ラブコメもどき 1
しかし、そうは思っていても我慢できないことはある。
それは昼休みにやってきた。
「逢沢君!」
犬井が元気な声で話しかけてきた。
俺は面倒臭そうに顔を向ける。
「なんだ?」
「はい。これ!」
そういって俺に差し出してきたのはなにやら箱型の物体だった。
しかし、次の瞬間、俺はソレが何か認識した。
またやってきてしまったのだ。恐怖すべき時間が。
「あ……な、何?」
「お弁当! 作ってきたよ!」
目を輝かせてそういう犬井。
俺は愕然とした。
既に犬井の変貌から数日。犬井は何度か俺に対してこんなアプローチをしてきている。
……いや。俺とて多少の常識はある。
変態だという自覚はあっても知っていることがある。
こういうことをされるというのは、俺は相当犬井に気に入られているということだ。
だから、そこは計画の一環として問題ない。
問題は、目立つのだ。
一旦捨てたポリシーとはいえ、基本的に目立つことはやはり俺は嫌いなのである。
しかし、弁当を作ってきてもらうなどと言うことは、どう抗おうが問答無用で目立つ行為そのものである。
俺は周りの視線を少し見やる。少なからず好奇めいたものを俺は感じる。
最悪だった。
「わかった。犬井。じゃあ、またいつもの場所に行こうか」
「うん! 行こう!」
俺は立ち上がりそのまま教室を出たのだった。




