間幕 潜む者
ギリギリセーフって事で許してください(許されない)
ここから、少し暴力シーンとか出ますので、血が苦手な人はバック推奨です!
夕暮れの帰り道。
西百合花高等学校の女子高生が、スマホを歩きながら操作をしていた。
年寄りのおじいさんはリアカーを引いて、それに乗せてる農具を運んでいると、彼はそんな彼女を見て一言「お嬢ちゃん危ないよ~」っと間延びした声で注意する。だけど、スマホに集中する彼女には聞こえておらず、少女はそのまま無視して歩いてしまった。
老人の注意に気付かないで歩き続けていた少女は、ふと、何処かから懐かしいメロディーの音楽が耳に入り、顔を上げる。
そして、自分がいつもの通る帰り道に居ないで、ボロボロになっている鳥居の前に居た。
「あれ、何であたしこんな所に居んの?」
彼女は来た道を引き返そうと、鳥居に背中を見せて、歩きだしたその時。
「通りゃんせ~ 通りゃんせ~」
唐突に少女らしき歌う声が聴こえ、彼女は驚いて振り向いた。
しかし、そこには古びた鳥居と何処かの神社へ続くだろう、雑草だらけの石階段以外。何も居ない。だけど、歌う声だけは彼女にハッキリ聴こえていた。
「こ~こはど~この細道じゃ~」
「ちょ、ちょっと冗談はやめてよ! 何処に居るの!?」
少女は薄気味悪いものを感じ、さっきから歌っている子供の少女へ威嚇するように言った。
しかし、そんな彼女の声を無視するかのように子供の少女は歌い続ける。
「天神さまの細道じゃ~」
「こんな遊びに付き合ってらんないから、あたしはさっさと帰るわね!」
不気味な雰囲気に耐えかねた少女は、恐怖を払いのける為に一喝すると、さっさと踵を返して元の帰り道へ戻ろうとした。
だが……
「ひっ……!」
突然、彼女の足に何かぬめりっとした物に掴まれ、少女はすぐに下を見る。
すると、そこには青白い何かの手が大量に彼女の両足を掴んでおり、少女は声にもならない悲鳴をあげた。
「ちっと通して下しゃんせ~、御用のないもの通しゃせぬ~」
徐々に歌が大きく聴こえだし、少女は再び鳥居のある方向へ顔を向ける。
そこには、先程まで居なかった綺麗な黒髪と猫のように鋭く、赤い瞳が特徴的な赤い着物を羽織っている少女が立っており、彼女は歌を歌っていた時のようなゆったりとした口調で、怯える少女に話しかけた。
「とても良い恐怖ですね、甘美で、芳醇で、まるで蜂蜜をすするかのよう…… 」
着物の少女はうっとりとした表情でそう言うと、怯える女子高生の少女は相手が人間だと思って安堵したのか、少し強がって彼女に言葉を返した。
「あんたが何言ってるのかマジ分かんないんですけど、気持ち悪…… てか、さっさと私をここから『帰しなさいよ』!」
彼女の懇願に近い言葉を聞いた着物の少女は、袖で隠れている手で口元を抑えてクスクス笑うと、それから少女を見る。
そして、目に見えぬ速さで彼女の隣に立つと、ゆっくりと耳元で囁いた。
「行きはよいよい」
「え?」
着物の少女が耳元で囁くのと同時に、チンっという音が聴こえる。
それから、その音と同時に、ポロリッと『女子高生の少女』だった者の首が地面に落ち、少女は歌の続きを口にするのだった。
「 帰 り は こ わ い ♪」
そして、彼女が歌い終わると、女子高生だった死体の首のあった切断面から大量の血が噴水のように飛び出し、着物の少女はそれをシャワーを浴びるように気持ちよさそうに両手を広げて血を浴びたのだった。
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「あ~あ、だから言ったのに、お嬢ちゃん危ないぞーってな。ハハハハ」