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追記2 怪しい壺売りと邪龍、そして女ガンスリンガーが仲間になった。

 世界解放戦線――


 ガイアリベレイター。


 それは、世界を救うために集まった精鋭たちによる秘密結社である。


 ……の、はずだった。


「では、二人目の加入審査に移ります」


 司会役を務める犬神信人が淡々と告げる。


 その横には、


 悪魔博士の熊田。


 段ボール製パワードスーツの鎧坂。


 元剣聖の聖子。


 そして……


「なぜ私が真ん中なんですか……」


 頭を抱える律子。


 前回の面接で、魔法少女や元暗殺者など、濃すぎる人材を見せられた彼女の精神はすでに限界だった。


 信人は書類を確認する。


「今回の推薦人は、私です」


「推薦する人物は――」


 一拍置いて。


「壺井壮介さん」


「職業は……」


「願いを叶える壺の販売です」


 沈黙。


 数秒後。


 熊田が手を挙げる。


「もう合格でいいんじゃないか?」


「効果は確認済みだろう?」


 信人は首を横に振った。


「一応、形式的な面接は必要です」


「秘密結社にも手続きはありますから」


「そこ真面目なんだ……」


 律子は小さく呟いた。


 怪しい神主と謎の美女


 パイプ椅子に座っていたのは、


 白い神主装束を着た男。


 壺井壮介。


 そして、その隣。


 銀色の髪。


 整った顔立ち。


 白い純白の斎服。


 どう見ても二十代後半ほどの美女。


 聖子が首を傾げる。


「……横の女性は?」


 壮介は平然と答えた。


「ツボニール様です」


「…………」


「「「「「え?」」」」」


 全員の声が重なった。


 聖子が目を細める。


「待って」


「確か……もっと小さかったような」


 そう。


 以前、壺から現れた存在は――


 小さな少女の姿だった。


 壮介は頷く。


「ええ」


「壺から出る時は、あの姿になります」


「普段はこちらです」


 すると美女――ツボニールは胸を張る。


「どうじゃ」


「妾の美しさに驚いたであろう」


 完全なドヤ顔。


 律子は思った。


(性格、変わってない……)


 聖子が二人を見る。


「……まさか」


「あなたたち……」


 するとツボニールは妖艶に笑った。


「察しが良いのう」


夫婦めおとじゃ」


「え?」


 ツボニールは壮介を見る。


「こやつは妾にぞっこんでな」


「どうしてもと言うから、仕方なく夫婦になってやったのじゃ」


 壮介の顔が真っ赤になる。


「ツボニール様……」


「ふふふ」


「この初々しさがまた良い」


 目にハートマークが浮かんでいる。


 聖子が驚く。


「壮介さんって、そういうタイプだったの!?」


 信人が首を傾げる。


「僕は逆だと思っていました」


「ツボニールさんが壮介さんを押し倒して……」


「信人」


 聖子が低い声で呼ぶ。


「はい?」


「今の発言」


「空気読もうね?」


「すみません」


 全員が同じ顔をしていた。


(そこは言わなくていい)


 邪龍ツボニールの正体


 壮介は胸を張る。


「我が神社は室町時代から続く由緒正しい神社です」


「壺に願いを込める」


壺新溜つぼにいる信仰」


「それが我々の教えです」


 律子が眉をひそめる。


「壺新溜……」


「ツボニール……」


「龍……」


 記憶の奥。


 教会で読んだ古文書。


 そこに書かれていた名前。


 そして――


「あーーーーーー!!」


 突然立ち上がる律子。


「邪龍ツボニール!!」


「教会で邪教認定されていた存在じゃない!!」


 部屋が静まる。


「あなた……」


「邪教司祭……?」


「いや……」


「邪教教皇なの!?」


 壮介が困った顔をする。


「どうなんでしょうね」


 ツボニールは腕を組む。


「何を言う」


「お主たちの教会が勝手に邪教認定しただけじゃ」


 律子は震える。


「でも伝承では……」


「神と悪魔を相手に七日七晩戦って封印されたって……」


 ツボニールはため息を吐く。


「まあ」


「間違ってはおらん」


「じゃが悪いのは妾ではない」


「後世の者たちが勝手に脚色しただけじゃ」


 腰に手を当てる。


「妾はただ――」


「恋に悩む者を救っていただけじゃ」


 宇宙一の恋愛コーディネーター


 壮介が指を立てる。


「いいですか」


「我々の神社は」


「運結びの神」


「恋愛成就」


「夫婦円満」


「縁を繋ぐ神様なのです」


 聖子が呟く。


「……あの戦闘力で?」


 律子の脳裏に浮かぶ。


 レプティリアンを一瞬で吹き飛ばした姿。


「妾は宇宙一の恋愛コーディネーターじゃ」


 ツボニールは胸を張る。


「成約率」


「100%じゃ」


「それ、怖い意味じゃないですよね?」


 律子は不安になった。


 怪しい壺の秘密


 箱崎が話を戻す。


「まあ、問題はそこではない」


「今後協力してもらえるかじゃ」


 ツボニールは頷く。


「よいぞ」


「ただし」


「ただでは働かん」


 壮介が申し訳なさそうに頭を下げる。


「実は……神社に借金がありまして」


「だから壺を?」


「はい」


「ですが、あれは本当に大変なんです」


「神力を込めるのに三日三晩」


「完成後は寝込みます」


「その後も肌身離さず持ってもらわないと効果がありません」


 壮介はため息を吐いた。


「ぼったくりに見えますけど……」


「手間は本当にかかっているんです」


 すると聖子が思い出す。


「あれ?」


「でも雑誌広告……」


「すごく怪しかったわよね」


『某県某町 30代男性』


『半信半疑でしたが効果に驚きました』


『年齢=彼女いない歴だった僕にも彼女ができました』


『さらに悪の軍団にも勝てました』


『壺の力は本物です』


「って広告」


「顔黒塗りの男性」


「あなたですよね?」


 信人が頷く。


「ああ」


「僕です」


「え?」


「ええええええ!?」


 聖子が叫ぶ。


「あんた買ってたの!?」


 信人は真顔。


「信者なので」


「理由そこ!?」


 熊田が手を叩く。


「もう合格でいいだろ」


 全員頷いた。


「決まりじゃな」


 こうして。


 怪しい壺売り――


 いや。


 邪龍ツボニール率いる神社一派が加入した。



 さらに現れる新たな加入者


 しかし。


 誰も気づいていなかった。


 いつの間にか。


 部屋の隅。


 一人の女が座っていたことに。


 足を組み。


 煙草を片手に。


 金髪。


 白い肌。


 整った顔。


 黒革帽子。


 背中にドクロの描かれた黒いジャケット。


 女は不敵に笑う。


「ここはいいな」


「男がいる」


 そして立ち上がる。


「俺の名は――」


「エレノア・ウエストウッド・ツボイ」


「ガンスリンガーだ」


 沈黙。


 律子の顔が引きつる。


(まだ増えるの!?)


 ツボニールが平然と言う。


「こやつも仲間にするとよい」


「義理の妹じゃ」


「腕は保証する」


 箱崎は即答した。


「うむ」


「採用じゃ」


「早っ!!」


 律子の叫びが響く。


 こうして――


 世界解放戦線ガイアリベレイターには、


 邪龍。


 怪しい壺売り。


 そして女ガンスリンガーが加入した。


 秘密結社は今日も順調に、


 一般人には説明不能な組織へと進化していくのだった。



ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


今回のエピソードでは、新たな仲間として登場した

女ガンスリンガー――エレノア・ウエストウッド・ツボイの物語へ繋がる要素を入れました。




次回作は、彼女を主人公にした物語になります。



辺境の地。


そこは、女性ばかりが暮らし、男性がほとんど存在しない世界。


さらに、この世界では「美醜の価値観」までもが逆転していた。


そんな場所で、最強クラスの腕を持つ女賞金稼ぎ――エレノア。


彼女の前に現れたのは、異世界から迷い込んだ一人の青年だった。


孤独に生きてきた女ガンスリンガーと、

何も知らない異世界の青年。


これは、二人が出会い、

少しずつ互いを理解していく――


ガールミーツボーイの物語です。


今回の登場で気になった方、

エレノアの過去や新しい世界観に興味を持ってくださった方は、

ぜひ次の物語も読んでいただけるとうれしいです。


また、本作への感想・リアクション・「このキャラが好き!」など、

気軽にコメントいただけると作者の励みになります。


これからも楽しんでいただける物語を書いていきます。


今後ともよろしくお願いいたします!

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