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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第七章 経験者大歓迎!

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第107話 かなりの広さがありそうです

 しばらく進むと、開けた場所にでたようだ。

音が反響しているのでかなり広いことが分かる。

今までの通路は高さも道幅も所々違ったが、

ここは天井にライトを向けても、

光が散り、うまく届いてない。

正面や左右も同じだ。


「かなりの広さがありそうです。

皆さん、ご注意を」


 トシ・オーはそう言って、

魔法鞄からナイフを取り出した。

周囲の皆も武器を構える。

 背後に自分達がでてきた穴と壁はあれど、

周囲には何もない。

否、なにも見えない。

いつどこから魔物に襲われるか、と言う恐怖もあれど。

この照らせない闇への恐怖がつのる。

 壁と言う邪魔だったものが、

いつのまにか心の支えになっていた。

それがなくなった途端に、

解放感ではなく突き放された様な感覚が襲ってくる。


 突然、辺りか明るく照らされた。


 全員突然のことに眼を覆う。

眼が慣れた者から、辺りを見回した。

 トシ・オーたちは巨大な体育館のような広い広い洞穴にいた。

真正面、かなり離れたところに檻が見える。


「ビトメさん!」

「トシ・オーさん!

皆さん!」


 ビトメがトシ・オーの声に応えた。

彼女はどうやら無事らしい。

突然、巨大な洞穴の全体にさいの目状の光が走る。

さっきの道の組み替えのときの光だ。


「集まれ!

帰還石を用意しろ!

魔法で壁を出しておけ!」


 『雷光の聖女』が、

トシ・オーをお姫様だっこで抱えて宙に浮く。

 今度は立方体に切り取られた地面の一部が浮き上がる。

壁の一部も立方体に切り取られ引き抜かれて浮く。

そして、地面だった所と壁が入れ換えられる。


「積み木ブロックかよ!?」


 スオラがそう叫んだ。

天井も、地面も、壁も立方体に切り取られ、

入れ換えられる。

地面だったところは九十度回転して壁へ。

天井だったところは百八十度回転して地面へ。

かしゃかしゃと、入れ換え、すげ替えられていく。


「スライドパズルの要素もあるのか!」


 トシ・オーには、スオラの言葉の意味は分からない。

しかし、これでは宙に浮いていても、

正方形に切り取られたなにかが飛んできて襲いかかってくる。

 『雷光の聖女』はそれらを紙一重で避けて、

トシ・オーを守るが。

いかんせん数が多い。

辛うじて避け続けているが、いつ限界が来てもおかしくない。

聖女一人ならもっと速度を上げて避けられるが。

トシ・オーを抱えたまま全速力を出すと、

トシ・オーの身体がただじゃすまない。


「トシ・オーさん!」


 ビトメの周りは何も変わっていない。

飛び交うブロックも檻だけ避けて進む。


「しまった!

トシ・オー!

ビトメを止めろ!」


 スオラが叫んだが、間に合わなかった。


「私は『命の神様』への信仰を、

この命が尽きようとも!

決してやめません!

 神様!

『土の神様』!

その御力をお借りいたします!

 私の信仰を妨げる、

ありとあらゆるものを踏み均せ!」


 ビトメは使ってしまった。

『土の神の加護』を使ってしまった。

 ずん、と大きな音がなり、

動き続けていた地面や天井、壁が見えない、

実体もない何かに踏まれて、

動かなくなる。

 同時に洞窟全体も踏み均されて、

一本道に作り替えられ。

洞穴から続く洞穴の遠くに光が見える。

出口と洞穴が繋がったようだ。


「マズい! 後三回!」


 スオラは舌打ちをして思考を巡らせる。

仲間の残りは、トシ・オーを含めて八人。

ゼンフと聖女も無事だった。

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