閑話 休日
追記
閑話を三話から二話に変更しました。
内容に変化はありません。
——帝国ラトスフィア 商業区——
皆さんお久しぶりです。
ミクです。
ネギが好きな方ではないですよ?
私ツインテールじゃないですし、どちらかというとシホのほうです。
すいません。
話がそれました。
私とシホは今ショッピングに来ています。
あれから1ヶ月ほど経ちました。
こちらの生活にもだいぶ慣れてきたのですが、やはり訓練は大変です。
今日は週に6回の訓練のうち、たった一日の休日です。
日本の学校に通っていた方がまだ楽だったかも知れません。
当然訓練だけではなく、勉強もしました。
この世界の名前が「現霊界」と言い、人間界、魔界、獣人界といったふうに別れていること。
私の住む帝国ラトスフィアは、当然人間界に属していて1番大きい国らしいです。
帝国ラトスフィアは人間界の1番東に位置しています。
そして西に帝国ラトスフィア程ではないですが、大きい国が3つ存在するらしいです。
帝国ラトスフィアから北西のグリス、最西端のラリト、南西のゴロアとそれぞれ呼ぶらしいです。
いつか行ってみたいですね。
因みにこれは貴族様達や騎士さんたちから教わったことなんですが、魔界については誰も教えてくれないんです。
ただラリトのさらに西にあって、そのさらに奥に魔王がいるとか。
魔界は恐ろしいところだから誰も知ろうとしないとか。
これを聞いてよく戦争しようと思いましたよね。
だって相手のことがまるで分からないんですよ?
斥候班は何をやっているのやら。
魔界の話を振ると直ぐに「魔王は倒す」、「魔人は許せない存在なんだ」とか言って、要領を得ません。
一体過去に何があったんでしょうか。
それも教えてくれないんですけどね。
「ミク〜、何そんなに考えてるの?」
「ッ!? あ、あーごめんごめん。ちょっと世界のことについて考えてて」
いきなり話しかけられて驚きました。
心臓に悪いです。
「そっか〜。にしても暑いねぇ。今日本だと夏だよ。プール行きたーい!」
「多分こっちの世界にはないと思うよ」
「ふぇッ!? 本当!? うわぁー日本に帰りたーい!!」
「シホくらいだよ・・・、日本帰りたい理由がプールが無いからって」
天然なシホを見てるとあまり異世界にいると実感が湧きません。
それも、シホのおかげですね。
って、また逸れました。
えっと・・・、そうそうこの世界のこと。
魔界の代わりに獣人界について教えて貰えたんです。
神様の話だと獣人界は聞いてなかったですからね。
獣人界はゴロアの南にあるそうです。
2つ大きな国があって、さらに奥に1番大きな国があるらしいです。
獣人界は排他的で情報があまり入ってこないそうです。
人間界の中には獣人奴隷とかもいるとか・・・。
私、犬とか猫とか好きだからそういうの聞くと胸がモヤモヤします。
いつか、奴隷制度とかなくなるといいですね。
あと帝国ラトスフィアの東には、ミリガリン山脈というとても大きい嶺があるらしいです。
そして、その奥には東国ジャポネと言った黒髪黒目の人達が住んでいるとか。
話を聞く限り日本にとても似ていると思うので、一度訪れたいです。
だけど、ミリガリン山脈はとても強い魔獣や、酷いと竜なんかもいるらしいです。
そんなのがうじゃうじゃいるらしくて、生半可な人は直ぐに殺されてしまうとか。
まだまだ先のことになりそうですね。
最後に、北なんですが・・・。
「そういえば〝スティグマの森〟だっけ? グリスの北にあって、この世界で1番怖いとこって」
タイミングよくシホが話題を揃えてきました。
この世界のことって言ったからでしょう。
「〝スティグマの森〟、別称「死の森」。入った人は決して出ることが許されず、死を覚悟するしかないってとこからついたんだよね」
「そもそも森の奥が未界なんだよね。でも不思議じゃない? 戻れないのに奥に未界があるって分かるの」
「ッ! 確かに・・・」
以外に鋭いこと言うなぁシホ。
たまにあるんだよなぁ。
でも確かにおかしい。
なんで誰も進むことが出来ないのに奥に大陸があるって分かるんだろう。
噂?
法螺話?
わかんないけど誰かの仕業かもね。
「まぁいいや。折角の休日だし屋台で食べまくろー!」
「ちょッ!? 待って、シホー!」
今日もシホに振り回される慌ただしい一日が始まるんだろうな。
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——ラトスフィア帝国 謁見の間——
お久しぶりです。
伊藤 奈那です。
現在、クラスの皆さんと一緒に王様に謁見しています。
なんでも話があるとか。
「おぉ、よく集まってくれた」
王様の容姿は、よく小さい頃日本で見てた絵本の王様と瓜二つです。
金色の王冠と立派な白髭と優しい目元、そして大きなお腹ですね。
小さい頃で思い出しました。
あの頃誰かと一緒に絵本を読んだんです。
でも、誰だったかは思い出せないんです。
ソラちゃん?
クレハちゃん?
いいえ、違います。
だって男の子でしたから。
今私の一番仲の良い男の子はハルト君のはずです。
ハルトくんは小学校の頃からの付き合いで、よく一緒に遊んでいました。
運動神経抜群で周りの女の子からモテモテでした。
それで私はよく冷たい目で見られていたんですけどね。
「——またハルトくん、ナナちゃんのはなししてたよ。」
「——ナナちゃん、ハルトくん好きなの?」
「——いいなー。ふたりともお似合いだもんね」
そんなふうに毎日言われていたんです。
でも、私の返事はいつも決まっていました。
「私は※※※くんが好きなの。ハルトくんはともだちだよ」
おかしな話です。
その好きな人が思い出せないんです。
とてもとても大切な人でした。
遊んだ記憶も確かにあるんです。
でも、顔に靄がかかって思い出せないんです。
そして、そのことを思い出すととても辛くなります。
それは恐らく今でも好きで、でもこの場にはいなくてとても寂しいからだと思います。
笑っちゃいますよね。
名前も顔も思い出せないのに好きで、会えなくて寂しいとか。
でも、それでも構いません。
なんだか思うんです。
いつかきっと思い出せる。
またきっと会えるって。
だから、今は自分の生活に気にかけることにしました。
彼も私を心配してくれてると思うんです。
当然私も心配しています。
なら、今を精一杯生きます。
いつか来るの再開の日を信じて・・・
っと、考えすぎました。
えっと何の話でしたっけ?
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——ラトスフィア帝国内 廊下——
「はぁ、冒険者かー」
「昴、声でけぇよ」
「ノリヒロ、お前が一番声でかいからな?」
「「「・・・」」」
久しぶり。
俺の名前は橘 晴人。
気軽にハルトって呼んでくれ。
今俺達は王様のさっきの話を思い出していたんだけど・・・。
「この城から出て冒険者になるやつっているのかよ」
今そう言ったのは未来 昴。
野球部に所属していて、丸刈りの頭が特徴的だ。
どこか人懐っこく憎めない性格だ。
そして現在、俺とスバル、バスケ部のノリヒロを合わせた3人で喋っているところだ。
内容は王様の言ったことについて。
王様は俺達に経験を積んで欲しいそうだ。
そのためにお試しでクラスの10人ほど冒険者になって見ないか、ということだった。
中にはこんな辛い訓練から抜け出したくて冒険者を希望する人もいたけど、下手すれば死ぬかもしれない、冒険者のほうが肉体的、精神的に辛いって聞いたら一気に暗くなった。
訓練が辛いって言うけど、学校の体育の上位互換みたいなもので訓練を終えたらほぼフリーみたいなものなんだ。
ましてや、僕達は全員勇者。
周りの待遇も良く、スバルなんか貴族の令嬢に鼻の下を伸ばしていたりする。
正直猿っぽい。
ってそんなのはいいんだ。
結局その時は誰も冒険者になることを希望しなかった。
自由になる分、さらに辛い道のりになるとするとやはり一度確認したかった。
今まではクラスという団体に所属していたから安心していたけど、そこから離れるってなるとやっぱり不安になる。
だからこそ、今悩んでいるんだけど・・・
「おい! 見ろよ!! このハムストリング!!! 一か月前と段違いだ!!」
「あのなぁ・・・」
「ハルト、何言っても無駄だ」
この脳筋のせいで決めるに決められないのだ。
誰かこの男に〝空気〟って言葉教えてあげてくれ。
その時だった。
「ノリヒロ、空気を読むんだ」
「お、おいッ、スバルッ!」
「空気? はははッ! 空気読むだってさッ!! いいか? 空気は目に見えないんだぞ? よくそれでうちの高校受かったなッ! はははははッ!!」
「「・・・・・・」」
歯が眩しい。
だから言ったじゃないか。
この脳筋に理屈は通らないって。
どうしようか、話が進まない。
ん?
あれはナナ?
なんだか暗い顔をしている。
「おーい! ナナッ!」
「あ、ハルト君」
ナナは転移してからずっと思い悩んでいる顔をしている。
理由を聞いても教えてくれない。
今まで隠し事をするタイプでは無かったのだ。
だからよりいっそう不安になる。
ナナが何を考えているのか。
どうしてそんなに悩んでいるのか。
俺の告白が嫌だったのか。
色々考えてみたけど分からなかった。
でも、ただひとつ思ったことがあった。
ナナのこの顔を見ると凄くイライラする。
自分がこの原因ではないのは確かだ。
それは本人に直接聞いたからだ。
では、なぜ不安そうなのか。
原因があるからだ。
俺はその原因が気に入らない。
ナナを不安にさせている原因がひどく気に入らない。
そして、その原因が分からないのももっと腹立たしい。
なにか、とても〝下種なもの〟だったような・・・。
ダメだ。
思い出せない。
知っているはずなんだ、俺は。
でも思い出せないんだ。
でもこうも思う。
思い出して何になる。
不安そうなら俺がフォローすればいい。
俺がナナを守ってやればいい。
〝下種〟なんか気にならないほど、俺に夢中にさせればいいだけだ。
今までだってそうだ。
俺の気になる子はみんな俺についてきた。
きっとナナだってそうなるに違いない。
だから絶対にナナを・・・
「——ハルト君?」
「はッ!? ご、ごめん! ぼーっとしちゃった!」
「そっか、私ミクちゃんに用事があるから行くね」
「そ、そっか。あのぼうけ——」
「うん。じゃ、また後で!」
「あっ!」
「振られたな!ウキキッ!」
「このサルーッ!!」
「ウキィッ!?」
俺はこのエテ公を追いかけ回すのだった。
これでこの世界の地理が凡そ掴めました。
シュン君せめて世界の名前くらい聞こうよ・・・
シュン君は国の事や自分の事しか頭になかったそうです。
天然ですね。
面白い、続きが読みたいと思われた方はぜひ評価のほどよろしくお願いします。




