夕焼けの告白 1
「……何よ」
「だから、どうするんだ? 協力するのか? しないのか? 俺はイラついているんだ。さっさと答えろ」
長澤は悲しそうに俺を見ていた。そんな目で見ていないで、さっさと回答をしてほしい。
「……うん。する」
消え入りそうな声で長澤はそう言った。未だにしゃくりあげながら俺を見ている。
「そうか。言ったな」
確認するように俺は言った。確かに長澤はそう言ったのだ。もはや後戻りはできない。
これでいい。これこそが俺の望んだ展開。もう少し段階を踏むつもりではあったが、あんな感じの犬井を見せられてしまってはさっさと計画を実行した方がいい。
俺は椅子から立ち上がった。
「じゃあ、そういうことだからな。また連絡するから」
俺は立ち上がり、そのまま扉から出て行こうとした。
「ま……待ってよ……」
と、長澤が声をかけてきた。振り返ると長澤は、まるで犬井のように、弱々しい目つきで俺を見ている。
「なんだ。まだ何かあるのか?」
「……マンションの下まで、送って行くから」
掠れる声で長澤はそう言った。別にそんなことをしてもらわなくてもよかったが俺は何も言わずにただそのまま玄関に向かって行った。
幸い、今回はお母さんに会わずにエレベーターに乗り込むことができた。長澤は無言のままで俺の前で俯いている。
俺はちらりと長澤の表情を見た。未だに目には涙が見える。なんで泣いているのか、俺には理解不能だった。
そして、エレベータは少し揺れて一階についた。俺はそのままエレベータを出る。長澤も少し遅れてそこから出てきた。
既に空の向こうに日が沈みかかっている。俺は目を細めて其れを見ていた。
「……ねぇ」
そこへ長澤が話しかけてくる。オレンジ色の光が金髪に反射して綺麗だ。
「なんだ」
「……私ね、絶対嫌だった」
長澤はぼそりとそう言った。そして、俺のことを伏し目がちに見る。
その視線は見覚えがあった。まるでそれこそ、犬井の目つきそのものだった。




