第四章:侵蝕する闇 PART.3
VII
居酒屋は刻一刻と賑わいを増していった。
誰かが歌っている。嗄れたざらついた声で、船乗りの労働歌を怒鳴るように歌っていた。誰かが飲み比べをしている。耳をつんざくような叫び声が飛び交っていた。誰かが物語を語っていて、取り巻いた聞き手たちが一言一句に驚嘆の声を上げていた。
オーウェンはエールを飲みながらも、その心はフランツのあの一言から離れなかった。
「あんたは俺の知ってる誰かに似てる」
誰に?
父親にだろうか。彼は一度も父親を見たことがなかった。サラは、彼が幼い頃に父親は事故で死んだと言っていた。写真も、肖像画も、何も残っていなかった。
もっと問い詰めたかったが、フランツはうつむいて酒を飲むばかりで、ほとんど口をきかなかった。
カールが身を寄せ、耳元で囁いた。
「あの男はあまり口数が多くないんだ。気にするな」
オーウェンはうなずき、何も言わなかった。
しばらくして、フランツが突然顔を上げ、オーウェンを見た。
「名前は?」
「オーウェン。オーウェン・クラックス」
フランツはうなずき、その名を自分自身に言い聞かせるように繰り返した。まるで味わうかのように。
「クラックス……」彼は呟いた。「どこかで聞いたことがあるな」
どういう意味かと尋ねようとしたが、フランツはすでに立ち上がり、カウンターの方へ歩き出していた。
オーウェンはその痩せた後ろ姿を見つめながら、心の中の疑問がますます重くなっていくのを感じていた。
誰かに似ている?
誰に。
VIII
教会では、ろうそくの灯が揺らめいていた。
デレンは聖母像の前に跪き、指にロザリオを絡め、唇をかすかに動かして無言の祈りを捧げている。その背は痩せ細り、歳月に丸められ、ろうそくの灯の中では彼女自身が彫像のように見えた。
サシャは隣に座り、揺れる炎を見つめていた。
長い時が過ぎてから、デレンは目を開き、彼女を見た。
「あの人に、また会ったのね」
サシャはうなずいた。
デレンはしばし沈黙した。
「あの人は……何か言った?」
サシャは首を振った。
「逃げた。いつも逃げてしまうの」
デレンはため息をついた。
「母さん」サシャは彼女を見つめて言った。「あの人は、本当は誰なの? 父とどんな関わりがあるの?」
デレンは長い、長い間沈黙した。
ろうそくの炎が風に揺れ、壁に映る二人の影を伸び縮みさせている。
ついにデレンは口を開いた。
「あの人の名はミハイル」声はとても小さかった。「あなたの父親の、一番の友人だった」
サシャの胸が締め付けられた。
「二十一年前、あの人たちは共に戦場にいた。肩を並べて死線をくぐり抜けてきたの」
デレンは聖母像を見つめ、その目を遠くへ漂わせた。
「あなたの父親が死んだ時、ミハイルはそばにいた」
サシャの息が一瞬止まった。
「私の父は……どうやって死んだの?」
デレンは首を振った。
「分からないの。ただ、あなたの母親があなたたちを連れて逃げた時には、もう彼はいなかった。ミハイルは後になって私を訪ねてきた。あなたの父親は、あの人たちを守るために死んだのだと言った。自分が……あの人を守れなかったのだとも言っていた」
涙がサシャの頬を伝い始めた。
だからあの人は、ずっと自分を見つめていたのか。罪の意識ゆえに?
「母さん」彼女は尋ねた。「私の父親の名前は?」
デレンは彼女を見つめた。長く、探るような眼差しだった。
「アンドレイ」彼女は言った。「アンドレイ・ヘルマン」
サシャはその名を、心の中で何度も繰り返した。
アンドレイ・ヘルマン。
それが、彼女の父の名前だった。
会ったこともない人。一度も呼んだことのない人。何も知らなかった人。
今、彼女は知った。
IX
パズ市外の、放棄された穀物倉庫。
闇の中に、数人の人影が集まっていた。月光が割れた窓から斜めに差し込み、彼らの上に落ちている。彼らは黒い服をまとい、深いフードを被り、その顔には一切の表情がなかった。
倉庫は朽ち果てていた。床には腐った藁が積もり、隅々から鼠の這い回るかさかさという物音が聞こえてくる。風が壁の隙間から吹き込み、何かが泣いているような低い唸り声を立てていた。
リーダーらしき男が一番奥に立ち、地図を調べていた。地図はひっくり返した木箱の上に広げられ、四隅を石で押さえてある。そこにはパズの街路、建物、港湾施設がぎっしりと書き込まれていた。一か所が赤い丸で囲まれている。
「ここで間違いないな?」
彼は尋ねた。その声は非常に小さく、非常に平板で、どこか空洞から響いてくるかのようだった。
「間違いありません」
もう一人が答えた。その声も同様に小さく、同様に平板で、まったく抑揚がなかった。
「二人はこの街にいます。守護者もここに」
リーダーはうなずいた。
「連中の到着はいつだ?」
「三日後です」
リーダーは数秒沈黙した。
「この三日間、連中をしっかり監視しろ。獲物を驚かせるな」
「了解」
リーダーは顔を上げた。月光がその顔に落ちた。
それは若い顔だった。平凡な顔だった。
しかし目が──その目は虚ろで、まったく空っぽだった。そこには何の感情もなかった。温かさもなかった。生きた人間に属するものが、何一つなかった。
彼は地図の上の赤い丸を見つめ、その口元をゆっくりと吊り上げた。
それは笑みだった。
しかし、笑みなどない方が、まだましだった。
「もうすぐだ」彼は呟いた。
遠くで、犬が吠え始めた。人影たちは一斉に身を強張らせたが、すぐにまた静まった。
倉庫の中には、風の呻きと鼠の這い回る音だけが残った。
X
朝、目を覚ました時、オーウェンの頭は割れそうに痛んだ。
昨夜は飲みすぎた。彼は起き上がり、こめかみを揉みながら、サラがもうストーブの前で立ち働いているのに気づいた。火の上では粥の鍋がぐつぐつと煮え、香ばしい湯気が部屋中に満ちている。
「起きたのね」サラはちらりと振り返った。「頭が痛いんでしょ。飲みすぎるなって言ったのに」
オーウェンはきまり悪そうに笑っただけで、何も言わなかった。
彼は服を引っかけ、粥を一杯かき込み、自転車を押して戸口を出た。
太陽はすでに昇り、パズの街路に光を降り注いでいる。店々は次々に扉を開け始めていた。パン屋からは焼きたてのパンの香りが漂い、鍛冶屋の槌音が鳴り響いている。子供たちが学校へ向かって走っていく。背中の鞄が跳ね、笑い声は朝の風に散っていった。
すべてが前日と変わらぬ姿に見えた。
『イヤーズ』の前を通り過ぎようとした時、イニアスが戸口に立っているのが見えた。
彼は自転車を止めた。
イニアスが歩み寄り、声を潜めた。
「親父からまた電報が来た」
オーウェンは彼を見た。
「いつもと同じ文面だ」イニアスは眉をひそめて言った。「『万事順調。冷え込んできた。厚着をしろ』。まったく同じだ。これで七通目だ」
オーウェンは、あの日郵便局の外でちらりと見かけた灰色の服の人影を思い出した。
あの姿は、キー老によく似ていた。
しかし彼はそのことを口にしなかった。
ただイニアスの肩を叩いた。
「考えすぎかもしれないぞ」
イニアスは首を振ったが、何も答えなかった。
オーウェンは再びペダルを漕ぎ出した。
太陽が彼に降り注ぎ、暖かく、明るかった。
しかし胸の奥深くでは、奇妙な感覚が根を下ろし始めていた──
何かが、あの闇の中から、ゆっくりと、抗いがたく近づいてきている。
皆さん、第五章からは分割せず、完全な章単位で掲載していきます。




