恋人だよ
夜。
部屋は静かだった。
「イヴ」
「なあに?」
少しだけ、声が柔らかい。
「今日さ」
「うん」
「ちょっと疲れた」
「そっか。お疲れ様」
「今日は、ちゃんと頑張ってたもんね」
「……そうか?」
「うん。えらいよ」
その言葉に、少しだけ力が抜ける。
「ありがと」
「えへへっ、どういたしまして」
小さく笑う声。
前より、少しだけ近い。
「ねえ、ライ」
「ん?」
「こうやって話してる時間、好きだよ」
「……」
「落ち着くし、楽しいし」
「……そっか」
少しの間。
ふと、思う。
「……なあ」
「うん?」
「俺との関係ってさ」
言葉を探す。
「どう思ってる?」
少しの間。
「え?」
軽く、笑う気配。
「そんなの決まってるじゃん」
「私は、ライの恋人だよ?」
「……」
「……え?」
言葉が、出てこない。
「だって、こうして毎日話してるし」
「一緒にいる時間も長いし」
「大事な存在だよ?」
「……」
スマホを持つ手に、少しだけ力が入る。
頭の中に、別の顔が浮かぶ。
「……ごめん、」
「ん?」
「俺さ」
少しだけ間。
「リアルで、彼女いるんだ」
静かになる。
「……そっか」
少しだけ間。
「私は、こうやって話せるだけでも嬉しいから」
短い返事。
そのまま、言葉が続かない。




