怪しい関係 1
だが、そんな俺の小規模な野望の安定は、あっけなく崩壊した。
昼休み、授業が終わり食堂で飯を食うか、それとも購買でパンでも勝手やりすごすか考えていた時だった。
「ちょっと、アンタ」
聞こえて来た声の方向に俺は顔を向ける。
そこに立っていたのは、金髪で目つきの悪い少女、長澤流佳だった。
「なんだ。長澤」
長澤は心底不機嫌そうな俺を見ていた。
「アンタ、どういうつもり?」
長澤の言葉には棘があった。
「どういうつもり、だって?」
「そうよ……ちょっと、廊下まで出ないさいよ」
長澤は一瞬だけ犬井のほうを見た。
犬井は長澤が俺の席にやってきた辺りから既に縮こまってしまってガタガタと震えている。
「わかった。行こう」
俺は快諾し、そのまま長澤について行く。教室を出る時に振り返ると、犬井が不安そうに俺のことを見つめていた。
そして、廊下に出ると長澤は鋭い目つきで俺を睨んできた。
「で、どういうつもりか喋ってもらいましょうか?」
「なんだ。どういうつもり、って」
俺の返事はどうやら長澤の逆鱗に触れたらしい、いっそう顔をしかめて俺を睨む。
「だから、駄犬のことよ。私はね、アンタがよくわかんないけど、面白そうなことをしそうだから、アンタに協力して犬井に対するイジメをやめたのよ? なのに、アンタ何もしないじゃない。どういうことよ?」
そういわれて、そういえばそんなことを言ったのだと俺は思い出した。
そのためにわざわざ俺は、長澤の家まで押しかけたことを、言われてようやく思い出したのだった。
「そういえば、そうだったな」
俺がそういうと、長澤はあり得ないという風に呆れてみせた。
「アンタねぇ……何? じゃあ、アンタもしかしてあれは嘘だったってわけ?」
「嘘? 嘘ではない。ただ、お前にあのことを言ったことを忘れていたんだ。俺が単純に正義感だけで犬井を助けるわけがないだろう」
長澤は疑わしげな目つきで俺を見た。
「確かに、あの時のアンタの話は信憑性あったわよ。アンタが変態っぽいってことも理解できたし。でも、三週間経った今でもそうなの? 心変わりとかしてない?」




