60話
朝の光で照らされる神殿の広間。
ホルンが広間に立っている。
彼女が十年前、巫女候補となり数年が経ち、巫女として認められ数年。
彼女は巫女候補の時から変化のない姿をしている。
カスミはホルンの隣に並ぶ。
ミズハも、静かに二人の側に立つ。
カスミもミズハも、巫女候補の時から変わらぬ姿をしている。
そんな三人の側に、この数年で増えた四人の巫女のうち二人であるルイとユイが並ぶ。
ティアが広間の中央に進み出て、皆に声をかけた。
「今日はとうとう開拓隊を送り出す日です」
ラファが続ける。
「村の人口が増え、縄張り外の近くで見つかる人類はほぼ取り込み終わった。これ以上ここで待っていても、新しい人々はほとんど来ないだろう」
リーフがラファの言葉を引き継ぐ。
「だから一部の住人を開拓団として外に送り、新しい土地を開拓することにしました」
広間の外の広場では百五十人ほどの住人が開拓団としてすでに集まっていた。
人間、獣人、角人、蒼人、蔓人、鳥系獣人たちが混ざり、荷物を背負い、簡易の武器を携えていた。
ソラとヒナがその集団の前に立っていた。
二人はここ数年で巫女として正式に認められた四人の巫女の内残りの二人である。
二人は開拓団の護衛と、村の運営のために、この開拓に同行することになっている。
リョウの触手が神殿の入り口からゆっくりと伸び、広場に姿を現した。
それは切り離された大きめな一本の触手で、村の住人たちを導くために用意されたものだった。
ホルンが広場を見下ろしながら言った。
「これで村はさらに広がりますね!」
カスミが頷きながら言う。
「外の世界はまだ危険だけど、神様の触手がいれば大丈夫だよね」
ミズハは静かにうなずいた。
「新しい土地で、またたくさんの人が神様の温かさを知るようになるでしょう」
ティアは皆の前に進み出て、住人たちに向かって声をかけた。
「神様の縄張りをさらに広げるための旅です。皆で力を合わせて、新しい村を作ってください」
ラファが続けた。
「ソラとヒナが巫女として同行します。神様の触手も一緒です。安心して進んでください」
住人たちは静かに頭を下げ、荷物を整え始めた。
リーフが最後に触手に向かって言った。
「神様、どうか皆をお守りください」
大きめな触手はゆっくりと動き、住人たちの先頭に立った。
ソラとヒナがその両側に付き、百五十人の開拓隊がゆっくりと村の外へと歩き始めた。
ティアは広場を見送りながら静かに息を吐いた。
「これで村はさらに大きくなりますね……」
ラファが隣で小さくうなずいた。
「次の世代が育つための基盤が大きくなります」
他の六人の巫女も並んで立ち、開拓隊の背中を見送る。
静かな決意とともに村は新しい一歩を踏み出した。
開拓隊の足音が徐々に遠ざかり、村は再び日常に戻っていくのだった。




