表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら触手で、助けた少女に神様って言われたので神様ごっこします!  作者: frandre scarlet


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/46

27話

 朝、小さな布の袋を肩にかけた子供たちが広場で、ティアとラファの前に並んでいた。

 ラファが、並ぶ子供たちに声をかける。


「今日は神様の力を縄張りの外で、見せてもらいます。ちゃんとついてきてね」


 リョウから切り離された触手の一部が、先頭に立って歩き出す。

 その後ろにティアがついていき、子供たちが続く、最後方からラファが子供を見守る形になる。


 一行は村を抜け、数時間かけて、縄張りの境界を越えた。

 縄張りの外の道が整えられているわけがなく、地面の感触が変わり、木々が少し密集し始める。

 子供の一人が後ろで小さく息を飲む。


 切り離された触手。

 それはリョウが群体となったことで、それもまた本体と変わらない存在になっている。

 子供たちはその触手が神様の一部だと教えられており、時折かすかに信仰心の宿る視線を向ける。


 森が深くなるにつれて空気が重くなっていく。

 一人の女の子がティアの袖をそっと掴んだ。

 彼女は、外で家族と逃げ回っていた記憶を思い出し、不安そうな顔をしている。


 突然、低い唸り声が前方から聞こえてくる。

 牙狼が二匹、茂みから飛び出してきた。

 子供たちの足が止まる。


 リョウの触手が素早く動き、一本が牙狼の首に巻きつき、もう一本が胴体を締め上げた。

 牙狼は体をくねらせて抵抗したが、すぐに動きが止まる。

 触手はもう一匹の牙狼にも絡みつき、地面に叩きつけた。

 骨の折れる音が小さく響き、二匹は完全に動かなくなる。


 子供たちは、その光景を見て息をのむ。

 微笑みながら、ティアが子供たちに言う。


「モンスターがやってきても神様の触手が、皆をこうやって守ってくれるの。神様がいるから、皆は縄張りで安心して暮らすことができてるんですよ」


 ラファが子供たちに目をやりながら続ける。


「皆はちゃんと覚えてるかな? 神様の縄張りに来るまで、外はいつもこんな風に危なかったよね」


 一人の女の子が体を震わせながら、信仰の色を深くした目でリョウを熱心に見つめている。

 彼女は過去に牙狼に追われて村に来た子だった。

 モンスターをリョウの触手が一瞬で片付けた様子を見て、目を見開いていた。


「神様……すごい……」


 縄張りの外で生活していた子たちは、体を固くしていた。

 彼らはモンスターに追い回され、家族を失った記憶がまだ残っている。

 だが、リョウの触手がモンスターをあっさり倒す姿を見て、肩の力がゆっくり抜けていく。

 その様子を確認したティアが、子供たちを見回し言う。


「神様はいつもこうして守ってくれる。外に出ても安心できるのは、神様がいるからだよ」


 ラファが一人の角人の子を抱き寄せながら言った。


「怖かったよね。でも今は神様がいるから、皆守られるの」


 子供たちは触手が倒したモンスターの死骸を遠巻きに見る。

 誰もが言葉を失いながらも、目には確かな光が宿り始めていた。

 縄張りの外の恐怖を知る子たちは、熱のこもった目で触手の動きをじっと見つめていた。


 一行はさらに少し進んでから引き返した。

 子供たちの足取りは出発時より軽くなっていた。

 村の入り口が見えてきた頃、一人の男の子がティアに近づいた。

 男の子は興奮して震える声で言う。


「巫女様……神様、本当に強いんですね」


 ティアはうなずきながら彼の頭を軽く撫でた。

 子供たちは朝集合した広場の方へ向かいながら、小さな声で今日見たことを話し合っていた。

 広場で解散した子供たちは、それぞれの家に戻りながら、触手の動きを何度も思い返すのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ