第二章:さすらいの詩人 PART.2
IV.
翌日の夕刻、オーウェンは再び川辺へと足を運んだ。
何を待っているのか、自分でも分からなかった。
もしかすると、あの娘にもう一度会いたかったのかもしれない。
それとも、ただ一人になりたかっただけなのか。
沈みゆく太陽が川面を溶けた黄金に変えていた。遠くでは、工場の煙突がまだ煙を引きずり、空に黒い筋を引いている。数羽の水鳥が川面の上を旋回し、時折水面へ急降下しては小魚をくわえていった。
背後から近づく足音が聞こえた。
振り返ると、そこにサシャが立っていた。
彼女は古い綿入れの上着をまとい、髪を後ろに引き結び、頬にはかすかな赤みが差していた。
「きみ……どうしてここに?」オーウェンは不意を突かれて尋ねた。
サシャは歩み寄り、彼の隣に立った。
「自分でもよく分からないの」彼女は言った。
「ただ、少し歩きたくなっただけ」
二人は並んで立ち、夕日を見つめていた。
長い沈黙の後、サシャが口を開いた。
「オーウェン」
「うん?」
「ゆうべ、夢を見たの」
「どんな夢だ?」
サシャは少しの間、黙り込んだ。それから言った。
「小さな女の子の夢。私にそっくりなの。その子は広大な青い光の中に立って、私を見つめていた。何か言いたそうだったけど、言葉は何も出てこなかった」
オーウェンの胸の内で、何かが動いた。
彼はエヴリンが言っていた銅貨のことを思い出した。
彼女が使った言葉を思い出した──『有縁』。
「たぶん……」彼は言いかけたが、何と言えばいいのか分からなかった。
サシャは彼を見つめ、不意に尋ねた。
「人は運命を持っていると思う?」
オーウェンは少し考え、それから首を振った。
「分からない。でも、どうしても逃げられないものって、ある気がする」
サシャは微笑んだ。淡く、かすかな微笑みだったが、それは美しかった。
「私も同じことを感じてる」
彼女はポケットから小さな布の包みを取り出し、オーウェンに手渡した。
「これは?」
「開けてみて」
オーウェンが包みを開くと、中には小さな結晶の欠片が入っていた──彼が倉庫から持ち出したものと、瓜二つの欠片だった。
「きみ……これをどうやって?」
サシャは首を振った。
「分からないの。母がくれたの。生みの母親の持ち物だったって」
オーウェンは欠片を見つめた。奇妙で、深い感情が彼の内に湧き上がってきた。
彼は自分のポケットに手を入れ、自分の欠片を取り出した。
二つの欠片は彼の掌中で並び、そして共に、かすかな燐光を放ち始めた。
二人とも、凍りついたように動きを止めた。
光は弱く、幽玄だったが、深まりゆく黄昏の中では驚くほど鮮やかだった。二つの欠片は互いに呼応するように脈打っていた。
まるで、遥かな時を越えて再会した旧友のように。
「これ……」サシャの声が震えている。
オーウェンも言葉が出なかった。
彼らはその光を見つめた。光が彼の掌中で揺らめき、踊り、それからゆっくりと、優しく薄れていき、やがて消えるまでを見つめていた。
遠くで、教会の鐘が鳴り始めた。
V.
パズ西地区、ゴランの雑貨店。
オーウェンが扉を押し開けると、ゴランはちょうど棚の整理をしているところだった。
店は狭かったが、狭い店のわりに何でも揃っていた──針と糸から小麦粉、灯油に石鹸まで、あらゆるものが少しずつ並んでいる。店の中には、様々な匂いが入り混じっていた。灯油、石鹸、塩漬けの魚、そして飴の甘ったるい香り。
「おや、オーウェン坊っちゃんじゃないか」ゴランは顔を上げ、笑顔で迎えた。
「今日は何が入り用だい?」
オーウェンはカウンターへ歩み寄り、二枚の銅貨をその擦り減った表面の上に置いた。
「これ、見てもらえますか?」
ゴランは銅貨を拾い上げ、灯りにかざした。目を細め、眉間にかすかにしわが寄る。
「こいつは……どこで手に入れた?」
「友達にもらったんです」オーウェンは言った。
「何か?」
ゴランはしばらく沈黙した。それから言った。
「こいつはとても古い硬貨だ。少なくとも二十年、もしかするともっと前のものかもしれん」
「二十年?」
ゴランはうなずいた。
「縁の擦り減り具合を見てみろ。それに刻まれた文字も──『開運』に『有縁』。わしが若い頃、こういう銅貨を見たことがある。あれはまだ戦争の時代だった。人々はこういうものを特別に鋳造して、大切な人に贈ったものだ。幸運を祈ってな」
彼は銅貨をオーウェンに返した。
「これをくれたのは、ただ者じゃないな」
オーウェンは雑貨店を出た。
心の中の疑問は増えていくばかりだった。
あのエヴリンという女は、一体何者なんだ?
なぜ彼女は、俺とサシャにこの古い銅貨を渡したんだ?
そして──彼女はどうやってサシャの存在を知っていたんだ?
VI.
デレン地域病院。
サシャは患者の包帯を替えているところだった。今日は慌ただしい一日で、朝から今まで立ちっぱなしだった。
ルカはだいぶ良くなり、あと数日もすれば退院できるだろう。彼はサシャの手を掴み、治ったらお菓子を奢ると、嬉しそうに言った。サシャは笑って承諾した。
病室を出ると、マリエンが向こうから歩いてきた。どこか落ち着かない様子だった。
「サシャ、外にあなたを訪ねて来てる人がいるわ」
「誰?」
「分からないの。中年の男性で、顔に傷があった。入り口に立って、中をじっと見てた。誰を探しているのか聞こうと外へ出たら、私を一目見てすぐ立ち去ったわ」
サシャの胸が激しく波打った。
あの傷痕の男だ。
彼女は急いで入り口へ走り、外を見渡した。
通りは行き交う人々で溢れていたが、その姿はどこにもなかった。
彼女はその場に立ち尽くし、行き交う見知らぬ人々を眺めながら、言葉にできない感情が胸の内に込み上げてくるのを感じた。
あの男は誰なんだ?
なぜ何度も自分を見に来るんだ?
VII.
夕暮れ。聖キャサリン教会。
デレンは夕の祈りを捧げていた。聖母像の前で、ろうそくの灯が揺らめき、年老いた顔にゆらゆらと光と影を映し出していた。
サシャが入ってきて、隣に腰を下ろした。
「母さん」
デレンは目を開き、彼女を見つめた。
「どうしたの?」
サシャは一瞬ためらい、それから今日起きたことを話した。
デレンは黙って聞いていた。
重たい沈黙の後、ようやく口を開いた。
「あの男は……」
声はとても小さかった。
「あなたの父親の友人かもしれない」
サシャの全身が固まった。
「私の父親?」
デレンは彼女を見つめた。その目には、複雑で絡み合った感情が泳いでいる。
「あなたの父親は……良い人だった」彼女は言った。
「でも、もうこの世にはいない」
サシャの胸が沈み込んだ。
「その人は……どうやって死んだの?」
デレンは首を振った。
「分からないの。ただ、あなたの母親があなたを連れて逃げてきたことだけは知っている。彼女は事情を何も話さなかった。あなたを大事に育ててほしいとだけ言った」
サシャはうつむき、手首の模様を見つめた。
繊細な青い線が、ろうそくの灯の中でかすかに光っている。
「母さん」彼女は尋ねた。
「私の父親の名前は?」
デレンは長い間、探るように彼女を見つめていた。
「あなたが準備できた時に」彼女は言った。
「教えるわ」
VIII.
夜が降り、パズは再び闇に包まれた。
オーウェンはベッドに横たわり、結晶の欠片を掌中に握りしめていた。
それはまだかすかに光り、まるで鼓動する心臓のように温かかった。
彼はサシャのことを考えた。二人の欠片が互いに共鳴し合った瞬間のことを考えた。
それは何を意味するのか?
彼には分からなかった。
だが、冷たく明瞭な確信と共に知っていた──自分の人生は、もう二度と静かには戻らないだろう。
外では、月光が窓から差し込み、床の上に溜まっていた。
遠くで、夜の鳥が闇に向かって一声鳴いた。
IX.
同じ時刻、パズ市外の低い丘の上。
一人の男が立ち、眠りにつく街を見下ろしていた。
彼はアースブラウンのトレンチコートをまとい、古びてくたびれた帽子を目深にかぶり、顔の半分を隠していた。
背後では、数人の人影が身動き一つせず控えている。
「確認は取れたか?」彼は尋ねた。
「取れました」背後の人影の一人が答えた。
「二人ともこの街にいます」
男は何も言わなかった。
風が丘を吹き抜け、コートの裾を揺らした。
彼はパズの点在する灯りを見つめ、長い間見つめ続けた。
「時間をかける」やがて彼は言った。
彼は向きを変え、丘を降り始めた。
背後に従う者たちもそれに続き、闇に呑み込まれていった。
彼らが誰なのか、誰も知らない。
彼らが何をしに来たのか、誰も知らない。
ただ風だけが、彼らがそこにいたことを知っていた。
X.
朝。パズは再び目覚め始めた。
霧は晴れ、太陽の光が街路に降り注いだ。
オーウェンは自転車を漕ぎ、見慣れた通りを走っていく。
『イヤーズ』機械製作所の前を通り過ぎようとした時、イニアスが戸口に立って手を振っているのが見えた。
「オーウェン!」
彼は自転車を止めた。
イニアスが歩み寄り、声を潜めた。
「ゆうべもう一度調べた。でも、どうしてもあの物体の記録が見つからない」
オーウェンはうなずいた。
「なら、もう調べるな」彼は言った。
「最初から見なかったことにしろ」
イニアスは彼を見つめた。
「本気か?」
「本気だ」
オーウェンは自転車に跨がり、漕ぎ出した。
太陽が彼に降り注ぎ、暖かく、明るかった。
彼は深く息を吸い込み、石炭の煙と潮風の混ざり合った匂いを肺いっぱいに満たした。
新たな一日が始まったのだ。
彼が知る由もなかったのは、市外のあの低い丘の上に、すでにその視線をパズへと定めた者たちがいるということだった。
そして、運命は静かに動き始めていた。




