【幕間】占い師マリーン
マリーンは腕のいい占い師だった。
だからこそ、どんな過去もどんな未来も見通せる力があった。
けれど、いくら優秀な占い師だからといって善良であるわけではない。
それなりにお金を積まれたら、それなりに都合よく占い結果をいじることもした。
「うーん、そろそろこの国は潮時ね」
マリーンは引き際をよくわかっていた。
というのも、占いの能力と同じくらいマリーンには先見の明があった。
そのため、自分の行いによって今後がどうなるかというのはある程度予想がついていた。
「いい実入りではあったけど、さすがに王子を騙したとなったら国王が黙っていないだろうし、バレたら面倒よね。国王がいないうちにさっさと消えてしまいましょう。さて、次はどの国がいいかしら……」
どこか次に稼げそうな国を探すために占いをする。
地図を広げながらその上に砂を蒔いてマリーンは自分との相性がいい国を探した。
「ヘリオンはダメ……ベッツェもダメ……あら、オリエン、ネージオ、クリエントもクローレもダメだと出てるわね。クローレはこれからさらに発展するみたいだから一度は行っておきたかったのに。となると……うーん、どうしましょう」
占った結果、思いのほか進路が限られていて悩むマリーン。あまり時間もないという結果も出てるため、そんなに悠長にはしていられなかった。
「西や南があまりよろしくなさそうだから、北か東に行きましょうか。あーやだなー。寒いの嫌いなんだけどなぁ。でも、そんなことも言ってられないか。……はぁ、やっぱりいくら大金を積まれたからって今後は大きな恨みを買うのは得策ではなさそうね」
さすがに、婚約破棄だけでなく処刑という文言を入れるのはやりすぎじゃないかとも思ったが、引き受けた以上依頼主の意向には沿わないといけない。
今回は大金につられて我ながらちょっと大胆に動きすぎたと反省しながら、商売道具などを片付けるマリーン。
「ついでだから、餞別としてこの国についても占っておきますか。……うんうん、そうよね。先行きは暗い。破滅のカード。うん、やっぱりここからさっさとおさらばしましょう」
マリーンは想定していた通りの占い結果が出て満足する。
立つ鳥跡を濁さず。
さっさと支度を済ませると、彼女の頭の中にあるのは次はどこで稼げるか、ただそれだけしかなかった。




