第49話 正式に抗議文を持ってこい!
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高原に白い城壁が高くそびえ、
朝焼けを反射し美しく輝く。
ここは、『教会』の本拠地『オブリーク』。
正確には国だが、
領土はこの城壁分、街はここしかない。
それ以上は過分と、言って、
敬虔な『創世の神』の信者だけが暮らす小さな国だ。
その、門の目の前に瞬間移動してきた、
三人の男。
ただでさえ、『踏破の魔女』に襲撃され、
『聖女』が行方不明で大混乱な所に現れたの不審者。
兵隊が門を開いて出てきた。
不審者の一人がローブを脱いで、
自分に拡声の魔法をかけて叫ぶ。
「宣誓!
私は、オスマンサス王家、第三代国王!
ジョージ・オスマンサス二世!
我々、オスマンサスは!
この度! 『議会政治』を導入する!
『青院』と『赤院』の二院制で『王民会議』設立!
『青院』には、現在の爵位を持つ者を議員にする!
『赤院』には、各地の商工会の会長を議員にする!
そして、『青院』は五年、『赤院』は四年ごとに、
『選挙』により議員を選出する!
『選挙権』の詳しくは、後程!」
もう一人がローブを脱いで、
同じように拡声の魔法をかけて叫ぶ。
「私は、レオ・オスマンサス!
本名は、唐 獅子介!
百数年の眠りから覚め!
ここに改めて、オスマンサスの民主化を宣言する!
今から約五十年をかけて、我が国は民主化し!
王族は国家元首ではあるが、
形式的なものに移行していく!
手始めに、『国民会議』に予算の決定権を!
既存の裁判所には、
王家から完全に独立した司法権を付与する!」
オスマンサス王とレオは、
髪の色こそ違うが似た顔をしたイケジジだ。
レオはロマンスグレーの髪をかきあげて笑う。
「ジョージ王!
私の作った百年前の制度を!
この日この時まで護ってくれて!
心より感謝する!」
「否!
私は貴方を裏切ったものの血筋!
恨まれこそすれど、感謝など!」
「はっはっはっ!
裏切り者が、
おとしめた相手の制度を護る訳ないだろう?!
君たちは、私のかわりに百年も戦ってくれた!
こんな素敵な目覚めはない!」
オスマンサスは、ずっと待っていた。
百年前なし得なかった民主化を。
百年もの間、封建制を盾にして国王と領主たちは耐えた。
『教会』が介入しづらいこの時まで、ずっと耐えてきた。
ジョージ王が更に叫ぶ。
「次に!
『銀行』を設立し!
金銭の流通経路を明確化する!
貸金業と保険業もあわせて銀行で行うようにし、
国庫は銀行とつなげる!」
そして、ジョージ王が笑う。
「次に!
我が国では『信仰の自由』を憲法に明記する!
そして、『教会』が異端とした宗教の信者への暴行や殺人は、
我が国では私刑として処理しない!
逮捕し、我が国の法で裁く!」
レオが笑ってそれに続く。
「王位の継承権も見直しする!
まず、女王を認め女児にも継承権を付与する!
王と血筋が近く、『創世の神』を信仰する、
出生後満三歳になった者から順に継承権を付与する!
傍系も含む!」
そして、二人は声をあわせて叫んだ。
「この決定に異議があるなら、
正式に抗議文を持ってこい!」
二人は大笑いして、
三人目の瞬間移動の魔法使いに合図を送り、
オスマンサスへ帰還した。
残されたオブリークの兵隊たちは、
困惑したまま捨て置かれた。




