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異世界でモンスターに転生したから、魔王を目指してみた。【ファンタジー】

昨日思いついたのでつい……。

 雨の日の夜、家に帰るオレは横断歩道を駆けていた。

 そんなオレの視界を埋め尽くしたのは、眩しい光と車のエンジン音。

 「え?」と思いながら光が当たるほうを見た瞬間、オレは激しい痛みが体を襲った。

 そして、一瞬の浮遊感がした直後、何処かに叩き付けられる感覚。

 バウンド、擦られる。擦られる。何処も彼処も痛い。さむい、……しにたく、ない。

 そう思いながら、オレの意識は途切れた。


 ……次に目が覚めると、オレは森の中でモンスターになっていた。

 何を言っているのかさっぱりだろうけれど、オレは狼系モンスターの【ミニウルフ】になっていることだけは理解出来ていた。

 どうやらこれは噂に名高い異世界転生、というやつだろう。

 ということはオレは車に引かれて死んだんだなー……。

 そう思いながら、オレは悲しくなりながら「くぅん……」と鳴く。

 って、くぅんってオレは狼だろ? これじゃあ犬だよ。

 誇り高き狼になれるように頑張らないとなぁ。


 さて、そう決まれば……オレが今どういう状況なのかを知らないといけない。

 こういう異世界転生にありがちなステータス表示機能は……、どうやら無いようだ。

 じゃあ、特殊能力とかそういう物は……そっちも無い。

 これは俗に言う……危険ってことだよな?

 あと、今のオレはオスなのかメスなのか? 少し気になる。


 ……そう思っていると頭の中で魔物と言う存在がどういうものなのかが理解出来た。

 漠然と理解出来たけど、つまりオスメスは人型にならないと分からないというわけだ。

 そして人型になるには……魔物の中の頂点である魔王とならないといけない。

 魔王かー……。魔王にならないと人型になれないのかー…………。


『ゥオンッ!(よし、なっちゃいますか、魔王!)』


 そうと決まれた強くなるのみだ!

 気合を入れて、オレは歩き出す。

 きっとオレの人型は男だろうなー。元々男だったんだし、そうに決まってるだろう?


 転生後初めての敵は、雑魚モンスターの代表格であるゴブリン。

 今のオレの戦闘技術じゃ多数は無理だから、群れから離れたゴブリンを襲った。

 背後からの体当たりからマウントポジションを取り、攻撃を仕掛けたけれど反撃として脇腹に放たれた棍棒が痛かった。

 だけど、鋭い牙で首を噛みついたことでなんとかなった。

 そしてゴブリンを倒した瞬間、痛かった脇腹の痛みが治まって体に力が漲るのを感じた。

 どうやらレベルアップしたみたいだ。

 数値なんて見れないから、どれだけ強くなったのか分からないのが残念だけれど嬉しい。

 この調子でドンドンレベルをあげるぞっ!


 そう考えながらオレはゴブリンどもを皆殺しだ。って感じに森の中で移動を行うゴブリンをこっそりと殺していった。

 まあ、基本的にまだオレは弱いと思っているから群れから離れたゴブリンをガブリっ、だけれどね。

 そんなことを思いつつゴブリンを狩っていったけれど、どうやらオレの存在は静かに囁かれていたらしい。

 何故なら、何時ものように群れから離れたゴブリンを狩った瞬間、オレの背中に痛みが走った。

 何が起きたのだと背中を見ると……矢が突き刺さっていた。

 同時にオレを囲むようにしてゴブリンがギャアギャアと鳴きながら近付いてきた。

 ま、まじでっ!? 死ぬ、これは絶対に死ぬっ!!

 本気でヤバイと思うオレはどうするべきかと考える。けれど時間は無いようだった。

 何故なら矢には毒が塗られていたらしく、眩暈とゲフゲフと咽ると口から血が吐き出された。


『…………グルルルルルル、グラァ!!(だったら、だったらやってやるよ。オレが死ぬのが先か、お前らを全滅させるのが先か、やってやろうじゃねーかよぉ!!)』


 叫び、オレはオレを殺そうとするゴブリンに襲いかかる。

 首を噛み、爪で裂き、体当たりを仕掛ける。

 ゴブリンは叫びながらオレに襲いかかり、ボロボロの武器を突き立てる。

 痛みが起き、涙が出そうになる。

 だけど、同時に痛みが発せられると同時に力が湧き上がってくる。

 レベルアップ、レベルアップがゴブリンを倒すたびに起きているのだろう。


『グラアアアアアアァァァッ!!(かかってこいやぁぁぁぁ!!)』


 咆哮をあげ、オレは湧き上がる力を前足に、口に込めてゴブリンたちを蹂躙していった。

 ……それからしばらく経って、オレを襲ったゴブリンを全て倒し終え……息を吐いた。

 そこでようやくオレは気づいた。


『グルゥ? キュゥン……?(あれ? オレの毛、白くなってないか……?)』


 気のせいだろう、と思いつつも成長したからか大きくなった体を……と言うよりも前脚を眺めると、血でべっとりだけど茶色かった毛並みが白く見えた。

 ……一度水場を見つけて洗い流そう。

 そう思いながら水の匂いを辿って水場に向かい、汚れを落としてから水面に映る姿を見ると……真っ白い毛並みの凛々しい狼の姿が映っていた。


『ガッ!? グァオ!!(まじで!? オレカッコイイだろ!!)』


 なんというか厨二心を擽る佇まいにオレは歓喜する。

 狼、白色! 最高だろっ!! そう思っていると、今の自分の種族がぼんやりと浮かんできた。

 どうやら白い狼になっているオレは【ホワイトバーサークウルフ】というらしい。

 ……多分、狂ったように戦い続けていたからだろうな。


 少し自重しよう……。とか思ったオレだったが、そうは問屋が卸さなかったらしい。

 何故なら、水場に居たオレを格好の獲物と思ったようでまたゴブリンが襲いかかってきた。

 って、またゴブリンかよ!? え、ホブゴブリン? ちょっと強くってもゴブリンじゃないですかやだーっ!!


『『『ブフォウ! ブフォン!!』』』

『ガアアアアアアアアァァァァァーーーーッ!!(やる気満々かよ! だったらやってやんよぉぉぉぉぉぉーーーーー!!)』


 こうして水場を舞台に大乱闘が始まった。

 結果として言うと、オレは勝った。


 それからオレは森の中で力を付けていくために、色んなモンスターと戦った。

 ゴブリン系に始まり、オーク系、モンキー系、ベアー系、ボア系など……、オレが生まれたこの森は魔物の宝庫といえるほどに色んなモンスターが居て、強いのも居れば弱いのも居た。

 そうして、【ホワイトバーサークウルフ】から進化して【ホワイトバーサークワーウルフ】となって二足歩行が出来るようになり、森の絶対的王者であったキングベアーを仕留めた瞬間――【シルバータイラントワーウルフ】となって、身長が4メートルある細身のモンスターとなった。


『オレニ、カナウヤツハ、イナイ……!』


 そのときになると、オレの精神もモンスターよりになっていたらしく、残虐思考になっていた。

 同時にオレという危険な存在が森にいることが人間にも伝わったようで、討伐目的なのか冒険者なのか戦士なのかハンターなのかはわからないけど……武器を持った奴らが襲いかかって来るようになった。

 そんな奴らをオレは爪で豆腐のように引き裂き、鋭い牙で噛み千切っていた。

 ……ぶっちゃけ、人間美味くないわ。

 とか思っていると、オレはようやく念願の魔王になることが出来たらしい。

 らしい、というのは種族が進化したとか漠然と分かったように……「あ、オレ魔王のひとりになったわ」って感じになったのだ。


 ――よし、これでオレは完全な人の姿にになれる!!


 そう思いながらオレはガッツポーズを取った。

 きっと白髪のケモイケメン、略してケモメンになれるはずだ!

 よし、いざ変身をっ!! と思っていたが、予期せぬ出来事が起きた。

 勇者だ。どうやらこの世界には勇者は居たらしく、危険すぎるオレを……というよりも、魔王を察知したらしくオレを殺しに来たのだ。


「新しく生まれた魔王だとしても油断はしない! 覚悟しろ!!」

『フンッ、勇者ガオレニ勝テルモノカ!! 死ネェ!!』


 聖剣、もしくは名剣であろう剣を握り締めた勇者へとオレは拳を握り締め、重い一撃を放つ。

 こうしてオレと勇者の戦いははじま――って、痛い! 痛いからっ!!


 どうやら目の前の勇者は正義感丸出しだけれど、実力もあったらしく……オレの拳を、爪を、噛み付きを避けて返し刀で剣を振るいオレを傷つけた。

 これはマズい、そう考えながらオレは一度距離を取ると勇者を睨み付ける。


『クソッ、ドウヤラ貴様ヲ侮ッテイタヨウダ。ナラバ、オレモ新シイ姿ヲ取ロウ。サア、刮目セヨ勇者ヨ!! ハアアアアアアアアアーーーーッ!!』

「くっ、何をしようとしている!? っ! まさか、魔王になったばかりだったから、本当の魔王の姿を取っていなかったというのかっ!?」


 体の中の、魔王の力をオレは開放する。するとオレの体は本当の姿を取り戻すために準備を始める。

 そのときに発せられる熱量は高いらしく、周囲の木々が燃え盛っているが……気にしない。

 あと少し、あと少しだ。体の熱量が上がりに上がり、体が本当に燃えているのではないかと錯覚するほどの熱を発しながら……頂点に達した瞬間、全てを開放した!!


「くっ……、いったいどんな姿で現れるんだ……?! 僕は、勝てるのか……? いや、勝つんだ!!」


 もうもうと蒸気が立ちこめ、オレの姿が見えないからか勇者は必死に震えを押し殺しているのが見える。

 くくっ、これが……これがオレ、この世界のオレの本当の姿か……。蒸気で良く見えないけど、吹き飛ばせばいけるだろ。


「はあ――っ!! さあ、勇者よ。もう一度戦いを始めようか?」


 そう思いながら気迫で蒸気を払うと、オレは堂々と勇者の前に立つ。

 ……が、ちょっと待て。お前、それだけデカかったか?


「あ…………、ま、おう……か?」

「当たり前だ! 貴様、何を呆けている?! さあ、戦いを再開しようかっ!!」


 ポカンとする勇者にオレは激昂して叫ぶ。

 けれど勇者にはオレの声が届いていないのか、呆けた表情のまま……いや、何処か熱を帯びている?

 いったいどうしたのだろうか? 不思議に思い始めた瞬間、勇者が握り締めていた剣を落し……呟くように口を開けた。


「……れた」

「ん?」

「惚れた。結婚してくれ!」

「え? は、はあっ!?」


 こいつは何を言ってるんだ?!

 突然のことで驚くオレだったが、勇者は本気で言っているようでワケが分からない。

 オレは男だぞっ!? 何でそんなことを……って、ちょっと待て。

 精神自体は男だ。だけど、オレのこの体って……まさか。


「その真っ白く光を通すと銀色に輝く長い髪、頭から見える獣耳、そして小振りな尻から見える尻尾! 更には白く透き通る肌は抱き心地が良さそうで、ぷにぷにとした幼さが残る体付き!! 顔つきも何処か背伸びをしている感が憎めない……!! まさに、まさに僕の理想なんだ!!」

「え、ちょ!? 何こいつ、ロリコンなのかっ!?」

「ろりこん……初めて聞く言葉だけど、しっくり来る……。ああ、僕はろりこんだったんだな……だから、結婚してくれ!!」

「何でそうなるんだよっ!? って、抱き付くなぁ!! 放せぇ!!」


 タックルするように勇者はオレに抱き着いてきた。

 だからオレは引っぺがそうと力を込めるが、勇者の力が強いのか……それともオレが弱くなってしまったのかは分からないが引っぺがすことが出来ない。

 って、何クンカクンカってにおい嗅いでるんだよ!? オレのにおい嗅いだって何もならな――ひぃ!? な、舐めるなぁ!!


「ま、マズい……こいつ、本気だ!!」

「良いよね? 僕のお嫁さんになってくれるよね?」

「ならない、ならないから!! というかそもそもオレは男だぁ!!」

「ハハッ、何言ってるんだよ? 大丈夫大丈夫、男だって思ってただけだよね? 僕がちゃんと女の子って解らせてあげるから……」


 は、はなせ~~~~ッ!!

 必死にジタバタするオレだったが、勇者はそのままオレを持ち帰ったのだった。

 ……こうして、森に君臨した魔王(オレ)は居なくなった。









 そして現在、()勇者()に色々とされ、女を知り……子供が出来た。

 勇者()は子供と私に平和な世の中を、と頑張って各地に居る魔王を退治するために頑張っており、時折帰って来ては私に甘える日々だ。

 私自身その日々を楽しく思うようになり、可愛い子供が「ママ、ママ」って言ってくれるのが嬉しい。

 魔王を目指して血に塗れた戦いが嘘のようであり、現代社会を生きていた頃もうそのようだ。

 もしかすると男だったっていうのも夢だったのかも知れないな……。

 そんなことを考えながら、大きくなったお腹を優しく撫で……すぐ側で眠る可愛い子供の頭を撫で、ゆっくりと目を閉じた。

・狼魔王ちゃん

 外見:ロリ体型、白銀の長髪、ケモミミ尻尾、茶色の瞳。


 初めは抵抗していたけれど、くやしい……でも感じちゃう!(びくんびくん)が続いて、妊娠したら一気に母性溢れることに。

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