表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第三章 充実した福利厚生!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/71

第43話 謁見の間へ急ごう

 会議は続く。

俺たちが盗み見ていることも知らず。


「各国が『氷眠刑』の詳細について、

詳しく説明を、と言っています。

とうとう『教会』からも、

説明をするよう強い要請がありました」

「王よ、やはりレオ殿を恩赦として解放し、

死なずに眠っているだけである、

と証明した方が良いのでは?」


 王が唸る。

レオ、と言うのが百年以上前に『氷眠刑』に処された王弟の名前だ。

王は口を開いた。


「百年以上前の人間を解放するのも、

ある種の罰だ。

とっくの昔に彼の顔見知りも、仲間も誰も彼も、

死去しているだぞ?

 残っているのは、

私のような当時を詳しく知らぬ子孫のみ。

恩赦として、と言う割には、残酷な処置では?」

「……確かに、そう言う一面もございます。

ならば、恩赦ではなく、

それで罰は完了した、と処理してもよろしいかと」


 浦島太郎だな。

帰ってきたら、天涯孤独。

誰も知ってる人がおらず、誰も自分を知らない。

厳罰だな。


「そもそもだ。

解放方法は王家に伝わっているものの、

一回も解放した、できたと言う話はない。

解放手順が正しく伝わっているか、

どうかも不確かだ。

 そんな手順で、

結果、解放できませんでした、

なんてことになってみろ」

「ならば、秘密裏に解放を試して、

成功したら発表すれば」

「失敗したら、手順を一から探すのか?

ダンジョンがあんな状態で、

そんな暇も人員もあるのか?」


 家臣たちは言い返せず、

しかし、不満を表すように唸る。

オスマンサス王は頭をかいて。


「お前たちの言いたいことは分かるつもりだ。

だがな、

後出し、後出しで、お告げだの異常事態だの。

誰が予測できた?」


 さすがに家臣たちも王から目を背けた。


「責任者と言われれば、私だろう。

それは甘んじて受けよう。

 だがな。

だが、それらに両手をあげて賛成した貴君らが、

私を非難するのは、

あまりにも無責任だろう?」

「……申し訳ございません。

しかし、今は次を見据えて先手を打たねば」


 紛糾してるなぁ。

俺は他人事の様に見つめる。

 気になるのは、解放手順が不確定というところ。

確かに、建国から一回も解放したことがない、

記録もないなら、王が言うことも納得できる。

家臣の焦りも分かるが。


「……罪人とは言えど、

レオ殿を実験台に使うのは心苦しいが、

やむなし、として。

 解放を試すなら、

王族全員を立ち会わせて手順を確認し、

全員でそれを経験、記録させなければ。

皆を集めるのにどれくらいかかる?

 後、解放にはレオ殿の体を壁から剥がさなければならん。

職人を呼ぶにせよ、兵に無理やり壁を壊させるにせよ。

時間がかかるぞ?」


 家臣の一人が声を上げる。


「公爵殿は、今王都におられます。

ご子息様もご一緒なので、

召集はすぐにできるものかと」


 将軍と呼ばれていた男が補足する。


「壁のレオ殿は、

人足さえ足りればすぐ取り外せます」


 王よ、やるのか?

解放してくれるなら、俺には好都合だ。


「トシ・オーの身柄を確保したら、

すぐにレオ殿の解放を試そう。

 そして、解放に問題がなければ、

その場でトシ・オーを『氷眠刑』にして、

各国へ公表だ」


 そう来たか、糞が。

俺は舌打ちをこらえる。


「軍はトシ・オーの側索を続けろ。

今は人の移動が激しい。

その中に紛れてるかもしれん」

「はっ」


 オスマンサス王はバカじゃないらしい。

まぁ、俺がダンジョンを破壊したと同時に、

なりふり構わず俺を殺そうとした判断力はさすがだと思うし。

この人は、敵として油断ならない相手だ。


「王都の民の状態は?」

「浮浪者がいなくなったのが、不安を煽ったようで。

城か貴族街で使用人として働く者以外は、

ほとんど自主避難して、

隣街から王都へ仕事に出てきているようです」


 ここから先の話は俺には必要なさそうだ。

俺は金髪の肩を軽く叩いて、通路の先を指差した。

彼女はうなずいて、先行して通路を進む。

俺はその後をついていく。

 しばらく進むと、階段があった。

俺たちは二階を目指して上がる。

外が見えないので体感だが、

一階の辺りで階段は途切れてしまった。


「見取り図的には、

ここは一階の広間辺りか」

「トシ・オー様。

ランタンにカバーを。

隙間が多くあるようです」


 金髪のいう通り、

ランタンにカバーをかけると隙間から光が指しているのがいくつか見えた。

 しばらく、隙間から部屋を確認しながら先に進む。

会議の通り、兵は忙しそうに右往左往していた。

メイドや執事も、ひっきりなしに駆け回っている。

ありゃ、コックか?

そんな人まで走ってる。


「この部屋、資料室か?」


 俺が隙間から見えたのは無数の本棚。

見取り図を魔法鞄から取り出して、

隙間の光にかざして見る。


「『氷の鏡』についての資料は、

さすがに一般の資料室にはないだろな」

「王の執務室に、

そう言う機密文章の保管庫があるみたいです」

「忍び込むにせよ、

そんな部屋は警備が厳重だろうな」


 普通の魔道具は、

大抵触れて何かアクションをすれば動作する。

帰還石の『割る』や、

魔法鞄の『手を入れる』と『物を入れる』だ。

 もちろん、魔剣とか魔弓とかもある。

これも、『鞘から抜く』、

矢をつがえて『弓を引く』と発動するのがベター。


「『氷眠刑』と言うか、

『鏡に映った対象を凍らせる』効果だとするなら。

発動条件は『鏡面に生き物を映す』とか?

解除条件は『鏡面にもう一度映す』とか?」


 考えうるのは、その辺り。


「『氷の鏡』をいただいて、色々試すのが早いか。

謁見の間へ急ごう」


 俺たちは二階へ上がる階段を探す。

秘密の通路から出て廊下に行けば、

普通の階段はある。

しかし、そこは兵隊やメイドたちがひっきりなしに往復してる。

誰にも見られず通るのは不可能。


「トシ・オー様、

上に空気が流れてるのを見つけました」


 金髪が暗闇を進んでそう言う。

俺もその後を追うと、梯子と上に伸びる通路があった。


「ここ、見取り図だと太い柱か」

「梯子で二階へ上がれそうです」


 俺たちは二階へ上がる。

残り時間は、約二十二時間。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ