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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

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第35話 何なんだよお前ら

 俺はバニレにざっとこの数日のことを話した。


「……お前がダンジョンで最後に言ってたあれ、

マジなんか」

「『教会』が『闇の神』の教団だってのか?

すくなくとも、

『白の教会』どもは異端と言えんな。

 ただ、奉る『光の神』が『闇の神』に殺されて、

いなくなってるから異端と言えるけど」


 バニレが頭を抱える。


「そして、お前、今度は、

『大海のダンジョン』のマスターに命狙われてるの?」

「あぁ。

確実に数日後、

俺はダンジョンの魔物の氾濫に襲われる。

この前みたいにダンジョンの門が俺のところにでてきて、

俺をミンチにしに来る」


 ダンジョンバトルの部分は、

『俺が他のダンジョンマスターたちに命を狙われてる』事にした。

間違えてないから、嘘とはいえないだろう。


「前はこの辺だったけど。

今度は、トシ・オーのそばに狙い打ちで来るの?」

「らしいぞ。

俺もそんなん聞いたこともないから、

ビックリしたし」


 バニレが大きなため息をついた。

俺は茶化しつつバニレにいう。


「お前の父さん、

王様が俺に報奨を出せるだけ全ぶっぱして、

盛大に支援してくれんのは嬉しいけどな。

俺がいたらこの国滅びるんだわ」

「マジじゃねぇか。

……今度の作戦は?」

「あっはっはっ!

ない!」


 俺は舌をだして笑う。

バニレがもっと大きなため息をついた。


「さすがに無理だ!

もっと情報がいるし、人も資材も足りん!

 しかも、相手が『最大のダンジョン』だぞ?

千とか万とかの兵を指揮できても、

攻略不能だ!」

「……でも、絶対に無理だ、

負けた、って言わねぇんだな」


 バニレがそう言って俺をにらむ。

俺は目を反らして苦笑いする。


「今、情報収集してる。

うまく行くとは思えない次元の策ならある」

「……やっぱ、お前、すげぇわ」


 バニレが乾いた笑いを上げた。

俺は窓から外を見ると、

日は高く上がっている。

もう昼か、


「バニレは昼飯食ったか?」

「朝飯食ってるときに呼ばれた」

「いつもの食堂行くか?

後、鍛冶屋に用があるんだ」


 俺はバニレをつれて外へ出た。

俺の家の周りの兵隊たちが一斉に敬礼する。


「いよ、第三王子殿」

「やめて。

マジにやめて、それ」


 俺がバニレを茶化してるのを見て、

兵隊たちも笑ってる。

なんと言うか、バニレとコイツらは仲良いらしい。

 俺はとりあえず鍛冶屋へ向かった。


「この前のダンジョンの氾濫の時に注文したけど、

完成が間に合わなかったのを受け取りに行くんだ」

「何を頼んだんだ?」

「口で説明しづらい」


 俺が町を歩いてると、

色んな人が驚いた顔で指を指す。

俺はそれを見てうんざりしながら言い返す。


「アンデッドじゃねぇぞ。

指差すんじゃねぇよ。

散れ、散れ!」


 そう言うと、

何故か見てるやつらが胸を撫でおろす。


「いや、なんでよ?」

「トシ・オーの口の悪さは、有名だからな」

「フリフリを振りながら言うなよ、バニレ」

「それを指摘しないで。

俺だってこれ、嫌なんだから。

いつもの服が着たい」


 バニレのパーティーメンバーは普通の冒険者だが、

バニレの正体を知った上で仲間になってくれてるそうだ。

今は一時的にバニレ抜きで依頼をこなしてるらしい。

 そして、カーフェイたちはこの前の損傷と怪我人の手当てで、

まだこの町に残ってるらしい。

中でもタードはかなりの重傷で、

一命は取り留めたが冒険者としては引退を余儀なくされたそうだ。


「キメラの毒は食らってなかったが、

顔を殴られて両目が見えなくなってるらしい。

ポーションや医者じゃ、治せないそうだ」

「『癒し手』に頼むしかないのか?」


 『命の神』を奉る教団、

正式には『慈愛の教会』というのだが。

彼らの元にいる『癒し手』たちは、

どんな傷や病も癒す奇跡を起こせることで有名だ。

 詳しくは分からないが、

慈愛の教会で修行した中でも一部のエリートは『癒し手』になれるらしい。

そこから、彼らを総称して、『癒し手』と呼ぶ人が多い。


「あれ、金かかるからな。

さすがに、特別扱いになるから、

俺も権力使って助けてやれんのよ」

「同郷とか言ってたろ?

 まぁ、金貨五枚以上はかかるんだろ?

さすがにカーフェイたちの懐から出せないし、

タード個人の稼ぎでも金貨は無理だろうな」


 ん?

良く考えると、第三王子殿の同郷ってことは、

タードもそこそこやんごとなき身分なのか?


「あいつの父親、

うちの国の近衛騎士団にいるんだよ。

俺とも昔から顔見知りだったんだ。

 一応、俺からタードの父親に連絡はしたけど。

金額が大きすぎて無理だろうな」

「ってことは、タードも貴族かよ。

お前ら、ホントに何してんの?」


 バニレからこの町の近況を確認しつつ、

俺たちは鍛冶屋に到着した。

俺を見た鍛冶屋の親父が驚きつつも、

店の奥から大きな袋を三つ持ってきた。


「遅くなって、悪かったな。

でも、良い具合にできたぜ」

「ありがとう。

代金は」

「助けてくれた恩人から金とれるかよ。

とりあえず、出来を見てくれ」


 俺はカウンターの上に乗せられた袋を開けて、

中を見た。

そこには小さなキラキラ光を反射する粒のようなものがぎっしり入っている。

 俺は力加減に気をつけて、

一つまみつまみ上げてふりかけてみる。

粒は空中に長い時間滞留して、

キラキラ光を反射する。

まるで雪か何かのように幻想的だ。


「注文通り緩く捻って、

片側を少し厚くしてる。

なるほど、これなら、

宙をくるくる回って滞留するな。

 コイツを器に移して軽く振ると、

『粉』を抱き込む。

粉は、小麦粉くらいの粒なら、

平気で抱き込むことができた」

「頼んだより滞空時間が長い。

親父、最高だ」

「ありがとよ。

もってけ、『英雄様』」

「その呼び方止めろ。

いつも通り、トシオでいい」


 そう言って、

俺はこれをありったけ魔法鞄にいれた。


「トシ・オー!」


 そこに飛び込んできたのは、

マリーとアニスだ。


「無事だったの!?

怪我は?!」

「ぽ、ポーション持って来てます!

かけましょう!」

「二人とも落ち着け!

ったく、何なんだよお前ら。

いつもみたく、ギルドで待ってろよ。

 ほら。

ライムとジャバが慌てて追いかけてきたぞ?」


 俺の顔を見るや否や、

あわてふためく二人を見て俺がぼやく。

そして、やっぱりそれを聞いて二人は顔を見合わせ、

うなずき合う。


「あぁ、この感じ、

トシ・オーだ!」

「間違いないですね!」


 解せぬ。

しかし、落ち着いてくれたようだ。

合流したライムとジャバも俺を見てサムズアップする。

俺はそれにピースで返す。


「騒がしくなったから、

どっか移動しよう」

「だったら、商業ギルドへ」


 俺たちはマリーに連れられて、

商業ギルドへ向かう。

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