長澤流佳の恥じらい 2
扉を開け外に出た。すると、丁度エレベータの方からやってきた長澤のお母さんと鉢合わせしてしまった。
「あら。逢沢君と流佳ちゃん」
お母さんは俺と長澤を見つけると嬉しそうにこちらに駆け寄ってきた。
「あ、どうも」
「あら? もう帰っちゃうの? せっかくだから、ご飯でも食べていかない?」
「え? ご飯、ですか?」
俺はチラリと長澤の方を見る。長澤はその言葉を聞いてフルフルと首を振っていた。
「あ、いえ。申し訳ありませんが、遅くなると家族が心配するので。俺はこれで。ありがとうございました」
「あら、そう……流佳ちゃんはどこか行くの?」
「え……あ……こ、コイツをマンションの外まで送ってくるから」
「あら、そう。うふふ」
お母さんは嬉しそうにしながらそのまま俺達の横を通り過ぎ、扉を開けた。そして、ニッコリと俺と長澤に微笑みかける。
「あ、流佳ちゃん。いいのよ。マンションの外までとは言わず、ちょっとそこらへんまで一緒に逢沢君と歩いていたらどうかしら?」
「は、はぁ!? お、お母さん……すぐ帰ってくるから」
「はいはい。わかりましたよ」
そういって長澤のお母さんは軽くウィンクすると今度こそ家の中へ入っていった。
「……あー……もう……」
長澤は茶色い髪の毛をクシャクシャにしながら苛立たしげにそう呟いた。
「なんだ。良いお母さんじゃないか」
「……ええ。そうよ。私のお母さんは世界一良いお母さんよ」
その言葉に俺は思わず長澤を見てしまった。すると、長澤も自分が何を言ったのかすぐに気づいたらしく顔を真っ赤にして俺を見る。
「い、今のなし! 私何も言ってないから!」
「ああ。まぁ、そうだな」
そのまま俺はエレベータの方に向かった。
長澤も相変わらず恥ずかしそうにしながらエレベータに乗りこんできたのだった。




