勝ち得たモノ 4
「ほぉ……これは?」
俺は笑い出すのを必死にこらえながら、冷静を取繕って訊ねる。
「わ、私の……ぱ、パンツ……」
恥ずかしさで死んでしまうのではないかというくらいの顔で、犬井はそう言った。
「そうか。くれるんだな」
俺はそのまま犬井が差し出してきた純白の布切れを手に取った。
しかし、さすがに驚いたことに、それはまだ微妙に温かった。
つまり、一つの結論を導き出した。
これは、今さっきまで犬井が穿いていたものなのだと。
俺はもう一度パンツを見てから犬井を見た。
「犬井。お前、変態だな」
そして、ニンマリと微笑みながら犬井にそう言った。
「……え?」
驚いた顔で犬井は俺を見る。
「お前、前に俺に言ったよな? 俺のこと、変態、って」
「え、あ……う、うん」
「だけど、今の状況はどうだ? これ、お前が穿いていたパンツだよな。つまり、今のお前は下着を穿いていない。普通じゃないよ。変態さ……そもそも、お前、俺が言ったからって……クックック……アッハッハ!」
俺はついに我慢の限界だった。
俺は大声で笑い出してしまった。
犬井は目に涙を貯めて俺を睨んでいる。
おそらく、犬井の中で俺が救世主から、ただの変態の糞野郎へと評価が一変した瞬間であった。
その変化の瞬間が如実にわかるということ、それこそが俺にとって何よりの至福であった。
そして何より、犬井の表情が俺の望んだものそのままで俺は満足だった。屈辱に耐えながら、憎い相手を睨みつけている。
それなのに、恥ずかしいだけで何もできない。まさに俺が望んだ犬井の顔だった。




