表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは、アットホームな職場です!  作者: 桃野産毛
第六章 副業・兼業OK

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/119

第90話 伏せて!

 空が黒く染まり、

小鳥たちがけたたましく鳴く。

 群れは煙のように、

液体のように、

龍のように街に襲いかかる。


「撃て撃て撃て撃て!」


 テクノマギを着込んだ軍団は、

各々の武器をふるい、小鳥を撃ち落とす。

狙う必要なんてない。

空へ向ければ、確実に当たる。

だが。


「糞がぁ!

ちっとも減らねぇ!」

「こりゃ、海に石投げてんのと変わらねぇ!」


 当たる、倒せる。

しかし、終わらない。

 ダンジョンの扉から、

止めどなく溢れ出てくるスターリング。

昼過ぎの、一番日の高い位置にあるはずの、

一番明るいはずの空が。

今は夜空のように暗い。


「地下へ!

地下へ避難してください!」

「急いで!」


 『白の教会』のメンバーたちは迅速な対応を見せる。

そこに。


「遅れてすまん!

オスマンサス、近衛兵団、参る!」


 現れたのは黒い服の軍団。

フルプレートアーマでも、皮の鎧でもない。

フルキット、ロードアウト、フル装備とも呼ばれる。

地球世界の近代兵装。

 ヘルメット、防弾チョッキ、動きやすく軽い布の服装。

しかし、ただの布ではない。

糸の素材、糸のより方、編み方まで計算され尽くした、

どんな剣も槍すら貫けぬ最新鋭の鎧。


 近代兵装で武装された、歴戦の兵士たちだ。


 弓兵はカーボンでできた剛弓を携え、

矢じりに爆弾のついた矢を放つ。

当たろうが、当たるまいが、

炸裂す矢はスターリングたちを次々落とす。

 軽く動きやすい兵装は、

剣士たちにも力を与えた。

フルプレートアーマでは絶対にできない素早く柔軟な動きで、

剣を、槍を振るい、

襲いかかってくるスターリングの群れ切り裂き穿つ。

 それでも。


「チクショウ!

なんて数だ!」


 スターリングの群れは揺るがない。

ビトメとトシ・オーを抱えたゼンフにまで、

そのくちばしがせまる。

ゼンフは必死に走るが、

二人も人を抱えいてはさすがに遅い。

 四方八方から遅い来る黒い塊から、

息を切らせて走り逃げる。

とうとう、その背後を群れは捉えた。


「伏せて!」


 耳元で聞こえた声にしたがい、

ゼンフは二人をかばいつつ地面へ伏せた。

すると、スターリングたちは三人の上を飛び去る。


「……なんと!?」

「マーマレーション……。

群れる鳥は、細かい飛び方はできない。

急停止、急旋回、低空飛行がそもそもできたら、

群れる必要がない」


 いつの間にか意識を取り戻したトシ・オーが、

ゼンフにそう言った。


「なるほど!

 皆ぁ!

伏せろ!

這って避難しろ!

コイツらは、低く飛べない!」


 ゼンフの大声は銃声を通り越えて遠くまで届いた。

避難を急ぐ人たちはその声を聞いて、皆地面に伏せて這って避難を開始する。

 トシ・オーの言う通り、

スターリングたちは飛行能力は低い。

その代わりに、群れるための飛び方をしている。

だから、低空飛行や急旋回、急停止は絶対にしないしできない。

低くても、せいぜい人の頭の高さが限界だ。

屈むだけで当たらない。


「鳥である以上、

視覚で周囲を確認して飛びます……。

 更に、あれは昼に活動する鳥だと思います。

『鳥目』なんて言うくらい、夜目は効きません」

「煙幕だ!

暗くしろ!」


 ゼンフの大声は凄まじい。

それを聞いたテクノマギの軍隊が、

すぐさま煙幕をはる。

 プニャード全体に広がろうとしていた小鳥の群れを、

ぐるりと囲むように煙幕をはり。

群れを追いやり、集める。


「ここだぁ!」


 『雷光の聖女』。

超上空から、雷電を身に纏い。

小鳥の群れへ落ちた。

地面へは落ちず、

鳥の群れをなぞるように光る球体が襲いかかる。

スターリングは次々と雷の玉に焼き落とされていく。


 しかし。


 ダンジョンの扉が紅く輝き、

『雷光の聖女』へむけて閃光が放たれた。

紅い閃光が白い雷球とぶつかり、

激しく明滅する。


「ふーん!」


 『雷光の聖女』が紅い閃光を跳ねのけた。

一緒に煙幕も吹き飛び、青空が広がる。


 そして、そこにいたのは紅く紅く輝く鳳。


「……フェニックス」


 鳳はその大きく力強い翼を広げた。

第二ラウンドのゴングだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ