30話
神殿の奥で、リーフは体を少し固くして待っていた。
これまで切り離された小さな触手しか見たことがなかった彼女にとって、目の前に広がる神様の本体は圧倒的な存在だった。
ティアはリーフの手をそっと引く。
ラファはリーフの背中を優しく押した。
二人はリーフを神様の触手の近くへ導いた。
リョウの触手がゆっくりと動き、大きな塊のように三人を囲んだ。
太く長い触手が床の上を這うように近づいてきた。
リーフの瞳が大きく見開かれる。
ティアは触手を一本持ち上げ、リーフの手を取ってそっと触れさせた。
「怖くないよ。神様は優しいから」
リーフは指先を震わせながら触手の表面に触れた。
温かくて柔らかい感触を指が感じる。
ラファがリーフの肩に手を置きながら言った。
「もっと触れてみて。神様の温かさがわかるよ」
リーフは息を飲んで体を寄せ、触手を両手で抱き寄せ、目を閉じて触手を強く抱きしめた。
頰を押し当て、ゆっくりと顔を擦りつける。
神様の本体と触れ合う感激が胸の奥から溢れ、言葉が自然とこぼれた。
「これまで小さな触手の神様しか見たことがなかったけど……これが本物の神様」
リーフの声が少し震えた。
彼女は触手を離さずに頰をさらに押しつけ、言葉を続けた。
「神様……ありがとうございます。私をこの村に導いてくださって……巫女候補に選んでくださって……本当に感謝しています」
ティアはリーフの髪を優しく撫で、ラファはリーフの背中を静かにさすった。
三人は神様の触手に包まれるように座り込んだ。
リーフは触手を抱きしめたまま目を閉じ、感激で胸がいっぱいになる。
彼女は、はっきりとした声で、自身の信仰心から出た言葉を口にする。
「神様……巫女候補として、精一杯お仕えします。私はこの温かさを一生忘れません」
リーフの心は神様の本体と触れ合った感激で満ち溢れ、信仰心がさらに深くなった。
ティアとラファはリーフの両側に寄り添い、触手に体を預けたまま三人は長い時間を過ごすのだった。




