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第四十八話 意外

やっぱり感想貰えるのは嬉しいです!

——グラガ洞窟——


「誰だい、あんた達は?」

「「「「「喋ったッ!?」」」」」

「・・・。」

「お前が人に災いを(もたら)す龍か!」

「はぁ?いきなり現れて何を言い出すんだい?確かにあたしは龍だけど災いなんて・・・」

「『光雨(ライトシャワー)』!」

「なッ!?」

「さっすがハルトだし!!」

「俺も強い魔法が使えたらなー。」

「俺()には筋肉があるだろ?」

「達っていうな。やっぱりお前は脳筋だよ・・・。」

「はははっ!そう褒めんなよ!」

「「褒めてねぇよ・・・。」」


エディシンに攻撃をしたのはハルトであった。

そう、今この場に来ていたのはシュンのクラスメイト達であり、冒険者となった勇者であった。

ハルト達はラリトからグラガ洞窟へと歩みを進め、洞窟内の魔物達を何とか駆逐しながらここに辿り着いた。

そして念願の龍にようやく邂逅したのである。


ハルトは龍の疲弊した姿を見てチャンスと考えた。

恐らくここで倒れている人達が戦い追い詰めたのだろう、と。

そして胸に槍を突き刺している人は既に絶命して助からないとも思っていた。

ならその思いも汲んで必ず自分達がこの龍を討伐しなければならない、という風に考えていた。

そして僅かだが自分の立場の余韻に浸かっていた。


使ったのは『光雨(ライトシャワー)』である。


------------------------------------------------------------


光雨(ライトシャワー)

使用MP 150


半径50mに光の雨を降らせる魔法。

自分が悪であると感じた相手を消滅させる。

味方と思った仲間には効果がない。


------------------------------------------------------------


闇属性と相性良いエディシンには効果抜群である。

しかし・・・


「——あんた達、話を聞きなさいよ。」

「「「「「ッ!?」」」」」

「いきなり『光雨(ライトシャワー)』なんて驚いたね。まぁこれしきのこと何ともないさね。」

「何故何ともないんだ!?」

「『光雨(ライトシャワー)』なんて光魔法の初歩技さね。男で使えるのは珍しいけど、これくらいじゃ無駄さね。そもそも男の魔法であたしがやられるはずがないよ。」

「くッ!()()の魔法でも性別は超えられないのか!」

「何?勇者だと・・・?確かに光魔法が使えるのは勇者や聖者だけ・・・。」


ハルトの発言に龍姿のエディシンは眉を顰める。

勇者という単語には関心を抱かざるを得なかった。


「勇者とはどういうことさね。」

「だからー、あーし達は選ばれた?勇者っつーことなんよ。ちゃけばヤバくね?」

「ちゃけば?その言語は聞いたことが無いよ。」

「あーもうコトミったら・・・、えっと、私達は()()()()()勇者として召喚されたんです。そして——」


パーティのリーダーであるミクが説明する。

自分達は違う世界から勇者として召喚されたこと。

帝国ラトスフィアで訓練に励み、一人前として認められたこと。

王様が経験を積むために冒険者になるかどうか聞いて、私達が志願したこと。

その時に貴族の偉い人から龍退治を依頼されたこと。

ラリトの街でも恐ろしい龍だと噂されていること。

それら全てをエディシンへ話した。


「あー、戦いすぎたせいで頭が回らないよ。そうかい、あんた達は勇者なのかい。」

()()()()()()()()()なんだよ、すげぇだろ?」

「それな。」

「神様?それって人神のことかい?」

「人神ってなーに?」


エディシンはケンの〝神に選ばれた〟という発言に違和感を覚える。

そしてそれは人神ではないかと尋ねた。

しかしハルト達は神(悪魔)の呼称である人神は知らず、シホは疑問に感じた。


「あんた達、人神を知らないのかい?はぁーこれだから人間は嫌だねぇ。人神を神と崇め過ぎてその名前すら忘れるとは。所詮あんた達も篤信家の集まりさね。」

「俺達別に信仰深くねーよ。ただお願いされただけだ。」

「そうだぜ、俺が崇めているのは嶋田さんだけだ!」

「お前それキン〇マンの作者じゃねぇか・・・。」


ハルト達は別に神を崇めていない。

エディシンはそれを聞いて尚のこと訝しげな表情になる。

だがそれよりも今は休息を求めていた。


「あんた達が人神の名前を知らないのはこの際どうでもいいさね。頼むから今日は帰ってくれ。もうあたしゃ疲れたんだ。」

「そんなこと言って帰るわけないだろ!」

「あたしゃ盲目的に神を崇める人間が嫌いさね。でも無闇に人間に危害を及ぼすことは無いよ。あんた達は神を崇めていないようだね。なら見逃すから帰るんだ。」

「くそッ!俺達をコケにしやがって・・・。ナナ!俺に身体強化魔法を!」

「え?、う、うん、『激励(チェアー)』!」

「うおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」


ハルトは吶喊しエディシンに特攻した。

それを見ていたスバルとノリヒロも覚悟を決める。


「シホちゃん!俺にもかけてくれ!」

「はいよー。『速度(スピード)』!」

「ミクさん!俺はありのままの自分で行くぜ!だから見ていていくれ!」

「はぁ!?何を言ってるの!?『硬質化(ロック)』!」

「「うおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」」


スバルとノリヒロも吶喊してエディシンへと突っ込んで行った。

ハルト、スバル、ノリヒロは元々の運動神経を活かして動き回りながら稚拙な剣術をみせる。

ただ騎士達の見様見真似で習った剣技は魔法のお陰もあってかエディシンを苦しめた。


「猪口才なッ!」

「「「うおおおおぉ!!!」」」


彼らがエディシンを攻撃している時、コトミは口を開いた。


「ねー、あんた達は行かないの?」

「あ?なんで俺達があんな危険な真似しなきゃいけないんだよ?」

「それな。」

「だっさ。」

「あ?」

「あんた達シズクのことが好きなんでしょ?ならここでポイント稼がなきゃダメっしょ。」

「「!?」」


コトミに唆されレンとサトシは目が覚めた。

確かに、これだけ危険な龍を自分達が倒したらお手柄であろう。

ましてや見ているのはシズクである。

やらないわけがなかった。


「シズクさん!」

「・・・。」

「俺必ずアイツを倒しますから見ていてください!」

「それな!!!」

「・・・。」

「行くぜーーーー!!」

「それなーーーー!!」


(・・・馬鹿らしい。)


熱の篭った二人とは対照的に、シズクは冷めていた。

それもそのはずで彼女だけは客観的に分析をしていた。


(コイツら話を聞かないタイプね。そもそもこの龍から敵意が無かったのに突っ込むとか有り得ない。少しは頭を動かしなさいよ。あと委員長、ちゃんと男子を抑えなさいよ。)


全く話を聞かない男子と、それを纏められないミクに内心呆れていた。

だが既に歯車は動き出していた。

もう止まることはない。


「ねぇミク、チャンスじゃない?」

「どういうことシホ?」

「今ならあの龍倒せるんじゃない?」

「まさかシホ、魔法を放つっていうの!?」

「でもこのままだとハルト君達に任せっぱなしになるよ?ね、ナナちゃん。」

「え?、う、うん。」

「確かに・・・。うん、分かったよシホ。コトミもシズクさんもそれでいい?」

「あーしはなんでもいいよ。てか、ここ暑くね?早くここから出ないと汗でメイクが落ちるんですけど。」


(本当に緊張感のない女・・・。まだここがゲームの世界か何かと勘違いしているの?委員長も委員長よ。なんで攻撃するのに全員の許可がいるのよ。あんた一応リーダーでしょ?あーもうイライラするわ。)


シズクは纏まりのないこのグループに苛ついていた。

それもそのはずで、ここまでの道中で何回か危険な目に遭ったからだ。

その時何回か死にかけたというのに未だ脳内がお花畑である。

何時までも彼女達に構っていられなかった。

しかし・・・


「・・・勝手にすれば。」


シズクから出た言葉はこれであった。

今ここで自分が勝手な行動をとったらチームの流れが滞る。

そんなことをしたら絶対に面倒なことになる。

結局は全体の言う通りにしていたほうが責任が分散して気が楽になるのだ。


(鶏口となるも牛後となるなかれ、か・・・。この龍退治が済んだらどこか違う所に行こう。こんな所で固まってるのは私の性分が許せない。)


特別人の上に立つことが良い訳ではない。

だが何時までもひとつの団体の下に属しているのは嫌悪感を抱いた。

そのため彼女はエディシン討伐後、ハルト達の前から消えることを決心した。


「よし、じゃあ私達も参加しよう!男子を下がらせるからみんな一番得意な魔法を放ってね。」

「りょーかい!」

「うん。」

「りょ。」

「・・・。」


そしてミクは戦闘中の男子陣に声をかける。


「おーい、男子達!一回下がって!」

「え?、あ、あぁ!おい、皆一回下がるぞ!」

「マジで?うわー俺いい所見せれたかなー?」

「俺もこの上腕二頭筋の動きを見せつけられたか不安だ。」

「そんなアホなこと言ってないで下がるぞ。」

「それな。」


ミクの指示により男子達は渋々後退した。

まだ体力は残っているし、アピールする絶好のチャンスであった。

しかしここで言うことを聞かないと覗きをした時みたいに長時間正座をさせられると思い、無理やり言い聞かせた。


エディシンは、というとかなり消耗していた。

さもありなん。

セファーラルと一週間死闘を繰り広げ、ようやく勝ち取ったのだ。

そこにハルト達の参戦である。

身体が悲鳴を上げていた。


「よし!皆行くよ!」


ミクがそう言うと女子達は一斉に詠唱し始めた。


「『渦潮(スプラッシュ)』!」

「『岩石落(ロックブラスト)』!」

「『魔光(ローズライト)』!」

「『灼炎(フレストファイア)』!」

「『魔氷(ローズブリザード)』」

「ぎゃああああああああ!!!」


彼女達の放った魔法は一斉にエディシンを襲った。

しかし『渦潮(スプラッシュ)』と『灼炎(フレストファイア)』は互いに相殺してしまう。

結局当たったのは『岩石落(ロックブラスト)』と『魔光(ローズライト)』、『魔氷(ローズブリザード)』だけであった。


「ちょっといいんちょ、なんで水魔法なんか使うしー。」

「それはコトミよ!私は水魔法が一番得意って言ってたじゃない!」


勇者である彼らは光魔法しか使えない訳では無い。

男子は魔法が得意では無いので光魔法を使うことが関の山だが女子は別である。

魔法を得意とする女子は幾つかの魔法を覚えている。

ましてや彼女達は勇者であり使える属性も普通は一つだが二つほど使えた。


彼女達も全員光魔法を使える上に、各々違う属性を使えた。

ミクは水、シホは地、コトミは火、シズクは氷であった。

ナナだけ例外で光魔法しか使えなかった。

だが魔系(ローズシリーズ)の一つである『魔光(ローズライト)』を使えたり、回復魔法もお手の物であった。


上手く攻撃の当たらなかった二人は戦いそっちの気で口論を始めてしまった。

彼女達の攻撃を見ていた男子達は唖然としていた。


「なぁ俺達いた意味あったか?」

「それな。」

「俺達はいざと言う時にいつでも動けるようにしておこう。接近戦は俺達で遠距離戦は彼女達の役目さ。」

「そ、そうだよな。流石ハルト、分かってるわー。」

「そうだぜっ!皆ポジショニングは崩すなよ!?」

「「「「おう!!!」」」」


熱気の篭もった男子達だが、エディシンはそれどころでは無かった。


(ま、拙いね・・・。特に『魔光(ローズライト)』を使えるとは・・・。次に強力な魔法が来たら流石に防げないね。これは手加減している暇は無いさね。)


「あんた達やるさね。この技を使う気が無かったけど、どうやらそうも言ってられないようだね。」

「なんだ負け惜しみか?」

「ふっ、その減らず口を燃やしてやるッ!!!喰らえ!『業火殲滅永久灰燼砲(ヘルフレイムエターナルキャノン)』!!!!!」

「「「「「ッ!?」」」」」


エディシンは彼女自身が放てる中で一番強いブレス、『業火殲滅永久灰燼砲(ヘルフレイムエターナルキャノン)』を使った。

これはあまりにも殺傷能力が高いため封印していた。

その炎に触れたが最後、触れた身は死んでも尚永遠に燃え続けると言われている。


「拙ッ・・・。」

「これは・・・。」

「かなりピンチ・・・。」


炎を目の前に心情を吐露するハルト達。

その数秒後、彼らは炎に包まれた。


「悪いね・・・。あたしもまだ死ぬ訳にはいかないんだ。」


愛する我が子を守るためにまだここで死ぬ訳にはいかない、そう思っていたからこそ放った技である。

恐らく彼らは騙されている。

彼らからは明確に自分を倒すといった殺意を感じなかった。

当然討伐する気ではあったのだろう。

だがそれは明らかな殺しの感情で無かった。


彼らは誰かに言われ自分を倒しに来たのだ。

そんな生半可な気持ちで倒されるなど、自分の娘に顔向けできない、そう思っていた。

だが運命はそううまくいかなかった。


「——ひぇー怖かったー!」

「ッ!?」

「マジで今回は死ぬとこだったわー。」

「そういやこれってコンティニューとかあるのか?」

「なきゃ拙いっしょ!」


ハルト達は燃え尽きていることは愚か、無傷であった。


前にエディシンを魔物と書いていました。

すみません、ミスです。

訂正しておきました。


後、回復魔法は光魔法に入っていますが、攻撃の光魔法とは違うものになります。

そこも今後の話にしたいと思いますのでよろしくお願いします。


もしご不明な点がございましたらご指摘ください。

今後も破者と勇者をよろしくお願いします。

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