同盟の破綻 3
部屋に響く程の声でそういうと、長澤は俺を睨んできた。
必死になって俺を睨んでいる長澤の表情は、犬井とまではいかずとも、なんだか非常に憐れで、俺の興奮を呼び起こすには十分な表情だった。
「そうか。そこまで言うなら、言うとするかな」
俺の言い方に我慢の限界を感じながらも長澤は俺を睨んだまま黙っていた。
「俺と、付き合ってくれ」
そして、俺は淡々とした調子でそう言った。
長澤は無反応だった。というよりも、話を聞いていないようだった。
「……へ?」
どうやらその通りだったようで、長澤は間抜けな声で応えた。
「だから、俺と付き合って欲しい」
「……え。ちょ、ちょっと待ちなさいよ。つ、付き合ってって……何? どういうこと?」
「だから、付き合うんだ。男女の交際だよ。やったことないのか?」
「ヤ、ヤ、ヤったですって!? な、何いきなり破廉恥なこと言ってんのよ!」
「はぁ? 何言ってんだ?」
俺がそういうと、長澤は顔を真っ赤にしてそのまま俯いてしまった。
どうやら、俺のいったことを何かと勘違いしたらしい。
「大丈夫か?」
俺が訊ねると、首を縦に振って長澤は頷いた。
「そうか。で、どうなんだ? 俺と付き合ってくれるのか?」
長澤はゆっくりと顔を上げると、俺のことをチラリと見たが、すぐに顔をそむけてしまった。
「はっきりしてくれ。できないならできないって言ってくれないと」
「で、できないっていうか……な、何? アンタ。どういうつもりで言ってんの?」
「どういうって、そりゃあ、計画のためさ」
「け、計画のため?」
目を丸くして、長澤はこちらに顔を向けてきた。
「ああ。そうだ。だって、そういう話だっただろう」
なぜか信じられないものを見たかのような目で、長澤は俺を見ている。そして、そのまま力が抜けてしまったかのように椅子に座り込んでしまった。




