勝ち得たモノ 3
「そ、そんな……も、持ってないよ。私……」
「そんなことは知らん。とにかく、今ここで渡すんだ。お前は俺に一度嘘をついているんだ。そんなお前は信用できん」
俺がそういうと顔を真っ赤にしながら犬井は俺を睨んでいた。
自分にとって恩人だと思っていた相手が、無理難題を吹っかけてきていることに、相当理不尽さを感じているようだった。
しばらくどうすればいいのかわからなかったようで、犬井はモジモジと悩んでいた。
そして、それから伏目がちに俺を見る。まるで許しを請うようなそんな目線。
「ダメだ。今、ここにお前の下着をもってこい」
俺のその言葉にどうやら犬井は諦めたようだった。
諦めたら犬井は次に、どうすればいいのか。
もちろん選択肢はたくさんある。
一つは、ここから逃亡することだ。俺との約束なんて反故にしてなかったことにすればよい。
しかし、これでは俺の犬井に対する評価は一気に下降するし、俺自身、犬井はそんなことをする女の子だとは思いたくない。
一つはとにかく俺に許しを請うことだ。泣いて喚いて、何とかこの場を切り抜ける。
俺としてはそんな風な行動にでる犬井も見てみたいが、今現在俺が見たい犬井の姿は、それがベストというわけではない。
では、俺が今見たい犬井とは何か。
それは単純である。単純に、俺に自分の下着を恥ずかしそうに、悔しそうに手渡してくる犬井の姿である。
さぁ、犬井は一体どんな行動をとるのだろうか。
俺はあくまで無表情ながら、目の前で困り果てている犬井を見ていた。
すると、犬井は顔をあげて何か思いつめたような顔で俺を見た後、そのまま俺を残して校舎裏から出て行ってしまった。
逃亡……いや。そんな表情ではなかった。
俺はそのままそこに残った。犬井は帰ってくると確信していたのだ。
しばらくそのままで待つこと、約十分ほどだろうか。
犬井が帰って来た。顔を真っ赤にしてなぜか少しおかしな足取りで、犬井は俺の前にやってきた。
「……こ、これ」
そういって犬井が渡してきたのは、白い布切れであった。
いや、正確に言ってしまえば、それはまぎれもなく女性用下着……女の子用のパンツだった。




