18話
神殿の奥で、ティアは床に座り、背筋を伸ばして目を閉じていた。
ラファもその隣に腰を下ろし、膝の上に両手を置いる。
二人は同時に魔力を丹田のあたりからゆっくり巡らせ始めた。
体内を流れる魔力が、指先まで均等に回るように意識を集中させた。
リョウは神殿の奥から触手を何本か伸ばした。
彼は二人の周囲に小さな魔力の波を意図的に送り込み、流れを乱し始めた。
空気がわずかに震え、魔力の流れに小さな乱れが混じった。
ティアは乱れを感じながらも、呼吸を整えて魔力を押し戻した。
彼女は魔力を胸から腰、胸から肩への両方へ淀みなく送り続ける。
乱れが強くなっても、表情は変わらずに循環を保つ。
ラファは最初に乱れに飲み込まれそうになった。
彼女は歯を食いしばり、魔力を丹田に戻して再び流し始めた。
指先が軽く震えたが、すぐに力を入れ直して流れを整えた。
リョウはさらに触手を動かし、魔力の波を強くする。
波が二人の体内に直接ぶつかるように、乱れを増幅させた。
神殿の空気が一瞬だけ重くなる。
ティアは乱れをそのまま受け流すように魔力を循環させた。
彼女は魔力を足の裏まで送り、そこから全身へ回す動きを繰り返した。
乱れがあっても、流れは途切れずに滑らかに続く。
ラファは息を長く吐きながら魔力を集中させた。
彼女は一度乱れた流れをまとめなおし、再び全身へ送り込む。
少しずつ乱れに慣れ、魔力が淀みなく回り始めた。
リョウは触手をさらに細かく動かす。
魔力の波を不規則に変化させ、二人の集中を試すように乱し続ける。
波が強くなったり弱くなったりを繰り返す。
ティアは体をわずかに前後に揺らしながら魔力を回す。
彼女は乱れに呼吸を合わせ、魔力を安定させた。
小さな少女の体は、まるで波に逆らわない舟のように静かだ。
ラファは額に薄く汗を浮かべながらも、魔力を流し続けた。
彼女は乱れが来るたびに一度止め、再び流れを整える動作を繰り返した。
少しずつ、淀みのない循環が長く続くようになった。
リョウは触手を軽く振って波の強さを変えた。
今度は二人の背中側から魔力の乱れを送り、流れを後ろから崩そうとした。
神殿の床が微かに震えた。
ティアは背中の乱れを感じ取り、二次元的だった魔力の流れを前から後ろへ滑らかに繋ぎ3次元的に行う。
彼女は乱れを吸収するように魔力を循環させ、すぐに元の流れに戻した。
表情には一切の乱れがなかった。
ラファは体を少し前傾させて魔力を集中させた。
彼女は後ろからの波を魔力で受け流し、少々魔力の流れを乱しながらもゆっくりと全身へ巡らせる。
乱れが徐々に小さくなり、魔力は淀みなく回り始める。
二人は長い時間、座ったまま魔力を巡らせ続けた。
リョウの妨害により、乱れが強くなっても、流れを途切れさせずに巡らせる。
神殿の中は二人の静かな呼吸だけが響いていた。
ティアは深く息を吐き、今までよりも多くの魔力を全身で均等に巡らせる。
彼女は目を開けずにそのまま訓練を続ける。
ラファも隣で目を閉じ、魔力の循環を保ち続ける。
リョウは触手をゆっくりと引きながら、二人の様子を観察する。
彼は二人に、訓練を続けさせる。
静かな修行の時間が流れて行くのだった。
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