表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第七章 経験者大歓迎!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/124

第97話 次のプランです

●天空のダンジョン●


 ダンジョンの入り口は、『穴』。

穴に落ちると、天空に浮かぶ浮島の上に出てくる。

浮島は大小あり、

大きなものはちょっとした街が乗るほど。

ものによっては、木が生い茂り、

水が沸き上がり滝のように奈落へ流れ落ちている。

 そして、

冒険者たちはその浮島をギミックや罠を駆使しして渡り、

ダンジョンの奥へと進む。

この間襲ってくるのは、鳥系などの空を飛ぶ魔物たち。

 階層に分けられたダンジョンではなく、

広大な空のフィールドに浮かぶ浮島と入り口の距離で、

浅瀬、中層、深層、未到達域の四つに分けられた。

ここでは、上質な鳥系の魔物の素材と、

中層にある宝箱から手に入るアイテムが産出品として有名だった。

 今は、三年前の七柱の神々の降臨以降、

誰もここに入ってこない。

ダンジョンは悪神の手先で、

ダンジョンに人が入り、

中で死ぬことで悪神に力が渡る。

そして、悪神はダンジョンに宝を置いて、

さらに多くの人を誘い込み喰らう。

公開されたその情報は、そんな恐ろしいものだった。

 挑戦者が激減したダンジョンは、

保有国が封鎖するか放置されるかのどちらかだった。

『天空のダンジョン』は入り口の穴が塞げず、

放置されていた。


 そこに、大量の魔物が雪崩れ込んだ。


 止めどなく魔物はダンジョンへ入って行き、

何かを探して暴れ狂う。


「あははは!」


 ダンジョンの空の上には『雷光の聖女』。

笑って魔物たちを煽る。

 魔物たちは飛び回る聖女を狙って攻撃を放つ。

光ほど速いと言えど、聖女はそれらを必死に回避する。

連れているのは『樹海』の魔物だ。

ダンジョンのものより速く、強く、賢い。

聖女の動きを読んで、彼女の行く先に攻撃を『置く』。

聖女もそれをギリギリでかわし、

さらにダンジョンの奥へ魔物を誘い込む。

 どんどん、どんどん、魔物がダンジョンの中に入り、

暴れ狂う。


 ぐわぁん。


 浮島が、揺れ始めた。

一つが揺れると、他の島まで揺れ始める。

魔物の乗ってない島も揺れ出した。


「空の上に島が浮いてる?

空飛ぶ魔物しかいない?

 違うんだろ?

島は『落ちない』だけだ。

だから、島の上に魔物を乗せたくない。

荷重を、増やしたくないんだろ?」


 ぎぃぃ、と浮島が鳴き出した。

どんどん魔物は増えていく。

中には魔力で足場を作って浮くものや、

羽もないのに空を飛ぶものもいる。

 とうとう、ダンジョンの魔物たちも集まってきた。

しかし、ダンジョンの魔物たちは聖女には目もくれず、

島の上の魔物を襲って奈落へ突き落とす。


 これ以上の荷重を、加重を、

過重をかけるわけに行かないから。


 聖女は笑いながらどんどんダンジョンの奥へ向かう。

魔物たちはどんどんダンジョンの奥へ進む。

そして、暴れ狂う。

 小さな浮島の一つから、ぶつりと大きな音がした。

その島はモーニングスターのように何かに引かれて回って、

他の島にぶつかる。

ぶつかった島からも、ぶつりと音がし。

今度は振り子のように大きな島へ振り落とされた。


「落ちないだけだ!

ジオラマでよくあるやつだ!

 大きな島は滝のように水を流して『柱』を隠す!

小島は大きな島と何かで横に繋いで、

左右に引っ張る張力で落ちない!」


 もう、止まらない。

島がどんどん壊れて落ちていく。

とうとう、大きな島の『滝が折れた』。

実際は滝で隠していた柱が折れた。

 奈落に落ちる島に他の島が引っ張られて、

どんどん浮島が落ちて崩れる。


「お前ぇ!

何てことを!

何てことをしてくれてんだ!?」


 傷だらけのフェニックスに乗ったダンジョンマスターの

コウジが現れて叫ぶ。

聖女はそれをみてさらに笑う。


「あははは!

出てきた! 出てきた!

穴から出てきたよ!」

「何のつもりだ!

あの女ごとヤるつもりか?!」

「それは、ないね!

ないよ!

 だって、ビトメねぇちゃん、

もうここにいないでしょ?」

「っ……!」


 聖女はそう言って笑う。

コウジは、苦々しい顔で黙ってしまう。


「ビトメねぇちゃん、どこ連れてった?

教えてくれたら止めたげる」

「……うるせぇ」


 コウジは新しい魔物を召喚して聖女へけしかける。

聖女はあえて『樹海の魔物』の方へ向かって行き、

魔物同士を相討ちにしていく。

 そうしながらも、聖女は目を凝らして観察する。

こんなに島が墜落していく中で、

唯一揺れることのない、小さな小島があった。

 それを見つけた聖女は真っ直ぐ、全速力で駆ける。


「しまっ……!」


 聖女の周囲の音が遠ざかり、光が遅れて見える。

彼女の目の前が暗くなり、通りすぎた後ろが明るくなる。

魔物も、彼らが飛ばず魔法も、羽や爪や矢も、

止まっているように思えるほど動きが遅くなる。

 聖女が小島に到着して、くまなく探す。

見つけたのは、ダンジョンコアだ。

『白の教会』が開発した魔力と神聖力を同時に検知する装置を使う。

聖女の速さだとこう言う結果を出すまで時間がかかるが、

聖女は加速したまま懐からサンドイッチを取り出して食べ出した。

 魔物たちの攻撃はまだまだ遠い。

聖女はサンドイッチをたべおえて、

検知器のメモリを見る。

魔力と神聖力の二つを検知していた。

これは、本物のダンジョンコアだ。

 聖女は鞄から帰還石を取り出して、

替わりにダンジョンコアを鞄へ入れる。


 そして、彼女は帰還石を破壊し、

スコップの街に帰ってきた。


「やったよ!

でも、やっぱりビトメねぇちゃんいなかった!」

「まことか!?」

「すごいねぇ」


 ゼンフとジョージ前王が嘆息しつつ、

『雷光の聖女』ではなく、トシ・オーを見た。


「次のプランです」


 トシ・オーの震える手が押さえている懐には、

スオラが隠されていた。

そして、スオラは聖女の持ってきたダンジョンコアに瓜二つの見た目だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ