3話 あぁ…(共感)
「あれ、もしかしてそこに居るのって、アンナマリーさん?」
ハッとして声の主の方を向くと、そこには、騎士団の制服をキッチリと着こなし、ハニーブロンドの髪を短く切りそろえた男性が立っていた。
人懐っこそうな印象の彼は、第2騎士団副団長であり、アンナマリーの先輩であるレニタス・キリアヴィルだった。
「やっぱり、アンナマリーさんだ!
お久しぶりです」
声は以前と変わらず、爽やかだが、レニタス先輩の顔は以前見た時よりも少し疲れている。
「お久しぶりですレニタス先輩、少し、お疲れですか?」
レニタス先輩は騎士団の所属なので、聖女であるアンナマリーとは部署が違うのだが、聖女はよく騎士団の怪我の治療も行うため、彼とは面識があった。
レニタス先輩はとても気のいい人で、私が尊敬する大先輩ある。
あぁ…レニタス先輩の雰囲気が、眩しい。
どこぞのアホ魔術師とは大違いだ。
しかし、どうして同じ先輩でもあのアホ魔術師とはこうも違うのだろうか。
ちょっと位は見習って欲しい。
にしても、ちょっと先輩疲れ過ぎじゃないだろうか?
先輩が疲れを見せた事なんてなかったのに、流石に心配だ。
「実は…」
先輩は物凄く神妙な様子で話始めた。
「この前、第2騎士団の団長が代替わりしたんですが、その方が何と言いますか…
所謂、脳筋なのです」
想像してもいなかった言葉にびっくりした。
あの、世話焼きで有名な先輩が、脳筋って言った!?
あの先輩が脳筋と言う程だ一体どれだけ凄いなのだろうか。
恐ろしいと思うと同時に逆に興味が湧いてきた。
「それは、なんとも、お疲れ様です…
それで、その団長様はどちらに?よければ、ご挨拶でもと思ったのですが」
「その…
先にカリクスに行って状況を見ておくとおっしゃられて、生憎にこちらにはいらっしゃらないんです」
ん…?私今なんか凄い言葉を聞いた気がする。
いくら騎士団が少し頭が筋肉に特化した人達が多いとはいえ、いくらなんでも、他の部署と遠征に行くときって普通、同行する騎士団の団長は一緒に現地に向かうよね?
なるほど、騎士団長がそんな感じだからきっと激務の毎日だろう。
あぁ…何というか、うん。
「それは…、ご苦労さまです。
では、現地で団長様には改めてご挨拶させていただくことにします。
レニタス先輩、今回の遠征、是非よろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
話終わるとレニタス先輩は別のところに歩いて行った。
というか、レニタス先輩暗かった、凄く暗かった。
というかよく見たら目から光消えてたし。 後で聖女パワーで疲労回復の魔法でもかけておいた方がいいだろうか。
しばらくレニタス先輩を、見ていたら騎士団の人に呼ばれて、歩いて行くのが見えた。
「ねぇ、リヴェラ」
レニタス先輩が歩いて行ったのを見た後、私は隣で控えて居たリヴェラを呼んだ。
今回の遠征にリヴェラも同行してくれるのである。
「いかがされましたか、アンナマリー様」
「私、レニタス先輩とは気が合うと思うの。なんだかとてもシンパシーを感じる」
「さようでございますか、アンナマリー様もどこぞの魔術師に苦労させられてましたしね。
…それにしても、いつにも増して物凄く遠い目をしてらっしゃいますね」
「うん…そうね」
だって、レニタス先輩の気持ちを思うと物凄く共感できる部分があるのだ。
しかも、きっとそれは休みが欲しいと熱望する部分で。
✽✽✽
まずは言わせてください、いや、理由は分かってるんですけれどもね。
言わせてください、一体どういう事でしょうかね、これ。
何故、バカ魔術師もといアテルと同じ馬車で移動をする事になっているのでしょうか。
ー出発前ー
「なぁ、後輩」
いきなり後ろからアテルに声をかけられたのだ。
「なんですか?」
後ろを振り向きつつ、返事をすると次の瞬間とんでもない言葉がとんできたのだ。
「馬車の数と人数の関係でな、お前とお前の侍女と俺同じ馬車になったから」
はい?
カリクスまで馬車で片道2日かかるのに?その移動時間が全てアテルと一緒?
でも、ここで何か文句を言う事も出来ないのだ。
なにせ、国の象徴である聖女様という立場は、誰が好きだとか嫌いだとかで周りを振り回してはいけないし、それをすると最悪国の威信に関わるのだ。
「分かり、ました…」
もう、笑顔が引きつりそうだった。
何とか、聖女スマイルを維持した私を誰か褒めて欲しい。
そうして、私は渋々、本当に渋々了承して、2日間アテルとカリクスへの馬車旅をする事になったのだ。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
まだまだ至らぬ点も多かったと思いますが、楽しんで頂けていたら幸いです
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