44話
神殿から出てきたラファは、カスミを連れて村の道を歩き始めた。
「今日はあなたに、巫女の仕事の一部を手伝ってもらうね」
ラファは穏やかに言った。
「村人の相談を聞いたり、作業を手伝ったりするの。まずは私の隣で見ていて」
カスミは翼を小さく広げて嬉しそうにうなずいた。
「ラファ様、よろしくお願いします! わたし、精一杯頑張ります!」
最初に訪れたのは広場の端で薪を割っていた男のところだった。
男は疲れた顔で斧を下ろし、二人の姿を見て軽く頭を下げる。
「ラファ様……少し相談があるんだが」
男は声を低くした。
「最近、家族が増えて食料が少し足りなくなってきた。どうしたらいいだろう」
ラファは静かにうなずき、男の話を最後まで聞き、柔らかい声で答えた。
「そうですね畑の方でもいいんですが、あなたなら川の魚の方がいいでしょう。明日、蒼人の人たちと一緒に漁に出れるようにしておきましょう」
カスミはラファの横でじっと聞いていた。
話が終わると、彼女は明るく口を挟んだ。
「わたしも手伝います! 空から川の様子を見て、魚がたくさんいる場所を探してきますよ!」
男は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「カスミ様……ありがとう。助かるよ」
次に二人は畑へ移動した。
蔓人の女が重い籠を抱えて苦戦していた。
ラファはすぐに籠に手を添え、カスミにも目で合図を送った。
カスミは翼を軽く動かして素早く女の反対側に回り、籠を一緒に持ち上げた。
「重いですね! 一緒に運びましょう!」
女はほっとした表情で言った。
「カスミ様、ありがとう。最近、畑が広がってきて一人じゃ大変で……」
ラファは女の肩を優しく叩きながら言った。
「人を振り分けて派遣するようにしよう。みんなで協力して、収穫を増やしていこう」
カスミは女に楽しそうに声を掛けながら籠を運ぶ。
女はカスミの明るさに少し笑みを浮かべ、作業がスムーズに進んだ。
夕方近くになると、二人は仮設小屋へ向かった。
そこでは角人の家族が生活によって増えた荷物を整理しきれずに困っていた。
カスミは小屋の周りを軽く歩き回り、翼を広げて高い場所から荷物の置き場を確認した。
彼女はすぐに戻ってきて、明るい声で提案した。
「ここに荷物を置くと、雨が当たらないよ! わたしが上から見てみたんだ」
家族はカスミの提案に感謝し、作業がはかどった。
終わりにラファは村に来てそこそこの時間が経ったので、そろそろ小屋を広げ、家とする提案を角人の家族して、そのために人を用意すると角人の家族に伝えた。
角人の家族は神様とラファ達に感謝を示した。
一日が終わる頃、ラファはカスミの肩に手を置いた。
「今日はよく頑張ったね。村人の相談を聞くのも、作業を手伝うのも、巫女の大切な仕事だよ」
カスミは翼を小さく震わせながら、満面の笑みを浮かべた。
「ラファ様、今日一日ですごく勉強になりました! 神様の村を、もっとみんなが安心して暮らせるように頑張ります!」
二人は神殿へ戻る道を並んで歩いた。
夕陽が村全体を赤く染め、子供たちの声が遠くから聞こえていた。
カスミの巫女候補としての初日は、こうして静かに終わる。
彼女の明るさと行動力により、村に新しい風が吹き始めていた。




