閑話 考察
気になる点がいくつも残っている。
一つ、『白の教会』と『光の神』。
『異端』とされて、命すら狙われてもなお、
神々からの独立を目指して切磋琢磨する彼ら。
彼らは何故、迫害される?
決して、テロリストではない。
魔物を殺す、ダンジョンを壊すことをテロとするなら、
話は別だが。
それ以外はむしろ、かなり優秀で善良な人たちだ。
『教会』が『闇の神』の手先で、
敵対する神と信者を滅ぼそうとしている、
とするなら。
『光の神』が死んだ時点で『闇の神』の目的は達成しているはずだ。
残された信者たちも迫害に耐えきれないだろう。
それなのに、『聖女』がいる。
しかも、異能を持ち、お告げとやらも受け取る力がある。
死んだ神は権能を『創世の神』に戻して、自我や個が消える。
『創世の神』の中で、
権能だけは今も信者を守っている。
そう言う説明だったが、俺には納得できない。
納得できない理由は、
お告げの内容が『教会』と『白の教会』で食い違っていたからだ。
俺を『助ける』と、俺が『死んだら世界が滅ぶ』は、
両立しそうだが実は別の話だ。
『俺が死ななきゃ良い』ってことなら、
オスマンサス王の言う通り『氷眠刑』やなんかで、
俺を封印してしまえば良い。
でも、それでは『俺は助かってない』。
まぁ、『踏破の聖女』は口下手だから、
うまく伝えられなかった可能性はゼロではないが。
しかし、お告げを告げる神が二柱いるなら、
話が変わる。
まず、『創世の神』がお告げを出したなら、
聖女は全員同じお告げの内容を受け取るはずだ。
しかし、聖女ごとにお告げの内容が違っていた。
ならば、『創世の神』だけがお告げを出した可能性が下がる。
例えば、
『創世の神』が天使か何かに伝言してお告げを伝えて、
その天使が間違えて伝えたり、と言う可能性はある。
しかし、それだとしても内容が違いすぎる。
さすがに、手違いでは済まない。
訂正があってしかるべきだ。
しかし、訂正がない。
つまり、『教会』の聖女にお告げを出した神と、
『白の教会』の聖女にお告げを出した神は別だ。
そして、『白の教会』へお告げをしているのは、
『光の神』。
自分を死んだことにして、
『闇の神』から姿を隠してる。
もしくは、力か何かを大きく損なっていて、
回復を待っている。
一つ、『教会』が『迷い人』を排除する理由。
おそらく、地球にある概念を持ち込んで拡げられると、
困るからだ。
一体全体、誰が困る?
『教会』が本当に『闇の神』を奉っているなら。
概念を拡げられると『闇の神』が困る。
何故こまるのか、ぜひ知りたい。
政教分離などが広がると『教会』の権威を保てず、
パトロンである各王族の権威を失う可能性があるから、
と言うのが一番有力だろう。
一つ、『死の荒野』での襲撃。
あの獣の魔物の群れは、どこからともなく現れた。
ゴーレムとゴーストの時も同じだった。
ダンジョンの中でなければ、魔物は出られないはずだ。
あの群れはダンジョンマスターのコントロールできる魔物。
野生の魔物ではないはずだ。
だが、あれらはダンジョンの外から現れた。
多分、『ここがダンジョンだ』と、制定する何かがあれば。
洞窟のような閉鎖的な空間でなくとも、
平地や荒野を。
おそらく、人の住む街をダンジョン化できるようだ。
じゃぁ、本当のダンジョンはどこに設置する?
多分、ダンジョンの範囲を制定する何かは、
ダンジョンコアと繋がらないとダメだろう。
エネルギーの供給元はダンジョンコアだ。
遠くには行けないはずだが、
どれくらいの距離になるか。
気になる。
気になるが、俺にはもう時間がない。




