそ、そうだぜ!?シズクさん、勝手な行動をしちゃダメだぜっ!?」
「そ、そそ、それな!」
何故かシズクさんは私達が来た道へと歩き始めました。
その行動は明らかにこの状況で相応しくないものでした。
私は声を出すことは出来ず、ただ唖然としていました。
「私は助けてなんて言ってないわ。」
「どういうことよ!」
「貴方達にひとつ忠告しておくわ。」
「「「「「?」」」」」
「その男危険よ。」
「「「「「ッ!?」」」」」
「それじゃあね。まぁもう会うことも無いと思うけど。」
「ちょ、ちょっと!どういうことよ!?」
「『隠密』。」
シズクさんはそう言い残すと、自身に魔法をかけ気配を消し何処かへ行ってしまいました。
コトミさんは顔を真っ赤にして地団駄を踏んでいますが、私を含め他の皆は理解出来ないといった顔をしていました。
「何だったのよ・・・。」
「さぁ・・・。」
「おいおい、シズクさん一人で行っちまったじゃねぇか!」
「そ、それな!」
「こうしちゃいられねぇ!俺達も行くぞっ!」
「それな!」
「待てッ!!」
「「ッ!?」」
姿を消したシズクさんを追うためにケン君とサトシ君が動こうとした時、それをハルト君が止めました。
「何で止めるんだハルト!」
「それな!」
「冷静になれ二人とも!」
「「・・・。」」
「俺達が進んできたオロッソ森林は複雑な道になっている。そんな中をバラバラで進んだらそれこそ皆はぐれてしまう。」
「確かに・・・。」
「それな・・・。」
「シズクさんの言った言葉は俺も気になる。何であんなことを言ったのかは俺も聞きたい。だが無闇矢鱈に探し回るのはダメだ。まずは皆で作戦を決めよう。」
「・・・そうだな、よし、絶対に見つけようぜ!」
「それな!」
どうやら二人とも冷静になったようです。
「皆も協力してくれ!こんなふうに別れてしまうのは拙い。何よりシズクさんが危険だ!」
「私もパーティのリーダーとして探すことに賛成するわ。あんな風に勝手に行動してパーティの輪を崩すなんて許せない!」
「私もさんせーい。シズクちゃんの言った言葉気になるしー。」
「私も参加します。このままではいけないです。」
「俺も行くぜ!ハルトの頼み事だ。この命に変えても守ってやるよ!」
「俺も筋肉にかけてやってやるッ!」
ハルト君が皆に提案することで団結力が増すのが分かります。
これはハルト君の元来ある力ですね。
けれど一人だけ納得していないようでした。
「あーしは・・・。」
コトミさんは賛成の声を上げませんでした。
シズクさんがいなくなる前、コトミさんは怒っていました。
直ぐに気持ちを切り替えられるとは思いません。
「コトミさん、いや、コトミッ!」
「ッ!?」
「頼む、力を貸してくれ!」
「・・・ハルトがそこまで言うならやらないこともないし・・・。」
「そうか!ありがとうコトミ!」
「それくらいなんともねーし!!」
客観的に見て照れていることはバレバレですね。
でも良かったです。
全員シズクさんを探すことになりました。
「ソフィアさん、サフィアさん、二人には悪いのですが協力して貰えますか?」
「「了解。」」
「よかった!」
どうやら二人も協力してくれそうです。
捜索には大人数の方がいいですからね。
「よし絶対にシズクさんを見つけましょう!!」
「「「「「おー!!!」」」」」
士気も高まり全員で作戦を立てていきます。
大丈夫、きっと見つかります。
そう信じながら時は過ぎていきました。
——ですがその後シズクちゃんを見つけることはありませんでした。
あともう一話閑話が入ります。
評価のほどよろしくお願いします。




