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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第三章 充実した福利厚生!

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第50話 逃げた!

●どこかの森の中●


 黒いドレスを翻し、

『闇の神』はメグのダンジョンコアを拾い上げた。


「これ以上、好きにはさせない」


 『踏破の聖女』は、

いつかのトシオのようにまばたきすらできず、

石を振りかぶった体制のまま動かない。


「忌々しい。

『光の神』から加護を貰った聖女」


 『闇の神』を含む神が、

この世界の人間を直接殺すことはできない。

『死の神』のみ、この世界の人間を殺せる。

トシオは『闇の神』が連れてきた別世界の人間なので例外だ。

 しかし、そのルールを破ることはできる。

破ると神はしばらく現世に関与できなくなる。

『闇の神』は、メグへ借りを返すため、

それを破ることにした。


「死になさい」


 『闇の神』が右手を振り上げて、

振り下ろした。

その瞬間、『踏破の聖女』の身体がまばゆく光だした。


「なっ!?」


 『闇の神』の力が霧散し、

『踏破の聖女』が動けるようになる。


「なんで?

『光の神』の力が?」


 『闇の神』が困惑している。

『踏破の聖女』が敵を見つけた。

彼女は握った石を、

マサカリ投法で『闇の神』へ投げつけた。

 『闇の神』は力を使ってそれを防ごうとしたが、

石がその力を砕いて貫く。

『闇の神』はかろうじて石を避けたが、

その頬から一筋の血が流れる。

すぐさま、『踏破の聖女』が追撃の飛び蹴りを放つ。


「なんで、力が増してるの!?」


 『闇の神』は困惑しつつ、

『踏破の聖女』から距離を取った。

 『光の神』の司るのは、人の文明。

オスマンサス王の宣言は、世界に届いた。

国が、貴族が人を統べる根拠の一つが、

『創世の神に選ばれた人間』だからだ。

 オスマンサスはそれを手放し、

民主化をすると宣言した。


 それは、明確な人の文明の変化、進歩だ。


 それを糧に『光の神』の力が強まり、

『踏破の聖女』の加護も強化された。

 『闇の神』と『教会』は、

それをさせないために百年前のオスマンサスに介入し。

内戦を起こして、反民主化を勝たせた。


 それに気付いたトシオが、

オスマンサス王に『銀行』を教えた。


 銀行は金融の流通経路を明確にするため、

融資などで土地から資産を切り離すためなど、

民主化には必要なものだ。

だが、この世界には銀行の概念からない。

 商業ギルドは金貸しはするが、

銀行と呼べるほどの機能はなかった。

そう言うものを含めてまとめた『銀行』が、

トシオの言う『ダンジョンより国益になる話』だ。

 オスマンサスの民主化宣言と、

議会政治の導入。

銀行の設立と言う大きな文化の進歩。


 『闇の神』が必死に『神の御力』と言って誤魔化し、

文明や技術を進歩させないようにしたのは、

『光の神』を衰退させるため。


 そして、文明の『無変化』が長期間続いたため、

『光の神』は死に瀕していた。

それに気付いたトシオが、

全てをひっくり返す一手を打ったのだ。


「あの男っ!」


 『闇の神』はすぐに目的を変更する。

ダンジョンコアの確保だ。

 『闇の神』はダンジョンコアを抱えて、

急ぎ闇に溶ける。

『踏破の聖女』は、もう一投石を投げたが当たらなかった。


「逃げた!」


 『踏破の聖女』は地団駄を踏んで悔しいがり、

家路についた。

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