37話
村の空は青く広がっている。
カスミは鳥系獣人の大人たちと一緒に翼を広げ、滑空しながら村の上空を巡っていた。
彼女の薄い灰色の髪が風に揺れ、背中の翼が軽やかに空気を捉えた。
大人たちの翼が大きく広がる中、カスミの翼は少し小さく、それでも一生懸命に風を切っていた。
「みんな、大丈夫かな」
カスミは独り言のように呟きながら、下の村をじっくりと見下ろした。
広場では子供たちが遊んでおり、畑では蔓人の人たちが植物の手入れをしていた。
家からは料理のための煙が上がり、角人の男たちが石を運ぶ姿が見えた。
一人の鳥系獣人の男が隣で滑空しながら声をかけた。
「カスミ、今日は特に問題はなさそうだな」
カスミは翼を少し調整して速度を合わせ、明るく答えた。
「うん! でも念のために、もう一周してみようよ」
彼女は翼を軽く広げて旋回し、村の端の方へ滑空した。
仮設小屋の近くでは新しい住人たちが荷物を整理しており、川沿いでは蒼人の人々が水を汲んでいた。
すべてが穏やかで、モンスターの気配は全くなかった。
カスミは空から村全体を見渡しながら、心の中で神様に感謝した。
この広い縄張りのおかげで、みんなが安心して暮らせている。
彼女は翼を小さく動かしながら、もう一度村の中心を旋回した。
大人たちが合図を送り、徐々に高度を下げ始めた。
カスミもそれに合わせて滑空し、広場の端に軽やかに着地した。
翼を畳みながら、彼女は満足げに息を吐いた。
「今日も村は平和だね」
カスミは翼の先を軽く払いながら、村人たちの方へ歩き出した。
彼女の銀色の瞳には、村の安全を確認できた嬉しさがはっきり浮かんでいる。
カスミは大人たちと別れながらも、明日もまた空から村を見守ろうと心に決めていた。




