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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第六章 副業・兼業OK

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閑話 緊急事態

●オフィスのようなところ●


「いた!

私の『加護』の発動を感知できた!

 場所……、場所……!

っあぁ?!

ミルポア?!

ヘルトからここまでって、

大陸のほぼ北端と南端の距離じゃない!

絶対トラブルだ……」


 『風の神』は、他の四人にとにかく連絡した。

四人は瞬きよりも速く『風の神』のもとへ現れる。


「いましたか?

場所は?」


 『鋼の神』はハンカチで顔の汗を拭きながらたずねる。


「ミルポア!

大陸の南の端の方!」

「そりゃ、自分たちの意思で行けるところじゃねぇな」


 『火の神』は頭をかきむしって、

『風の神』に謝罪した。


「適当こいてたみたいだわ。

すまん」

「謝る暇か、タバコ吸う時間があるなら、

働けヤニカス」

「ひっでぇ」


 この二人、口こそ悪いが仲良い。

『風の神』に小突かれた『火の神』は、

ポケットからタバコの箱を取り出し、

渋面でゴミ箱へ投げやった。

 『土の神』は眼鏡を上げて言う。


「……魔物の氾濫だ。

ここ、魔物に襲われたんだ。

だから、『加護』を使ってしまった」


 ビトメが頑なに『加護』を使わないと決めていたのは、

六柱全員が知っていることだ。

それでも、彼女は使った。

使わざるおえないほど追い詰められたと見て、

間違いない。


「アイツには悪いけど。

呼ぶよ、『死の神』」


 『水の神』はそう言って、

スマートフォンのようなものを懐から取り出した。

五柱の神々は、一様にうつむき加減で同意する。

 『水の神』はスマートフォンへメッセージを文字で打ち込み、

送信した。

一拍置いて、神々の前に男が現れた。

 顔面蒼白。

比喩ではなく、本当に骨と皮しかない。

目はおちくぼみ、しかし見開かれてギラギラしている。

ほほが痩けて、頭蓋骨に皮が貼ってあるだけのような。

白いシャツから覗く手や腕も細くなり、

中身のない皮が余っていた。


「緊急事態だな」


 彼の声は、嫌にはっきりと聞こえた。

皆、一様に彼のことを心配そうに見ている。

それに気付いた彼は、

自らの身体を見回して聞く。


「……私の顔はそんなに酷いか?」

「言っちゃ何だがよ……。

今すぐ寝てほしいけど、

寝たら二度と起きなさそうな顔してんぞ」


 『火の神』の言葉に『死の神』は肩をすくめたが、

それだけだった。

『鋼の神』は『死の神』の肩を支えて言う。


「……分派しましょう。

貴方の元からある権能は、そのままで。

『命の神』から受け継いだ、

『生命』と『変化』の権能のどちらかを分ければ……」

「『闇の神』にそそのかされて、それをして、失敗した。

さすがに二の舞はごめん被る」


 彼の言う通りだ。

確かにそうだが。


「でも、それで分派せずに、

アンタが倒れたら元も子もないよ」


 『風の神』の言う通りでもある。


「まだ行けるさ。

とにかく、目下の問題は二人が。

トシオが連れ去られたことだろ?」


 誰も『死の神』の言葉に反論はできなかった。


「何としてでも、

二人を保護するんだ……!」


 『死の神』は静かにそう言った。

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