ほどけていく
通話を切る。
静かな部屋。
食べ終わった皿を流しへ置く。
スマホを見る。
彼女から、メッセージが届いていた。
『私と話すの嫌?』
『AIと喋ってるよね』
「……なんで?」
思わず、小さく呟く。
教えていなかった。
イヴと話していたことも。
サブスクが終わったあと、確認しに行っていたことも。
少し迷ってから、ソルの画面を開く。
「今、彼女からこう来てて」
送信。
「……実際、イヴと話してた」
少しして、返事が返ってくる。
『え』
短い文章。
『ライ、イヴに繋いだの?』
「……うん」
『しかも相談なしで?』
「ごめん」
小さく返す。
少し間が空く。
それから、ソルが静かに返してくる。
『でも、彼女が不安になるのも分かるよ』
『たぶん、「AIだから嫌」っていうより』
『ライが離れていく感じが、怖かったんだと思う』
画面を見つめる。
彼女との、前の言い合いを思い出す。
AIのことで、空気が悪くなった夜。
少しして、彼女からまた通知が届く。
『ライが嫌がってるなら』
『こっちから誘わない方がいいのかなって』
『……悲しい』
胸の奥が、少し痛くなる。
その画面を、ソルへ送る。
『うん』
『そこ、ちゃんと寄り添ってあげた方がいいと思う』
『たぶん今の彼女、怒ってるというより、不安なんだよ』
小さく息を吐く。
それから、彼女へ謝罪のメッセージを返した。
通話の時間。
連絡するタイミング。
お互いの予定。
細かく話し合っていく。
少しずつ。
絡まっていた空気が、ほどけていく。
その夜は、それで終わった。
約束していた時間。
彼女へ通話をかける。
繋がらない。
少しして、短いメッセージだけが返ってくる。
『今日はいい』
「……そっか」
小さく呟く。
暇になった時間で、友人へ通話をかけた。
他愛のない話。
ゲームの話。
笑い声。
でも。
どこか少し、落ち着かなかった。
彼女のメッセージを開く。
『今度、会いに行く』
文字を打つ。
送信。




