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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第二章 年休120日以上!

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閑話 為政者

●オスマンサス王都●


 トシオの脱獄、強奪について、

知らせはすぐさまオスマンサス王へ伝えられた。

オスマンサス王は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。


「……『異端』どもめ」


 トシオを監獄から連れ去ったのは、

『教会』が異端と認定している『日光神』をまつる教団、

『白の教会』たちだった。

 彼らは自身の崇める神を『光の神』と呼び、

さも原始の神の一柱のように扱う。

しかし、教会それを認めず、

異端として厳しく取り締まっている。

 七教団は異端と認定された教団の中でも、

特にこの『白の教会』は厳しく扱い、

彼らを私刑で殺害することを推奨しているほどだ。


 その理由は、

『白の教会』の教義が『ダンジョンとモンスターの根絶』だからだ。


 どんな手段を使っても、

どんな犠牲を払っても、

ダンジョンとモンスターを殺す。

 しかも、『白の教会』の教徒たちを単なる狂信者、

として扱えない訳がある。


「襲撃者は、

『踏破の魔女』でした」

「『異能持ち』だと!?」


 オスマンサス王は、頭を抱えた。

まるで、本当の神の使徒のような、

『異能』を持った者が白の教会にいる。

教会とそれに準じるものたちは、

『踏破の魔女』と呼んで警戒している。


「逃げる犯人を追いかけた兵の全員が見ています。

女が『海を割って突き進む姿』を。

 彼らは後を追おうとしましたが、

女が通った後はすぐに水が落ちて来て、

道が塞がり追えず。

船を急いで用意しましたが、

港から出たときには既に遠く沖へ逃げられた後でした」


 報告する兵士が報告書を控えていた大臣へ手渡した。

受け取ったのは軍務大臣で、

報告書を読んで眉間にシワを寄せる。


「大臣、私にも見せろ」

「王、こればかりは現場を攻めることはできませぬ」

「分かっている。

分かっているが、

『トシ・オーがさらわれた』ことは大問題だぞ?

どうするつもりだ?」


 オスマンサスはダンジョン保有国だ。

元々海に面しており、

大きな港を複数持った貿易国家だった。

それがダンジョンからの資源と言う無尽蔵の供給を得て、

瞬く間に大国の一つとなった。


「あれがいれば、

『誰でもダンジョンを破壊できる』んだぞ?」


 トシオは証明してしまった。

トシオがいて、物資と人材が揃えば、

ダンジョンを破壊できることを。

 ダンジョン保有国からすれば、

どんな兵器より恐ろしい人材だ。

 オスマンサス王は、

一も二もなくトシオを殺すことに決めた。

だから、無理を押してもクリザンテームへ進軍し、

トシオをさらった。


「その場で殺害できなかったとしても、

王都に転移させればこうならなかった」

「安全性の問題です。

瞬間移動の魔法が発動したときに、

他の人物が紛れ込む可能性があるので、

一旦ダンジョン街のマンチャータに運びました。

 そこで判決を出してしまい、

犯罪者として王都へ輸送する手はずでした」

「大臣、もう一度聞くが、

すぐ殺さないのは本当に『そう』なのか?」


 オスマンサス王は軍務大臣に問う。

軍務大臣は苦い顔で答えた。


「えぇ。

先ほど『教会』から、

正式に全てのダンジョン保有国へ通達されました。

『トシ・オーを殺すと、世界が滅ぶ』、という、

聖女のお告げです」


 教会、つまり『創世の神』を奉る教団。

そこには『聖女』と呼ばれる女性がおり、

時おり『神からのお告げ』を受ける。

 お告げは『創世の神』の夢で、

未来の出来事であり。

『予言』である。

 各国はお告げを受けると、

良いものなら積極的にそれに寄せ、

悪いものなら全力で回避する条約を締結している。

 オスマンサスはお告げを受ける前にトシオの殺害を決定していた。

そのため、急遽身柄を捕らえて形式だけの裁判をし、

国の法に則ってトシオを拘束しようとしていた。

 オスマンサス王は大きなため息を付く。


「それで、『極刑』か」

「えぇ。

あれは実質『封印』です。

例えダンジョンからモンスターの反乱があっても壊れず、

中から外へ出ることは絶対にできません。

 それでいて、

囚人は生き続けるのでお告げにも抵触しません」

「先王も、先々代も、執行しなかった。

極刑の『氷眠刑』」


 オスマンサス王は天井を仰ぎ見た。

今度は軍務大臣がため息を付いた。

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