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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第三章 充実した福利厚生!

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第49話 正式に抗議文を持ってこい!

●???●


 高原に白い城壁が高くそびえ、

朝焼けを反射し美しく輝く。

ここは、『教会』の本拠地『オブリーク』。

 正確には国だが、

領土はこの城壁分、街はここしかない。

それ以上は過分と、言って、

敬虔な『創世の神』の信者だけが暮らす小さな国だ。

 その、門の目の前に瞬間移動してきた、

三人の男。

ただでさえ、『踏破の魔女』に襲撃され、

『聖女』が行方不明で大混乱な所に現れたの不審者。

兵隊が門を開いて出てきた。

 不審者の一人がローブを脱いで、

自分に拡声の魔法をかけて叫ぶ。


「宣誓!

私は、オスマンサス王家、第三代国王!

ジョージ・オスマンサス二世!

 我々、オスマンサスは!

この度! 『議会政治』を導入する!

『青院』と『赤院』の二院制で『王民会議』設立!

『青院』には、現在の爵位を持つ者を議員にする!

『赤院』には、各地の商工会の会長を議員にする!

 そして、『青院』は五年、『赤院』は四年ごとに、

『選挙』により議員を選出する!

『選挙権』の詳しくは、後程!」


 もう一人がローブを脱いで、

同じように拡声の魔法をかけて叫ぶ。


「私は、レオ・オスマンサス!

本名は、(から) 獅子介(ししすけ)

 百数年の眠りから覚め!

ここに改めて、オスマンサスの民主化を宣言する!

今から約五十年をかけて、我が国は民主化し!

王族は国家元首ではあるが、

形式的なものに移行していく!

 手始めに、『国民会議』に予算の決定権を!

既存の裁判所には、

王家から完全に独立した司法権を付与する!」


 オスマンサス王とレオは、

髪の色こそ違うが似た顔をしたイケジジだ。

レオはロマンスグレーの髪をかきあげて笑う。


「ジョージ王!

私の作った百年前の制度を!

この日この時まで護ってくれて!

心より感謝する!」

「否!

私は貴方を裏切ったものの血筋!

恨まれこそすれど、感謝など!」

「はっはっはっ!

裏切り者が、

おとしめた相手の制度を護る訳ないだろう?!

 君たちは、私のかわりに百年も戦ってくれた!

こんな素敵な目覚めはない!」


 オスマンサスは、ずっと待っていた。

百年前なし得なかった民主化を。

百年もの間、封建制を盾にして国王と領主たちは耐えた。

『教会』が介入しづらいこの時まで、ずっと耐えてきた。

 ジョージ王が更に叫ぶ。


「次に!

『銀行』を設立し!

金銭の流通経路を明確化する!

 貸金業と保険業もあわせて銀行で行うようにし、

国庫は銀行とつなげる!」


 そして、ジョージ王が笑う。


「次に!

我が国では『信仰の自由』を憲法に明記する!

そして、『教会』が異端とした宗教の信者への暴行や殺人は、

我が国では私刑として処理しない!

逮捕し、我が国の法で裁く!」


 レオが笑ってそれに続く。


「王位の継承権も見直しする!

まず、女王を認め女児にも継承権を付与する!

王と血筋が近く、『創世の神』を信仰する、

出生後満三歳になった者から順に継承権を付与する!

傍系も含む!」


 そして、二人は声をあわせて叫んだ。


「この決定に異議があるなら、

正式に抗議文を持ってこい!」


 二人は大笑いして、

三人目の瞬間移動の魔法使いに合図を送り、

オスマンサスへ帰還した。

 残されたオブリークの兵隊たちは、

困惑したまま捨て置かれた。

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