29話
小屋での授業が終わった後、子供たちが順番に外へ出て行った。
広場の方へ足音が遠ざかり、静かになる。
ティアは板を片付けながら、最後まで残っている少女に目を向けた。
蔓人のリーフという少女だ。
緑がかった長い髪が背中まで流れ、整った顔立ちをしている。
肌は人間とほとんど変わらず、ただ髪と指先の一部に蔓のような質感が混じっている。
リーフという少女は、可愛いというより、落ち着いた美人系である。
ティアはリーフのそばにそっと座り、穏やかな声で話しかけた。
「リーフ、少し話しをしてもいいかな?」
「はい」
リーフは緑がかった髪を耳にかけるようにして顔を上げた。
ティアは優しく微笑みながら続けた。
「リーフはいつも授業をとても真剣に聞いてくれてるよね。神様の話も一番熱心に覚えてくれるし、成績も村で一番優秀だね」
リーフは少し頰を赤らめながら手を膝の上に置いた。
ティアはリーフの目を見て、柔らかく言葉を続けた。
「だから……もしよかったら、巫女候補になってみない? リーフならきっと、みんなを優しく導いてくれる巫女になれると思うの」
リーフは目を少し見開いた。
ティアはゆっくりと息を吸ってから言った。
「もちろん、無理にとは言わないよ。リーフがいいなって思ったら、一緒に勉強していこうね」
リーフは緑がかった髪を指で軽く触りながら、静かに考え込んだ。
ティアはリーフの肩にそっと手を置き、優しい声で付け加えた。
「リーフなら、きっと素敵な巫女になる。神様も、リーフのことをちゃんと見ていてくださるよ」
リーフはゆっくりと息を吐き、ティアの顔をまっすぐに見た。
彼女は少し緊張したけれど、はっきりとした声で答える。
「……私でよければ、巫女候補になりたいです」
ティアは柔らかく微笑んだ。
彼女はリーフの手を優しく握り、うなずく。
二人は小屋の中で静かに言葉を交わし続けた。
リーフは緑がかった髪を後ろに流し、決意を固めた表情になる。
ティアはそんなリーフを見て、静かに温かい気持ちを抱いた。
こうして新しい巫女候補が決まり、村に新しい風が吹くことになるのだった。




