表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら触手で、助けた少女に神様って言われたので神様ごっこします!  作者: frandre scarlet


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/46

16話

 次の日の午後。

 リョウは触手を一本、ゆっくりと自分の本体から切り離した。

 切り離された触手は床の上に落ちた瞬間も、触手は本体と完全に意識が繋がったままだった。


 独立した触手が床の感触をそのままリョウに伝え、視界も音もリアルタイムで共有される。

 リョウは触手を、神殿の外まで這わせる。


『おお、すごいな。これは俺の目と耳が複数になったようなものだ』


 リョウの声がティアとラファの頭の中に直接響く。

 二人は神殿の床に座ったまま、静かにその様子を見守っている。

 リョウはさらに力を込めて、もう一本の触手を切り離した。

 二本の触手がそれぞれ独立して動きながら、本体と同じ知覚をリョウに送り続ける。


 切り離した時点で与えた力の量で強さが決まるが、時間とともに成長もする。

 必要なら本体に戻して再び融合させることもできる。

 リョウは満足した様子で触手を動かす。


『これで俺は群体だ。本体一つの思考じゃなくて、複数の視点で同時に物事を見られるようになった』


 彼はさらに二本の触手を切り離し、神殿の外周を巡らせる。

 縄張り内は魔法で知覚できていたから、今回の変化の真価は縄張りの外に出た時に発揮される。

 複数の思考がリアルタイムで並行して動く感覚を、リョウは味わっていた。


『今まではリモートで一つずつ考えていたけど、これからは同時にいくつものことが進められそうだ。ティア、ラファ来てくれ』


 ティアとラファは呼ばれ、リョウに近づく。

 リョウは近づいてきた二人に触手を伸ばし、腹部に寄生している触手を、慎重に引き抜く。

 痛みはなく、ただ温かい何かを喪失した感覚だけ残った。


 リョウは引き抜いた寄生触手を自分の本体に戻し、そのまま二人の腹部に再度押し当てる。

 触手が再び体内に入り、寄生する形で根を下ろす。

 今度は寄生触手そのものがリョウ自身となり、二人の結びつきが格段に強くなった。


『これで俺の一部がお前たちの体の中にしっかり根付いた。離れていても、俺とお前たちの繋がりはもっと深くなる』


 ティアは自分の腹に手を当てて小さくうなずいた。

 ラファも同じように触手を体内に感じ取り、安心した表情を浮かべた。

 リョウは二人の視界と聴覚を同時に共有しながら、複数の触手を動かし続ける。


 神殿の外では切り離した触手が村の様子を見て回っていた。

 人間たちが家々の前で作業をし、獣人たちが仮設小屋の周りで動き回るのが、すべてリアルタイムでリョウに届いた。

 複数の視点が同時に処理される感覚が、頭の中で広がっていく。


『今までは一つの目でしか見えなかった世界が、急に何倍にも広がった感じだ』


 リョウは切り離した触手をさらに遠くへ送り、縄張りの境界近くまで移動させた。

 そこから見える森の景色が、本体と行くのと変わらない鮮明さで伝わってくる。

 リョウは二人の頭の中に再び声をかけた。


『これからは俺の視点がいくつも増える。お前たちも、俺の一部として一緒に強くなっていこう』


 二人の巫女は寄生触手を体内に感じながら、リョウの新しい力を静かに受け入れる。

 村の時間は、穏やかに流れていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ