表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/66

第30話 お前らが見たがってるものを見せるんだよ

「緊急事態! 緊急事態!

繰り返す!

緊急事態!」


 各部屋に張り巡らされている細いパイプ。

伝令管とやらから、怒号が飛び込んできた。


「おい、なんだこれ」

「魔物の群れが近くに来た際の伝令です。

アイツらは匂いだけじゃなくて、

魔力を探知してくるものもいますから。

ここはよく襲われるのです」


 白づくめたちは、

俺を別の部屋に移動させたいと言う。

しかし。


「直接モンスターの種類を見たい」

「見て、どうされるのですか?」

「お前らが見たがってるものを見せるんだよ」


 俺は白づくめたちの同行ありなら、と

条件付きでそとを見せてもらえることになった。


「……『死の荒野』ね」


 見渡す限りの赤茶色い土。

草も枯れ木も何もない。

しかし、砂漠ではない。

少し大きい岩や低い丘はあるが、

地平線まで大きな隆起が見えない。

超フラット。

作画が楽そうだ。

 その向こうに土ぼこりが上がっている。

あれが、モンスターか。

 俺はどうやら小さい丘の上に設置された砦の様な建物にいるらしい。


「ここまで遮蔽物がないと、

肉眼でもかなり遠くまで見えるんだな。

見張り台要らずか」


 そう呟いて、俺は魔法鞄から望遠鏡を取り出す。

これも、パーツ単位で特注した俺謹製の虎の子だ。

過激派がこれの用途を理解できず、

薬を塗られなくて本当に良かった。

レンズは超貴重品だからな。


「な、なんですか、それは」


 俺たちを遠巻きに見ていた白服が訪ねる。


「遠くを見る道具さ。

アンタらは遠見の魔法があるだろ」


 そう言い捨てて、

俺は望遠鏡を覗き込んだ。

魔物はかなりの数がいる。

種類も一種類じゃなさそうだ。

テレビでよく見る、

アフリカの大地のバッファローの群れが大移動するシーンみたいな感じ。


「ありゃ、もう自分達でも止まれなくなってるな。

ここに来るのは時間の問題か。

 ブラックハウンド、バイコーン、バーサクブル。

他のも四本足、獣タイプばかりだ。

俺の知らない魔物もいるけど、

飛行する魔物はいない。

 お前ら、バリスタはあるか?」


 俺が訪ねると、白づくめが案内してくれる。

大きなバリスタに矢がつがえられ整列していた。

俺はそのうち一台に近寄る。


「いつでも撃てます。

いかがされますか?」

「ちょっと借りる」


 俺はバリスタの矢じりに、

魔法鞄にある悪臭玉とダンジョンの残りの悪臭弾を複数個割らないよう固定した。

そして、その上に鳥もち玉と爆裂弾も複数個、

慎重に固定する。


「お前らが立ててる策は、

一定距離まで着たらバリスタや弓矢で数を減らして、

ここに近寄ると兵隊が出ばって肉弾戦だろ?」

「えぇ。

基本はそうですが」

「急ごしらえだが、

ちょっとだけ策を変えろ」


 俺は白づくめと白服相手に簡単に説明する。


「兵にマスクを付けさせろ。

布で鼻をおおうヤツでいい。

 バリスタは今俺がいじったヤツ以外をつかえ。

俺がこのバリスタを撃ったら、

兵に群れから抜け出した魔物だけやれと伝えろ。

後、臭いからマスクを外すなとも」


 白づくめは話をしてくれる一人を残して、

他のは散っていった。

白服も駆けて行く。


「よし、撹乱作戦だ」


 俺はそう言って笑う。

魔物がみるみる内に近づいてきた。


「バリスタ構え!」


 白服がそう号令する。

他の白服たちが俺のいるバリスタを避けて、

他のバリスタに付いた。


「ってぇ!」


 その号令を皮切りに、

バリスタが放たれる。

よく見ると少し下から矢も飛び出している。

ここの下に弓兵がいるようだ。


「ここは何階だ?

一つ下の階から弓兵が撃ってるんだな。

日本の城みたいな『矢狭間』はないだろうな」


 そう言って俺は戦線を見つめる。

飛び道具で魔物の数がドンドン減っていく。

だが、焼け石に水。

数はかなり減ったが、まだまだいる。

 バリスタの着弾地点を魔物の前線が越えた。

ソコに矢が射かけられる。


「そろそろ、兵を出しますよ」


 白づくめがそう言った。

俺はバリスタを構える。


「よし!

撃つぞ!

鼻ふさげ!」


 俺はバリスタを魔物の前線へ放った。

矢は魔物群れへ吸い込まれていき。


 大爆発した。


 悪臭弾のアルコールが爆裂弾の威力を上げて、

炎と悪臭と鳥もちを魔物たちへぶちまける。

広範囲に飛び散った薬液は、

乾いた大地に飲み込まれ臭いを撒き散らす。

爆風で臭いの付いた土が巻き上がり、更に臭いを拡げる。


「獣型の魔物は、すべからく鼻がいい。

人間の数倍から数百倍の嗅覚で、

この悪臭は地獄だろうな」


 人間でも至近距離で嗅ぐと失神するレベルの悪臭だ。

魔物たちは一瞬でパニックになり、

鳥もちが動きを絡めとり。

ぶつかった隣の魔物も鳥もちが取り込み、

互いの身体が絡み合い、動けなくなり、

更にパニックが広がる。

 魔物たちは、もう地獄の釜の底。

射かけられた矢にただ撃ち抜かれるしかない。

後続は異常に気付いて引き返そうとしたが、

大群の進行は簡単に止まれない。

魔物たちは次々に地獄へ押しやられていく。

後続から追突された前衛の魔物たちは、

ドミノ倒しのようになって下敷きになり、

圧死してるだろう。


「な……何が!?

何故……!?

どうなって...…?」


 白づくめがうろたえている。

白服たちも言葉を失い、呻き声だけをあげている。

命からがら地獄から抜け出た個体は満身創痍。

あっけなく兵に止めをささる。

 魔物はただひたすらにその場から逃げようとするが、

鳥もちでうまく動けず、近くの仲間と絡まり倒れ。

容赦なく浴びせられる矢と、

後続からの圧力が命を刈り取る。


「アルコールが土に吸われなきゃ、

でっかい火炎瓶みたいに火が燃え上がるんだが。

これ以上アルコールを増やすと臭いが消えるしな。

まぁ、効果は上々、としておくか。

 それにしても、

きったねぇ花火だったなぁ」


 俺はそう言って砦の中へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ