ラブコメもどき 2
さて、俺はどこへ行くのか。
こういう場合はやはり屋上に行くのは定石だろうか。
そうしたいのはヤマヤマだが、そんな行為はあまりにもそれは俺自身の精神が崩壊する危険性がある。
だから、こんな行為をしていてもなんとか俺自身の精神が耐えられる場所に俺は行くことにしたのだ。
俺は足早にその場所に向かう。犬井も嬉しそうな足取りで俺の後ろを付いてくる。
俺はなるべく後ろを振り返らないようにしながらさらに足取りを速めた。
そして付いた場所。もちろん、校舎裏だった。
幸いなことにこんな鬱屈した場所には誰もいなかった。
「えへへ。逢沢君はホントここが好きだね」
嬉しそうに犬井はそう言ったが、俺は何も応えなかった。
別に好きでもなんでもない。目立たないから丁度いいだけである。
そして、校舎を背にして俺は腰を降ろし、犬井もその隣に腰を降ろす。
「はい。どうぞ」
弁当の蓋を開けて俺にそれを見せてきた。
なんとも普通のメニューだった。
おにぎりとか玉子焼きとか。一口サイズになっているコロッケくらいが珍しいものだろうか。
「ああ。ありがとう」
俺は弁当箱と箸を受け取った。
食べるのか……これを。
別に犬井の弁当が不味いとかではない。むしろおそらく犬井の料理の腕は相当高いものではないかと思う。
しかし、なんというか俺個人の考えとして他人が作ったものを食べるのは、正直嫌なのだ。
ひねくれているだけだと言われればそうだがどうにも自分の舌に合わない。マザコンとかそういう意味ではなく、生まれながらにして食べてきた家庭の味が舌に染みついているせいだと思う。
だから、俺は犬井の弁当をあまり食いたくないのだった。
なるべく味わわないようにしながら俺は弁当を飲み込む。何も考えず、何も感じずただ喉に食物を流し込んでいる感じだ。
「あ……逢沢君?」
すると、犬井が俺に話しかけてきた。
「ん? なんだ?」
「あ……お、美味しいかな?」
少し不安そうな顔で犬井は訊ねてきた。
「ああ。上手い」
俺は特に躊躇いもせずに応えた。別に上手いことは確かなのだから、嘘はついていない。
「そ、そっか……あ、あはは。なんだ。よかった。逢沢君、無表情で食べるから美味しくないのかと思ってたんだよね」
「ふぅん。そうか」
そういっても俺は相変らず無表情で食べ続ける。犬井は何も言わずに俺が食べるのを見ているだけだった。
なんだか居心地が悪いので俺は犬井に何か話しかけることにした。




