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人生が終わっているはずなのに、まだモブで終わりたくない

俺は四十二歳になる、独身のメンヘラオジサンである。

一応、大手企業の正社員として働いている。会社名を聞けば、多くの人が

「ええ会社に勤めてますね」と言うだろう。

しかし、実際の俺は出世街道を走るエリート社員ではない。会社に毎日行くことすら難しく、

職場の端の方で、なんとか組織にぶら下がっている窓際サラリーマンである。

精神障害者保健福祉手帳は三級。二十四歳でうつ病になってから、会社を休んでは戻り、

また休んでは戻る生活を繰り返してきた。

周りが結婚し、子供を作り、家を買い、役職を上げていく間、俺は今日会社に行けるかどうかを

考えていた。

それでも、何もしなかったわけではない。

人生を変えたくて勉強した。FP一級を取り、CFPも取った。簿記や金融、保険、年金、

労務関係など、仕事に役立ちそうな資格にもいろいろ挑戦した。

資格を取れば評価されると思っていた。

努力を証明できれば、会社の中で何かが変わると思っていた。

しかし、何も変わらなかった。

資格が増えても、病気が治るわけではない。給料が一気に上がるわけでもない。

会社で重要な仕事を任されるわけでもなかった。

勉強しても、頑張っても、俺は俺のままだった。

その現実に耐えられなくなった俺は、株の信用取引に手を出した。

最初は勝った。一時は一千万円以上の利益が出た。

これで人生を取り返せると思った。

会社で評価されなくても、金さえあればいい。北新地で飲み、キャバクラで女の子に囲まれ、

欲しいものを買い、会社に頭を下げなくても生きられる。

俺は選ばれた人間なのかもしれない。

そう思った。

もちろん、そんな都合のいい話は続かなかった。

最終的には約二千五百万円を失い、借金を抱え、個人再生をした。

人生を逆転するために始めた株で、人生をさらに壊した。

そこで終われば、まだ一度の大失敗で済んだのかもしれない。

しかし、俺は止まらなかった。

個人再生を終えた後も、株やキャバクラなどに金を使った。勝てば取り返せる。

女の子に優しくされれば、孤独が埋まる。そんなことを考えながら、また借金を作った。

そして現在、約三百二十万円の債務を抱え、自己破産の手続きを進めている。

一千万円以上稼ぎ、二千五百万円を溶かし、個人再生をして、また借金を作って自己破産。

文字にすると、なかなか見事に人生が終わっている。

ただ、不思議なことに、俺の人生はそれだけではなかった。

以前、債務整理の手続きなどで暇を持て余していた頃、世の中はコロナ禍に入った。

人にも会えず、外にも出られず、やることがなかった俺はYouTubeを始めた。

特別な才能があったわけではない。

四十前後のメンヘラおじさんが、世の中への不満や自分の人生についてしゃべっていただけである。

それでも、動画を見てくれる人が少しずつ増えた。現在の登録者は約四千八百人。

大物YouTuberとは比較にもならないが、普通のおじさんの話を、それだけの人が登録して見ている。

さらに、自己破産の手続き中、遊びに金を使えなくなり、また暇になった。

そこで今度は「小説家になろう」に小説を投稿した。

文章をまともに書いた経験もほとんどなかった。頭の中に浮かんだ話を口に出し、

ChatGPTを使って文章にした。

江戸時代の飯屋、現代のキャバ嬢、戦国時代の飯屋。今は薩摩の八郎。思いついたものを次々と書いた。

すると、四作品の累計で約四百五十万PVまで読まれた。

会社では評価されない。資格を取っても状況は変わらない。株では大失敗し、

二度目の債務整理に入った。

そんな俺の作った話を、なぜか何百万人もの人が読んだ。

人生がうまくいっているとは、とても言えない。

結婚もしていない。子供もいない。金もない。出世もしていない。仕事に毎日行くことさえできない。

世間の基準で見れば、俺は名前のないモブなのだと思う。

それでも、モブのままで何も残さず終わるのは嫌だった。

失敗した話も、病気の話も、金や女に執着した格好の悪い欲望も、全部なかったことにするのではなく、物語の材料にしてしまえばいい。

この「メンヘラおじさんの作戦会議室」は、そんな俺が過去を掘り返し、現在を記録し、

これからの生き方を考えるために作った場所である。

成功者が人生の正解を教える場所ではない。

人生を何度も壊したおじさんが、それでも幸せになる方法は残っているのか、

公開で考える場所である。

たぶん、来週には今週と違うことを言っている。

それでもいい。

人生が終わっているはずの俺が、本当にこのままモブで終わるのか。

まずは、その作戦会議から始めたい。

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