表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第三章 充実した福利厚生!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/66

第47話 既にお互い敵対者だろ?

「ダンジョンが水没した、だったな?

なら、ゲートが開いた途端、

大量の水と水生の魔物の群れが俺を襲う、

ってところか?」


 俺はグラスを口に近づけて、

ちびちび飲む。

オスマンサス王は唸りながら、頭を抱えてる。


「本当に来んなよ、お前」

「俺を捕まえようとしてた人の台詞?」


 俺は苦笑いしながら言い返す。


「津波、鉄砲水が周囲を押し流しつつ、

逃げられないようにフィールドを自分の有利に占領して、

魔物を放つ。

 極悪だなぁ。

さてさて、どうする?

オスマンサス王」

「私にふるな、私に。

本当に、私はツイてない王だ」

「レオを裁いた王よりは、マシだろ?」


 俺が笑って言うが、

王は苦しそうに唸ったままだ。


「……策は、あるのか?」

「皆、そう聞いてくるのな。

あるぞ?」


 腹痛で死にそうな声で王は言う。


「……私にも協力しろと?」

「んふふ……。

俺を犯罪者にして捕まえようとしてる国の長とは、

思えない発言だな?」

「お前自身が爆弾みたいなくせに、

よく笑ってられるな?」


 俺は更に笑みを深めて。


「知ってるか?

悪魔はな、

いつでも陽気に笑ってんだよ」


 オスマンサス王が、

バリバリ音が聞こえるほど歯を食いしばって。


「んぎぎ……。

何をして欲しい?」

「はっ!

『教会』の総本山、

オブリークに行ける瞬間移動の使い手を出せ。

あと、レオだ。

解放して連れて来い。

 今すぐだ。

のんびりしてたら、

夜が明けて海があふれ出すぞ?」


 金髪が何故か会話に割って入る。


「お待ちください。

『死の荒野』の土を調べて、

水をためない秘密を暴いたのは、

『大海のダンジョン』を迎え撃つためではないのですか?」

「聞き捨てならん。

なんだ、その魅力的なことは。

『死の荒野』の土の秘密?

私も噛ませろ」


 オスマンサスは『死の荒野』に隣接した国だ。

あれを何とかできれば、国土は増えるし、

ダンジョンも増える。


「残念。

荒野のダンジョンは多分滅びてるよ」

「お前、そこもか?」

「それは、『白の教会』にいる聖女様のお手柄さ」

「し、『白の教会』は、ダンジョンを壊せるのか?」

「そうとも!

もう俺が入れ知恵しまくった!

俺を殺しても、もう手遅れ!」


 俺が大笑いするが、

王は持ち上げかけた拳を力なく落とす。


「そ、そんな。

……手遅れ、だと?」

「俺がいなくても、

ダンジョンは破壊可能だ!

 ……なぁ、王様。

ダンジョン以外で国益になる話。

聞きたいか?」


 オスマンサスはダンジョン保有国だが、

他の保有国と比べると立場が低い。

それは、貿易を手放せるほどダンジョンが儲けてないからだ。

 理由は大海のダンジョンが広すぎて、

地図や魔物の分布を把握しきれず。

他の保有国の様に、

価値有る魔物や宝箱の分布範囲を重点的に周回できてない。

周回して財産を貯めるなり、

他国に売るなりして国益として計上できるからだ。

 現状では、地道にダンジョンアタックするしかなく。

魔物の素材も宝箱も回収量に大きな波ができ。

結局家業の貿易とダンジョンを抱き合わせて、

やっと他のダンジョン保有国と張り合える。

そう言う立場だ。

 だから、ダンジョンを破壊できる俺を、

とにもかくにも、殺したかった。

ダンジョンを失うと、

それこそ国の立場が没落するから。


「……それでダンジョン保有国に勝てるのか?」

「はっはっはっ!

『教会』が邪魔しなきゃな」


 王は目を見開いたが、すぐに細めて。


「……だから、自分と言う爆弾を、

オブリークへ落とすのか」

「ほぼ正解」


 王は値踏みする目で俺を見つめる。


「オブリークには、

無辜の民も、敬虔な『創世の神』の信者もいるぞ?

それら無関係な者たちを、

お前は巻き込んで殺すのだぞ?」


 俺は大声で笑い出して言い放つ。


「だから、どうした?

俺は英雄でも、ましてはヒーローでもない。

知り合い、友人とその家族が傷つくのは避けるが、

それ以外はどうでもいい!

 追加して言えば、

オブリークおよび『教会』に連なる者たちは、

潜在的な俺の敵だ。

まだ、『教会』が俺を殺そうとしてないだけで、

言う間に刺客を送ってきたり、

殺し屋を雇ったりするだろ。

 だったら、今のうちに数を減らしておきゃ、

俺には得になる」


 俺がそう言うと、王は鼻で笑う。


「……下手をすると、

『それ』はこの国、

この街プニャードだった可能性がある。

か?」

「あぁ。そうとも。

あんなずさんな裁判で極刑と言われたんだ。

既にお互い敵対者だろ?」


 俺はこの人は嫌いじゃない。

だが、敵なら殺す。

完膚なきまでに殺して根絶やしだ。

終わったら安眠できるくらい、

徹底的にやる。


「……ついてこい。

レオ殿を解放しに行くぞ。

やり方が書かれた書を返せ」

「話が早くて、助かるよ」


 俺は右手を差し出した。

王はそれをつかんで握手する。

取引成立だ。


「先に服を着せてくれ。

寝巻きすら着れてないんだ」

「パンツとズボン履いて、

上はそのままで良いだろ?」

「よく考えろ。

百何年氷漬けだった人が目覚めて、

始めに見た人間が裸にバスローブだったら。

お前はそんなヤツ信用できるか?」


 うん、信用できねぇわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ