↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第七章 経験者大歓迎!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/154

第109話 っ!?

 ゼンフが倒れたトシ・オーへ駆け寄ろうとした。

しかし、ゴーレムたちが壁のように重なって立ちふさがる。


「動くな」


 男性の声が響く。

倒れたトシ・オーのちかくに現れたのは、

『命の神』の修道服を着た男だ。


「パティスさん……!」


 ビトメがそう言ってその男性を睨み付ける。


「動けば撃つ」


 潰された虫のように痙攣しつつ、

なんとか動こうとしているトシ・オーをパティスは踏みつけた。


「『雷光の聖女』はさっきの爆発を回避するのに、

ダンジョンの外にでたところで、

ダンジョンの入り口を潰した。

ここまで入ってこれない。

 異端審問官、お前は少しでも動いたら、

トシ・オーを撃ち殺す」


 トシ・オーはかろうじて動いた手で懐に触れた。

胸元にあるそれを探した。


 じゃり、っとした感触が指先から返ってきた。


 見なくてもわかる。

胸元に入れていた宝石が砕けている。

スオラが砕けてしまった。

多分、弾丸を受け止めて。

 撃たれた衝撃が凄まじかったので、

胸に激痛はすれど、トシ・オーに流血はないようだ。

トシ・オーは焦った。

ケガをしてないことは、良いことだが。

今、スオラが割れた損失が大きすぎる。

 トシ・オーは胸に響いた衝撃の余波で、

まだうまく呼吸ができない。

しかし、現状は待ってくれない。


「ビトメの檻はただの檻じゃない。

呪いを固めた牢獄だ。

物理的には破壊不能。

解呪するにせよ、

膨大な数の呪いを一度に全て解くことはできない。

 さらに、帰還石や瞬間移動の魔法は、

この檻や檻の中では使えない。

ビトメに帰還石を手渡そうが、逃げられない」


 パティスは張り付けたような笑顔で。

しかし、淡々と語る。


「この男は、記憶を失っても『こう』なのか?

まったくもって、厄介なことこの上ない」


 トシ・オーは、

うまく回らない頭をなんとか回す。

何とかしなくては。

何とかしなくてはいけない。

気持ちだけは焦る。


 砕けた宝石は、もう何も語らない。


「何が目的だ!?」


 ゼンフはパティスをにらんで叫ぶ。


「とりあえず、ダンジョンコアを返せ」


 トシ・オーはとっさに、

砕けた宝石を胸から出してパティスに見せた。


「なん!?」


 パティスは慌てて空中に手をかざし、

でてきた宙に浮くモニタを確認した。

その隙をついて、

トシ・オーは細かく砕けた宝石をナイフの溝に擦り付けた。

砕けた宝石は鋭利で、トシ・オーの手のひらをズタズタにした。

そして、トシ・オーの血と砕けた宝石のついたナイフを、

パティスの足に突き立てる。


「っ!?」


 ナイフは見えない何かに阻まれて、

パティスの服にすら触れていなかった。


「……流石だ!」


 パティスはトシ・オーの手を蹴り飛ばして、

ナイフを遠くへ飛ばした。

トシ・オーは苦悶の顔で転がり、

パティスから遠ざかったが。

 銃声がまた鳴り響き、

トシ・オーの太ももから鮮血が飛び散った。


「これで動けまい」


 激痛に声も出せず悶え苦しむトシ・オー。

ビトメがまた悲鳴を上げる。


「私は『命の神様』への信仰を、

この命が尽きようとも!

決してやめません!

 神様!

『火の神様』!

その御力をお借りいたします!

 私の信仰を妨げる、

ありとあらゆるものを焼き尽くせ!」


 悲鳴のように声を裏返して、

ビトメは叫んだ。

叫んでしまった。

 ビトメを中心に火が広がる。

アルコールの上を火が走るように、地面に広がっていく火。

ビトメを囲っていた檻が一瞬で燃え尽きる。

ゴーレムたちも燃え上がり、チリになる。

 パティスは間一髪、帰還石を割って火を避けた。

ゼンフやトシ・オーにも火が点る。

しかし、二人はなんともないようで、

自分の身体の火を不思議そうに見つめている。

 ゴーレムが全て焼けて。

最後、天井にも火がついた。


 天井から、雨のように水が降り注ぐ。


 岩の天井だと思っていたそれは、

氷でできた天井だった。

溶けた氷で火が消える。


 そして、氷の中から人影がこぼれ落ち、

床に着地した。

ゼンフはそれを見て思わず口を開いた。


「……だ、誰だ?」


 三人の目の前には、

美しい初老の女性が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。