夕焼けの告白 2
「何が?」
「……私を中学の時にイジメてた奴らみたいになるのは、絶対嫌だった。でも、それと同じくらい、絶対に高校ではイジメられたりしないんだ、って思ってた……だから、髪も金髪に染めたし、化粧もするようになったし……眼鏡も外して、コンタクトにした……」
訥々と、聞いてもいないのに長澤は自分のことを語り始めた。俺は全く興味はなかったが、コンタクトだったというのは意外な情報だった。
「ふぅん。で、それが?」
「でも……そっか。私、性根、腐ってるか……」
「まぁ、他人をイジメて楽しむのは、性根腐ってるよな」
俺がそういうと長澤は何も言えないようだった。そして、ただ悲しそうに俺を見ていた。
「ホントに、いいの?」
「あ? 何が?」
「……こんな性根が腐っている奴と……付き合っても」
長澤は無理やりに笑顔を作って俺を見る。俺はただそんな長澤を眺めているだけだ。
「ああ。別に付き合うと言っても一日だけだ。しかも、あくまでフリ。お前と本格的に付き合うわけじゃない」
「そう……あはは……そう、だよね」
長澤は自分に言い聞かせるようにそう言っていた。不思議な奴だと思いながらも、俺は長澤の様子を見ていた。
「……わかった。じゃあ、連絡してよね」
「ああ。じゃあな」
俺は今度こそ、長澤に背を向ける。しかし、何メートルか歩いた後、後ろを振り返った。
見ると、長澤はこちらを見ていた。俺が振り返ったのに気付くと、ひらひらと手を振っている。
なんだか、妙な気分だった。まるで長澤は憑き物は落ちたかのように晴れやかな顔というか、どこかすっきりした顔をしている。
それでいて、どこまでも絶望しているようなそんな表情……
俺は其れを見てからまた前を向く。
もしかして、長澤は絶望していたんじゃないだろうか。俺はその表情を見た。
其れを考えると、気分が高揚してきた。それと同時に激しい後悔も押し寄せてくる。
もしかして、俺は、取り返しのつかないことをしたんじゃないか、と。
それでも俺は自分の行いは間違っていないと確信していたし、だからこそ、そのまま振り返らずに帰宅したのだった。




