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異世界に転生したら触手で、助けた少女に神様って言われたので神様ごっこします!  作者: frandre scarlet


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45話

 朝日の中、リーフはミズハを連れて、村の端にある仮設小屋の並ぶ一角へ向かった。

 そこには最近縄張りに入ってきたばかりの家族が何組か暮らしていた。

 リーフは小屋の前で立ち止まり、ミズハに静かに言った。


「ここが今日の仕事場だよ。外部から来た人たちの心のケアを手伝って」


 ミズハは青みがかった長い髪を軽く指で整え、穏やかにうなずいた。

 彼女は水色の瞳を柔らかく細めて、小屋の中をそっと覗いた。

 リーフは先に小屋の入り口をくぐった。


 中では角人の家族が、疲れた顔で座っていた。

 夫婦と小さな子供が二人、肩を寄せ合うようにしていた。


「こんにちは。今日はもう一人一緒に来ました」


 リーフは優しく声をかけ、ミズハを振り返った。

 ミズハはゆっくりと中に入り、家族の前に静かに腰を下ろした。

 彼女は穏やかな声で、まずは家族の顔を一人ひとり見つめた。


「外から来て、すごく大変でしたね。ここは神様の縄張りだから、もうモンスターは来ません。安心して、ゆっくりしましょう」


 夫の角人が重い息を吐きながら口を開いた。


「…本当にここは安全なのか。まだ夜になると夢でモンスターに追いかけられるんだ」


 ミズハはそっと夫の手に自分の手を重ねた。

 彼女は温かい魔力をほのかに流しながら、静かに言葉を続けた。


「その気持ち、よくわかります。私も外で逃げていたときは、毎晩怖くて眠れませんでした。ここは神様が守ってくれています。少しずつ、慣れていきましょう」


 妻の角人が涙を浮かべてうなずいた。

 ミズハは今度は妻の肩に優しく手を置き、子供たちにも視線を向けた。


「貴方たちも怖かったよね。ここではもう走って逃げなくていいんだよ。神様がみんなを守ってくださっているから」


 リーフは少し離れた場所からミズハの様子を静かに見守っていた。

 彼女は時折うなずきながら、ミズハが自然に家族の心に寄り添う姿を観察した。

 ミズハは家族の話を一つひとつ丁寧に聞き「神様はいつもそばにいてくださるよ」と何度も優しく繰り返した。


 彼女の声は水のように柔らかく、家族の硬くなった肩から少しずつ力が抜けていくのがわかった。

 次の小屋では、蔓人の若い夫婦が不安げに荷物を抱えていた。

 ミズハは彼らの前に座り、穏やかな笑顔で話しかけた。


「初めての村は、きっと不安ですよね。でもここは神様が作ってくれた安全な場所です。水のように、すべてを優しく包んでくれるんだよ」


 夫婦はミズハの言葉を聞きながら、少しずつ表情を緩めていった。

 ミズハは二人の手を交互に握り、静かに魔力を流して心を落ち着かせた。


 リーフはミズハの隣で時折村からする補助の説明を入れながら、彼女が自然に人々の心に寄り添う姿をじっくりと見つめていた。

 夕方近く、最後の小屋でのケアが終わった頃、リーフはミズハの肩にそっと手を置いた。


「今日はよく頑張ったね、ミズハ。縄張りの外から来た、新規の人たちの不安を、あんなに優しく受け止められるなんて……本当に巫女候補としてふさわしいよ」


 ミズハは青みがかった髪を風に任せながら、静かに微笑んだ。

 彼女は少し頰を赤らめて、小さくうなずいた。


「リーフ様……ありがとうございます。神様の温かさを、もっとたくさんの人に伝えていきたいです」


 二人は並んで神殿へ戻る道を歩き始めた。

 夕陽が、ミズハの青みがかった髪を優しく照らしていた。

 ミズハの巫女候補としての初日は、こうして終わりを迎えていく。

 彼女の穏やかな優しさは、新しく村に入った人たちの心に、そっと寄り添っていた。



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