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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

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第28話 俺はいつ外国人助っ人になった?

 白づくめたちに先導されて、

俺は聖堂から別の部屋に来た。

白づくめの真意は不明だが、

あそこで俺が暴れてどうにもなら無いのは明白だった。

だから、俺はもう少し彼らの話を聞くことにした。

 この部屋は大学の大講堂のようだ。

半円形の部屋に等間隔で並ぶ椅子とテーブル。

すり鉢になっていて、中心に教壇のような台がある。

席は白い修道服の人でぎゅうぎゅうに埋め尽くされている。

ざっと見た限り五百人以上はいそうだ。

 俺は白づくめに教壇のところまで連れてこられた。

大勢の人の目が俺に集まる。

さすがに俺はたじろぎ、たずねた。


「なんだ、ここは?

どう言うことだ?」

「皆、貴方を待っていたのです。

貴方がダンジョンを破壊したことは、

今我々の中で話題の的なので」


 分からないことが多すぎる。

この世界に来てすぐの頃を思い出す。

俺は頭が痛くなってきた。


「少し、失礼します」


 白づくめはそう言って、教壇に立った。


「皆の者、

トシ・オー様は先程目を覚まされたばかりだ。

まだ、我々の話もできていない。

 とりあえず、

我々の話を聞いてもらうためここに連れてきた。

信頼されない扱いをしてしまった分は、

誠心誠意補う必要がある」


 俺にはなんとなく、

白づくめと他の白服とで思惑が違うように感じる。

 白づくめは俺を積極的に取り込みたい。

白服は俺を捕らえて置きたい、か?


「トシ・オー様は、

我々『白の教会』と『光の神』について、

どこまでご存知でしょうか?」

「……『教会』が異端として敵視してる、とだけ」


 周囲からひそひそ話をする声が聞こえてくる。

敵意は感じないが、好奇の目と言う感じだ。

俺はため息を付いて白づくめを見た。


「それがどうした?

ついでに、俺の体重も教えようか?」

「そちらは存じております。

ただ、今のまま、

説明もなく『聖人』としてお迎えするのは、

忍びないと判断しております」


 白づくめがそう言うと、

席から一斉にヤジが飛び出した。


「何故だ!?」

「話が違うぞ!」

「どうなってるんだ!?」


 どういうことだ?

白服の方が俺を取り込みたいのか?

俺の予想が外れて、

その上で疑問が増えたことに頭を抱える。


「俺はいつ外国人助っ人になった?」


 俺は思わずそうボヤいて、

白づくめに向き直り声を張り上げた。


「とりあえず、

俺の魔法鞄の薬をすり替えたな?

薬を全部返せ。

 後、水筒や身につける物にも、

眠り薬を仕込んだろ?

それらも新しいのに変えろ」


 俺がそう言った途端、

何故か部屋から音が消える。

突然、全員が黙ったので俺は驚いて席を見渡した。


「んだ?

薬のすり替えがバレないと思ったか?」

「……いいえ、いいえ。

それは、

おそらくここから貴方が出て行かないようにと、

医者の誰かが仕込んだものだと思います。

誠に申し訳ない」


 白づくめはそう言って頭を下げた。

俺は眉間にシワを寄せ、こめかみを人指し指でかく。


「総額金貨二、三枚くらいの薬を全部やられてんだ。

防毒の魔法道具や口を覆うマスクもやられてる。

こっちも値が張る代物ばかり。

 それこそ、

アンタの言う『信頼を損なう行為』だろうが」


 それを聞いた白づくめは、

さらに深く頭を下げて謝罪した。


「おっしゃるとおり。

誠に申し訳ない。

ただ、それは御身を案じてのことだと弁明させていただきたい」

「御身を案じて?

俺がここから出ないように、か?

 そう言えば、

アンタもさっき『ここから出るな』、と言ったな?」

「えぇ。

外は大変危険なのです。

なんせ、外は『死の荒野』ですから」


 獰猛な魔物の巣。

雑草すら生えない不毛の土地。

常に飢えた魔物たちが、

目についた動くものに噛みつく。

弱肉強食の世界。

 水辺すらなく、雨は全て乾いた大地が飲み干し。

人はおろか、生き物はここで生きられない。

開拓不可能な完全無法地帯。

それが、『死の荒野』

 さらに、ここには三ヶ所のダンジョンがある。

そこから絶えず魔物たちが沸き上がってくる。

だから、魔物だけは『死の荒野』にはびこっている。


「……異端として教会から敵視されたアンタらが身を潜めるには、

ぴったりな場所だな」

「トシ・オー様。

何卒、この建物から出ることはないよう、

お願いいたします」


 白づくめだけでなく、

席にいた白服たちも立ち上がって一斉に頭を下げた。

俺は大きなため息を付いた。

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