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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

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第39話 ファンサービスだ

 魔力については、

俺にもまだよく分かっていないことが多い。

理由の一つとして、

俺が魔法を使えないので気軽に実験ができないから。

しかし、身近に魔法に関するものがあった。


 『魔石』だ。


 ゴブリンやコボルトを仕留めたときに何個か魔石を取って、

色々と試した。

 まず、魔力は血液に似た性質がある。

魔石を普通のネズミに埋め込んだら、

魔物になるのか試した。

ネズミはしばらくして痙攣し、

泡を吹いて死んだ。

 他の生き物、

人間以外で身近にいる生き物でも試したが、

結果は同じ。

 しかし、ゴブリンの魔石をゴブリンに埋め込んだら、

三分の一の確率で生き残った。

魔力が増えたりはしなかったが、

俺には普通に見えた。

後々問題が起きると怖いので、

三日だけ様子を見てそのゴブリンたちは殺した。

 どうやら、同種同族の魔石で、

なおかつ血液型の様な、『魔力タイプ』が一致したら、

人工的に魔石を埋め込んでも適応できるらしい。

ゴブリンとコボルトではダメ。

ゴブリン同士かコボルト同士でなら移植できた。

 ただ、『魔力タイプ』を割り出す方法が分からなかった。

三分の一で生き残るものの、

実験の効率が悪すぎて実験を中止した。

 そして、酒場で冒険者たちから聞いた、

ゴーレムの討伐方法。

『魔法をぶつけると倒せる』と言うものが、

俺の中で納得できなかった。

 無機物でできた身体を物理的な攻撃で削っても効果がないのに、

魔法攻撃ならダメージになる。

結果だけ見ると、

無機物の身体に衝撃やら熱やらを浴びせてることに変わりはないはずだ。

 これはどういう理屈かと考えたときに、

魔石の移植の実験を思い出した。

つまり、魔法攻撃を受けたゴーレムは、

魔法がぶつかった衝撃で人間の魔力を体内に取り込んでしまい、

それがゴーレム本来の魔力と混ざって拒絶反応を起こして死ぬ。

俺はそう仮説した。

 だから、この前の獣の魔石を砕いて撒いたら、

ゴーレムがどこかから身体に取り込んで、

毒のような効果があると仮定し、試したところ。


「まさか、ここまで効果てきめんとは。

即死毒のような、麻痺毒のような。

とにかく、ざまぁないね」


 どんどん崩壊していくゴーレムたちの身体。

遠くなのにガラガラ、という音が聞こえてきそうだ。

周囲の白服たちが盛大にざわめき、

見所のあるやつらは早々に議論しあってる。


「聖女に俺の話を聞かせるのが、

一番の大仕事だったが。

結果的に大成功だ」


 俺は少し前に『踏破の聖女』を食堂で捕まえて、

話を聞かせた。

皮切りは、こう。


「お前は『光の神』から授かったせっかくの御力を、

ちゃんと使えていない!」


 それを聞いて、

聖女は怒り出すと思っていたのだが。


「えぇ!?

えええぇぇ!

 なんで?!

なんでぇ?!」


 と泣き叫んで俺にしがみついてきた。

俺はなんとか聖女を泣き止ませて、

懐から『デコイのダンジョンコア』を取り出して見せる。

周囲が騒然としたが、かまわず俺は話し出す。


「これが、俺のとびきりの秘密だ。

俺は『ダンジョンコア』を持ってる。

俺はこれを手にしたときから使い方を調べ続けているが、

今だに分かってない。

 でも、今これについて分かることを全部お前に教える。

そうすれば、

お前が『ダンジョンコアのところに行きたい』と思い描いて走り出すと、

魔物もトラップも迷路すら無視してダンジョンコアまで一直線でたどり着けるんだ。

 お前は『闇の神』のダンジョンを破壊する力を持ってるんだ!

それを使って、ダンジョンから、魔物から、

人々を解き放つ!

それが、お前の授かった御力だ!」


 さっき俺がここまで運ばれたときのことと、

オスマンサスの牢屋からでたときのことを比べて立てた仮説。

『踏破』という能力は、

目的地を定めて足を踏み出した時に発動する。

そして、発動したらその目的地までの障害を、距離を、

『踏みつけて破壊する』。

 だから、目的地を『ダンジョンコア』にすれば、

百層以上のダンジョンの最深部にあろが。

デコイや罠で隠されていようが、

空間を折り曲げ、一本道を作ってそこまで導く。

 俺のこの説明には仮説も、嘘も、方便もありありだが、

聖女にはちゃんと伝わった。

その結果があのクラウチングスタートだ。

 次いでで教えた早く走り出す姿勢だったが、

あんなに速くなるならもっと色々教えればよかった。

 俺は白ずくめたちに向き直って言う。


「ここにシェイプシフターが残ってないか、

念入りに調べろ。

建物内外、周囲も調べろ。

 ダンジョンコアは聖女に任せていいが、

彼女が帰ってきたら、

しっかり風呂に入れて寝かせろ。

もし、聖女が腹が減ったと言っても、

飯は寝てからにしろ。

 後、金髪。

俺は今からオスマンサスへ向かう。

今なら荒野の魔物たちも、

聖女に踏み潰されてるはずだ。

道案内を頼みたい」

「残りの『聖女の右』も総員して、

シェイプシフターを仕留めます。

聖女様についても、承知しました。

 しかし、

何故オスマンサスへ向かわれるのですか?」


 俺は視界の角のタイマーを見る。

周囲はすっかり夕暮れ。

今にも日が落ちそうだ。


「オスマンサスのやつらは、

俺を殺したいほど想ってくれてるだろ?

ファンサービスだ」


 俺はそう言って笑って見せる。


「目的地はオスマンサスの王都プニャード。

オスマンサス王家の国宝『氷の鏡』をいただく!」

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