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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

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第27話 何をモチーフにしてんだ?

 聖堂に人はいないようだ。

俺は足音を立てないよう、

ゆっくりすり足で移動する。

 さっきの部屋まではすごく明るかったが、

ここはろうそくの光だけ。

火の灯りが幻想的に神像を照らしている。

 良くみると、

神像の背中側はステンドグラスだ。

どうやら、外は夜らしい。

月光が色付きのガラス越しに神像を照らして、

さらに幻想的だ。


「何をモチーフにしてんだ?」


 幻想的な雰囲気だが、

神像のモチーフが良くわからない。

いや、『何か』は分かるが、

『何故そうなのか』が分からない。

 見たままを端的に言うなら、

『スキンヘッドで全裸のマッチョな男が両腕を広げて空へ飛び立とうとしている』。


「あれが、『日光神』ってか?」


 聖堂全体にふざけてる雰囲気はない。

ただ、その分神像が目立つ。

何故スキンヘッド?

何故マッチョ?

何故裸?


「……しまった!」


 気付けば音もなく人影か複数、

俺を囲むように立っている。

 全員真っ白な服、真っ白なローブに真っ白な仮面。

靴も何もかも、白で統一している。

俺はスコップを握り直した。


「お待ちください。

我々は貴方と敵対するつもりはございません」


 白づくめが一人、一歩前に出てきた。


「また、貴方を傷つける意図はございません。

我らは丸腰でございます」


 パッと見たところ、

白づくめたちは何も持ってない。

何も持ってないのに、

俺が勝てるイメージがわかない。

多分、全員素手で俺に勝てるくらい強い。


「ただ、ここから外へは出ないよう、

お願いいたします」


 ……なんだ?

コイツら、何が目的だ?

 オスマンサスが俺を極刑にしたいのは、

分かる。

ダンジョンを壊せる人間なんて、

ダンジョン保有国からすれば超危険人物。

敵国に渡す訳にも行かず。

身柄を保持していても、

いつダンジョンが壊されるかと不安が残る。

 だから、極刑にして殺すなり、

捕らえて監視し続けるなりする。

理屈はすごく分かるんだが。

コイツらの目的は想像も付かない。


「……貴方が我々をお疑いなのは、

重々承知しています。

ダンジョン学者のトシ・オー様」


 俺は試しに口を開く。


「何が目的だ?」

「貴方をお護りすることです」


 なんだ、それ。

もっと理解できない。

俺の顔色を見てなのか、

白づくめが補足し始めた。


「我らが『聖女様』が、

我らが神よりお告げを受けました。

『トシ・オーを助けよ』と」

「……あいにく、

俺には神の知り合いはいない」


 俺はそう返しつつ、少し納得した。

俺を抱えて海を割ったあれが『聖女』だったなら。

彼女が『成せり』と歌っていたのは、

俺を助け出せたからだろう。


「お告げを受けられた『聖女様』が、

単独で飛び出されまして。

何も語られず、

そのままオスマンサスのプニャードに向かわれまして。

 我々も混乱していたのですが、

聖女様が貴方を抱えて戻られた後に皆『お告げ』を聞きまして。

急いで我らが隠れ家で貴方を匿わせていただきました」


 なんとなく愚痴のように聞こえたが、

やはり俺には理解はできない。


「お前ら、

教会から目をつけられてる『異端』だな?」

「えぇ。

我々は『白の教会』。

日光、都市、文明を司る『光の神』を信仰しております。

 そして、

貴方も知る『闇の神』と我々は敵対しております」


 ここで出るのか『闇の神』め。

俺は思わず舌打ちした。

しかし、白づくめたちは無反応だ。


「我らが神よりお告げが来ること自体がまれです。

あったとしても、

抽象的なお告げで内容が理解できない場合がほとんどです」


 それは、お告げを伝える聖女に問題があるのでは?

と思ったが、

俺は空気を読んで口をつぐんだ。


「そんな中で、今回のお告げは明確でした。

『トシ・オーを助けよ』。

今まではっきり人物名がお告げに出されたことなんてありませんでした。

なので、貴方が眠っていた四日間で、

貴方のことは念入りに調べさせてもらいました」


 俺は四日間も寝てたのか。

道理で身体がだるいわけだ。


「貴方がダンジョンを破壊した件も調べました。

貴方は『闇の神』の存在を知り、

神を信じることをやめ、

己の『知力』だけで生きてきた。

素晴らしいことです。

 我ら、神にすがる者からすれば、

それは知力と言う一本槍だけを携えてダンジョンに飛び込むような。

無謀とも言える勇敢さです。

そして、貴方はその知力で、

ダンジョンを実際に破壊して見せた。

我々は貴方に感服いたしました」


 白づくめが頭を下げた。

周りの白づくめも頭を下げる。


「我らはダンジョンと魔物を滅ぼすことを教義にし、

そのための研鑽は常に行っています。

 しかし、いまだに魔物を殲滅することも、

ダンジョンを崩壊させることも成していません」


 ダンジョンは保有国が手厚く保護している。

それこそ、国を相手取って戦争しないと、

ダンジョンを破壊しに行けない。

 この前の俺みたいなケースは例外中の例外なんだが。

まぁ、深くは言わないことにする。


「以上を踏まえて、トシ・オー。

我々は貴方を『聖人』として迎え入れたく」


 俺が思っていた感じとは程遠い返事が来た。

だが、これは吉なのか、凶なのか。

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