21話
朝の村の空き地。
女衆が集まって布を織っていた。
リョウから与えられた知識を頼りに、木の枠を組んで糸を張り、手で一本ずつ通していく。
原始的な機織りだったが、今までよりは新しい方法の機織りで、皆で交代しながら根気よく作業を進めていた。
一人の女が糸を整えながら隣の女に声をかける。
「これで巫女様たちの服がちゃんとできるね」
もう一人がうなずきながら手を動かした。
「そうね神様が教えてくれた通りに織れば、今までの布と違って、丈夫で動きやすいものになるはずだから。巫女様にふさわしい服になるはずよ」
作業は何日も続いた。
布が少しずつ長くなり、柔らかい肌触りの生地が出来上がっていく。
女衆は完成した布を広げて確認し、満足した顔で互いに顔を見合わせた。
それから数日後。
服は二着、巫女用のシンプルな形に仕立て上げられていた。
袖は動きやすい長さで、裾は軽く広がるように調整してある。
色は自然な生成りで、ところどころに薄い緑の糸を織り込んでいる。
ティアとラファは神殿の奥でその服を受け取った。
二人は服を広げてじっくり眺め、すぐに着替えた。
新しい布の感触が肌に優しくまとわりつく。
ティアは服の裾を軽く直しながらラファを見た。
「似合ってるよ、ラファ」
ラファは自分の袖を少し引っ張りながら小さく微笑んだ。
「ティア様も、とても綺麗です」
二人は神殿の奥からゆっくりと出てくる。
リョウは神殿の入り口近くで静かに待っていた。
ティアが先に一歩前へ出た。
彼女は新しい服の袖を軽く広げて体を少し回した。
布が自然に揺れて、動きやすさが伝わってきた。
ラファもティアの隣に並んだ。
彼女は両腕を広げ、ゆっくり回りリョウに全身を見せて言う。
「神様……巫女の服が完成しました」
ティアが静かに続ける。
「集落の皆が一生懸命織ってくれました」
リョウの触手がゆっくりと二人の周りを回った。
一本の触手がティアの肩に軽く触れ、もう一本がラファの腕を優しく撫でた。
『いい出来だ』
リョウの声が二人の頭の中に直接響いた。
『二人ともよく似合っている。動きやすそうだな』
「はい」
ティアは服の胸元に手を当てて小さく息を吐いた。
彼女は神様の触手に体を近づけ、軽く寄りかかる。
ラファも同じように触手に体を預けた。
新しい服の布が触手の感触と重なって、温かい安心感が広がる。
女衆が少し離れた場所からその様子を見守っていた。
一人が小さく手を振る。
ティアは、ラファに視線を向けた。
二人は並んで神殿の入り口に立ち、集落の皆に軽く頭を下げた。
女衆が手を振り返し、ゆっくりと自分の家に戻り始める。
村の昼の空気が穏やかに流れ、神殿の前は静かになった。
ティアとラファは神殿の中に戻り、新しい布の感触を確かめながら、二人は互いの姿を見あう。
リョウの触手が二人の背中を優しく撫でた。
巫女のための服が完成し、村はいつもより明るい空気に包まれるのだった。
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