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ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第七章 経験者大歓迎!

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閑話 灯りの届かぬ場所で

●どこかの暗い部屋の中●


 男の目の前には、二つの宝石。

一つは自分のダンジョンコア。

もう一つは、『武人のダンジョン』のダンジョンコア。

それらを見つめて、じっと男は動かない。


「大変だ!

俺のダンジョンコアを獲られた!」

「私のダンジョンコアも!」


 男の周りに突然現れた宙に浮く小さなモニタのような表示。

それに写し出されているのは、

『天空のダンジョン』のマスター、コウジ。

そして、

『庭園のダンジョン』の女性のマスターだ。


「だから言ったろ?

ダンジョンから脱出するときに、

ダンジョンを放棄してコアを確保しとけ、と」


 疲れた顔の男はため息混じりにそう言った。

二人は何も言い返さず、苦々しい顔になる。


「作戦会議では、

『全員ダンジョンコアだけを確保して逃げる』、

と俺は提案した。

作戦が終了すれば、

また前みたいにダンジョンを一から作り直せば良い、と。

 でも、お前らは拒否した。

『ここまで育てたダンジョンを手放すなんて』、と。

まぁ、言いたいことは分かるし、

気持ちも分かるから止めなかったが。

 そのお前ら自身の判断の結果を俺に言うなよ。

そんなことまで、俺は対応できないし、しないぞ?

 作戦は変わらない。

このまま続行する」


 男は冷たく言い放つ。

二人は言いたいことはあれど、

何も言えなくなって床を見つめている。


「ただ、

二人が喉に剣を突き付けられてるのと変わらない状態なのは、

今後の作戦にも響く。

 作戦を変えることはできないし、

進行を遅らせることもできないが。

別で一手、打とう」


 男は二つのダンジョンコアを魔法鞄に詰め込み、立ち上がる。


「待って」


 女性のダンジョンマスターが、

それを止めた。


「本当に、『あの人』は封印されてるの?

あの容赦ない手際は……」


 女性のダンジョンマスターの声は震えている。

三人の脳裏に浮かぶのは、三年前の悲劇。

『武人のダンジョン』のマスターのこと。


「大丈夫だ。

俺が近くまで行って、直接見たんだからな。

 それにもし、万が一、封印が解けていても、

俺たちのやることは変わらない」


 男が扉を開いた。

その扉の先は、先が見えないほど長く長く続く階段。

地の底まで通じていそうなそれを、男は降り始める。


「そうとも。

何も変わらない。

今さら変えられない」


 男の顔に何かが覆いかぶさり、

形を変えていく。

そして、現れたのは、

ミルポアで行方知れずになっていたパティスだった。

 文字通り、張り付けた笑顔で男は歩いていく。

まっすぐに、地の底へ。

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